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『ひとくず』初日舞台挨拶

2020-03-14 更新

上西雄大(主演・監督・脚本)、古川 藍、徳竹未夏、川合敏之、空田浩志、吉田祐健、堀田眞三

ムーランhitokuzu 配給:渋谷プロダクション
渋谷ユーロスペースにて上映中ほか全国順次公開
© YUDAI UENISHI

 映画『ひとくず』は、3歳まで戸籍がなく、実の父親が母親に日常的に手をあげているのを見て育った、「居場所のなさ」「弱者」を身をもって知っている監督・脚本・編集・プロデューサーの上西雄大が、30年以上児童相談所に勤務している児童精神科医師の楠部知子先生から「虐待してしまう大人もまた傷ついている」という実態を耳にし、傷ついた子どもだけでなく、虐待をしてしまう大人にも眼を向けてあげてほしいと制作した感動のエンターテイメント。

 先月ロンドン国際映画祭で外国語部門最優秀作品賞(グランプリ)と最優秀主演男優賞(上西雄大)を受賞した本作は、本日3月14日(土)より公開の渋谷・ユーロスペースを皮切りに全国順次公開となる。

 初日舞台挨拶では、育児放棄された少女・鞠を救う空き巣・金田役の上西雄大、昨年5月にニース国際映画祭で最優秀助演女優賞を受賞した、鞠を育児放棄する母親・凜役の古川 藍、8月にマドリード国際映画祭で最優秀助演女優賞を受賞した、自分の恋人が息子に暴力を振るうことを黙認する主人公の母親・佳代役の徳竹未夏、金田の理解者である刑事役の空田浩志、金田が盗んだものを買う故買屋役の吉田祐健、金田を不採用とするゴミ処理場職員役の堀田眞三が、本作に懸けた想いなどについて語った。


 監督・脚本・主演の上西雄大が主宰している劇団テンアンツで作った映画に配給会社がついて公開されるのは本作が初めて。初日を迎えての想いを聞かれた上西は、「この日を本当に心待ちに頑張ってきまして、本当に万感の想いです。小さな劇場から始まった劇団で、力がないということに挫折しそうになったことは度々ありましたが、自分たちの想いを込めた作品が、たくさんの方々のお力添えを頂きまして、今回このように劇場公開されました。『この世は素晴らしい良心に溢れていて、いろいろな問題はあっても、それに立ち向かっていくことができる』ということを作品から学びました。今日は僕にとって、人生最良の日であります。皆様本当にありがとうございます」と途中、涙で言葉に詰まりながら挨拶し、会場は温かい拍手で包まれた。




 児童虐待、育児放棄を扱った映画だが、映画にしなくてはいけないと思った経緯を聞かれた上西は、「別の作品のリサーチで、楠部(知子)先生に発達障害についてお話を聞いたのですが、楠部先生は児童相談所にお勤めされていて、その際、実際に起こっている虐待についてお話しいただきました。その夜、自分の心は壊れるくらい怒りや悲しみだったり、おぞましい想いに揺れまして、自分の心が救いを求めるように、作品でどのような形であれば虐待から救えるんだろうと想像して、一晩で書いた作品です。楠部先生から『虐待への最大の抑止は関心である』とお聞きしたので、僕らのような役者が世に役立てるのは、作品を作ることではないかと思えた日でもありました」と熱い想いを語った。

 本作に取材協力をした児童精神科医の楠部知子先生は、「上西さんにお話をして作っていただいた映画が、こうやってお披露目できることを嬉しく思っています。児童虐待という重い内容ではありますけれど、知っていただいて考えていただくことが大事だと思いますので、最後までごゆっくりお楽しみください」と挨拶。


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 上西演じる金田が助ける少女・鞠(まり)の本作での描写はリアルなのかと聞かれ、楠部先生は、「はい。たくさんの児童虐待を受けた子どもさんだとか、虐待をしてしまうお母さんに接しているんですけれど、代表的なリアルさを取り上げていただけました。ニュースに上がってくるのは本当に氷山の一角でして、人によっては『あんなことは本当にあるの?』という方がいらっしゃる中で、そういうことが私たちの気がつかないところでたくさん起こっていることを知っていただけたらいいと思います」と答えた。

 鞠(まり)の母親・凜役の古川は、ニース国際映画祭で最優秀助演女優賞を受賞したが、凜役を演じる上で大事にしたことを聞かれ、「育児放棄や児童虐待について、最初は正直実感が湧かなかったのですが、凜という役の感情の起伏をつけることを意識しました」と話した。


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 マドリード国際映画祭で最優秀助演女優賞を受賞した徳竹は、自分の恋人が息子に暴力を振るうことを黙認する主人公の母親・佳代役を熱演。「セリフがないシーンもありまして、その中で、自分の中の葛藤をどう表現しようかと思いました。タバコを吸うシーンが割とあるので、タバコを吸う仕草の中にそういったものをいかに汲めるかなと気をつけました。おそらく私が演じた佳代も愛情に恵まれずに育ったという一面があると思うので、どう息子に接したらいいか分からないというところもあるという微妙な表現がお客様に伝わればいいなと思って表現しました」と工夫について話した。


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 刑事役の川合敏之は、満席の劇場を見て、「騒々しい世上、こんなに大勢の方に集まっていただいて、ありがとうございます。映画は映画館でやってなんぼのもんやと思っていますので、心からお礼申し上げます」と挨拶。「監督を始め、このカンパニーが熱いパッションに溢れているので、僕も負けじと頑張りました。小雨もぱらつく寒い日に、リアルに鼻を真っ赤っかにして撮影をしたんですが、既に観た方には、『それが逆にリアルでいいんじゃない。刑事ってそんなもんじゃない』と言われました」と秘話を語った。


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 金田の理解者である刑事役の空田浩志は、自分の役の役割について、「刑事として若い頃から金田を捕まえたり追っかける役ですけれど、憎めないというか、世話をかけられても弟のような感じで接している役柄なのかと捉えました」と話した。


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 金田が盗んだものを買う悪徳質屋役の吉田祐健(ゆうけん)は、「裏で何かやっている故買屋だから、ワルでひとつ」とのオファーで、「ワルですか。いきます!」と気合を入れて挑んだエピソードを披露。


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 金田を不採用とするゴミ処理場職員役の堀田眞三は、「僕は半世紀以上役者をやっていまして、ほとんどワル役ばかりなので、その中でこういう役をオファーされ、自分自身驚きとともに喜びが大きかったです」と嬉しそうに話した。


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 最後に上西より、「本作は虐待を入り口に置いて作った映画ですが、決して暗く悲しい気持ちで劇場を後にするような映画ではございません。むしろ家族の温かさや人間の良心を描いた温かい人間味溢れる作品にしたいと思って作りました。(観客の皆さんが)劇場を去る時に感動の想いで劇場を出ることができますことを祈っています」とメッセージが送られた。


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(オフィシャル素材提供)



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