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『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)
カムバック上映記念舞台挨拶

2020-07-10 更新

佐藤浩市、渡辺 謙

Fukushima 50fukushima50 配給:松竹、KADOKAWA
公開中
© 2020『Fukushima 50』製作委員会

 この度、映画『Fukushima 50』公開から4ヵ月が経ち、佐藤浩市、渡辺 謙がカムバック上映記念舞台挨拶に出席し、改めて作品に対する想いと喜びを語った。


 まず佐藤は「数奇なこの期間、この映画もいろいろな変遷を辿りもう一度皆さんの前に立つことが出来て不思議な感じがしますけど、嬉しいです」、渡辺は「このような中で映画館に来てくださり、この作品に期待を寄せてくれている皆さんありがとうございます。この映画を様々な形でお客様に届けようとしてくださった関係者の皆さんありがとうございました」とそれぞれ感謝を交えながら客席へと挨拶をした。

 コロナ禍で生活様式が変わった現在において本作を世の中に届ける意義を、佐藤は「このような状況の中でいったい人は何ができるのか、その方向を間違えると取り返しがつかなくなる。この映画で語りたかったものと今の状況は同じだと思います。人災にしないために僕ら自身が考えながら日常を生きる。社会が変わっていく中でそれぞれが考えていくことを求められる、それを普通に振る舞えるように生活しなければいけない。そうしたことを考えるのにこの映画の中で起きていること、語っていることを改めて見ていただきたいと思います」とコメント。渡辺は「この映画で描かれている原発事故と、今回のコロナは違う側面を持っていると思います。この原発事故では世の中が変革しなければいけなかったことに我々は気づかなければいけなったが、そのまま普通の生活に戻ってしまった。そして、今回の厄災が起きたことで、我々は何どうやって生きていけばいいのだろうと考えさせられている。でも4月まで舞台をやっていて、やっぱり熱とバイブレーションが必要なんですよ。その二つを取り上げられると成り立たないんですよね。なので、新しい生活様式という言葉に少し引っかかるんです、我々エンターテインメントに生きる人間としては普通の生活様式をそこに取り戻したいという気持ちです。もっとパーソナルな新しい生き方を考えたいと思います」と力強く気持ちを語った。


fukushima50

 そして、舞台挨拶当日(7月9日)は渡辺が演じた福島第一原発の最前線で指揮を執っていた吉田昌郎所長の命日でもあることを受けて、渡辺は「今回の厄災が起きた時などに一番大切なのは“現場の声”なんですよ。現場が何を欲しているのか、現場では何が困っているのか。その声を切に聞いて戦ったのが吉田さん。この日に本作を皆さんに届けられる、現場を大切にした吉田所長をこの映画を通して感じてもらえたら吉田さんも喜ぶと思います」と吉田所長へのメッセージを感慨深げに語った。

 さらに2人も作品の中では現場の最前線で戦う役を演じていること、新型コロナ対応で医療に従事されている方々などの現場で戦う方たちについて、佐藤は「自分たちの知らないことが多すぎました。マスコミもちゃんと伝えてくれているのに、何故かみんなには届いていない。この不可思議さはいついかなる時もあると思う。今回のコロナ対応でも最前線で戦ってくれている医療従事者の方々は多少の偏見の中で生活を送らなければいけなかったことについて、我々が正確に物事を見聞きすれば避けられたと思うんです。この考えは本作で伊崎さんを演じると決まった時に思った気持ちと同じです」と現在も最前線で戦っている医療従事者への想いを伝えた。次に渡辺は「見えない敵と向き合わざるを得ないその恐怖に尽きると思います。原発事故、コロナに関しても最善の注意を払わなければいけない。でも今やらなければいけないことにも対応しなくてはいけないという、ある種の葛藤の中で人の命と向き合う必要がある。その緊張感と恐怖は今回の厄災とも同じで、相当な緊張感とストレスのある中で対応してくれていたんだなと思いますね」と現場で戦う方々が背負うものの重さを語った。

 緊急事態宣言が明けて、営業を再開する映画館も増えてきて劇場で映画を観ることの魅力を、佐藤は「実際に劇場で映画を観て、暗がりから外に出た瞬間に感じる何かなんですよ。劇場で観た人じゃなければ分からないものなんですよ。それでもやはり、今は劇場に行くことに躊躇するかもしれない、でも各々で感染予防をして映画を静かに観る、危険を自分で回避することが出来ていていれば、そこまで避けることなく映画を観ることはできると思います」としっかりした感染予防のもと劇場に活気が戻ることを願った。


fukushima50

 それに対し渡辺は「こんなに長い間仕事をしない時はなかったです。毎日1~2本は配信などで映画を見ました。やっぱり映画の良さは“体験”だと思います。暗がりの中、大きなスクリーン上で予告編が流れ、そして本編もすごく良い音で流れて、今まで見たことのないような世界を見ることが出来る。そうして宅配便に邪魔されることもなく、2時間近く一緒に体験ができることが本来の映画館だと思います。だから映画館に来なくなった若い人たちや今回のことで来なくなった人にも戻ってきて欲しいと思います。映画館も感染予防にすごく頑張っていますので、皆さんも自分自身の感染予防は行い、映画館との相互関係で戻ってきて欲しいですね」と映画館で鑑賞することの魅力を語った。

 そして最後に、渡辺は「公開日の翌日に取材をしていたんですけど、舞台挨拶が中止になってしまったけれど、ドルビーシネマに10人くらいお客さんが来てくれてたんですよ。だから浩ちゃんとその人たちだけに挨拶しようとスクリーンに向かったんです。満員の中挨拶に行くのも醍醐味なんですけど、こうした状況の中でも足を運んでくれたんだと二人で実感できて、いつかこういう日が迎えられると良いねと話していました」とカムバック舞台挨拶を迎えられた感謝を述べた。佐藤は「今は本当にどの業界も大変ですけれど、数年経っていつも通りの劇場の姿に戻って、『次の世代にあんな時代があったね』と、そんな時代を経験したからこそ今の仕事を大切にしようと言える時が来るのを待ってます」とこの苦境に対しての力強いメッセージを語り舞台挨拶は幕を閉じた。


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(オフィシャル素材提供)



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