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『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』日本外国特派員協会記者会見

2020-03-06 更新

佐藤浩市、渡辺 謙、若松節朗監督、角川歴彦会長

Fukushima 50tajurou 配給:松竹、KADOKAWA
全国公開中
© 2020『Fukushima 50』製作委員会

 映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)が、本日3月6日(金)より全国公開中。この度、佐藤浩市、渡辺 謙、若松節朗監督、角川歴彦会長が日本外国特派員協会記者会見に出席し、本作への想いを語った。


 まず本作を映画化するに至った経緯を聞かれた角川会長は「この題材の映画化の話は故・津川雅彦さんから持ち込まれたもので、テーマが難しかったですが、福島第一原発の中で何が起きていたのかに迫りたいと思っていました。そうしてなかなか形にできずにいたところ門田さんの原作に出会いこれを形にすることで津川さんの夢を叶えようと思いました」と本作の企画するに至った経緯を語った。そして若松監督も「人間の弱さや強さが入っている映画が大好きです。原発作業員の思いが重層的にある題材だと思いやりたいなと思いました。毎年3月11日が近づいてくると、メディアも東日本大震災のニュースを流しますが、だんだんと少なくなってきているように思えます。毎年この時期に本作が放映されるようになれば風化を止めるきっかけになると思いました」と力強く語った。

 本作がまもなく公開されるにあたって渡辺は「この映画がいよいよ公開を迎えるとなった際に社会情勢がこのようになりました。それでも我々は未来を予見することはできない。国難のような岐路に立たされた時にどうするべきなのか、この映画を観ることでひとつのヒントを得ることができるかもしれない。そうした未来へ向かう大きなステップになる映画だと思います」とコメント。それに対し佐藤は「最初は被災された方の気持ちを考えると映画化するには早いんじゃないかと思いました。それでも、この映画を実際に福島の方々に観ていただく機会がありました。本編には精神的にも痛みを強いるシーンが多いのですが、それでも最後まで観てくれた方が『映画を作ってくれてありがとう』とおっしゃってくれました。その言葉を聞いてギリギリだったんだなと思いました。人間は痛みを忘れることで次に挑戦できますが、この事実を風化させてはいけない。自分たちがもう一度見直すという意味ではギリギリだったんだなと思いました。痛みを次の世代に語り継ぐためにも、今このタイミングで本作を観ていただくということだと思います」と本作に込めた想いを語った。


fukushima50

 演じた役どころについて聞かれ渡辺は「自分が演じた吉田さんの経歴や育った環境のリサーチはしました。なによりも吉田さんと共にお仕事をしていた人たちからお話を聞く機会があったことです。実際に原発内で事故が起きた時、どういう対応をしていたのか、どのように中操の作業員とコミュニケーションを取っていたのかなどを事前にリサーチできたことは大きかったです」と吉田所長を演じるにあたって一緒に働いていた作業員などからリサーチを重ねたことを明かした。


fukushima50

 そして主演の佐藤と共演の渡辺は12年ぶりとなる共演を果たした本作。お互いについて佐藤は「『許されざる者』(13)を一緒にやれたことが大きかったです。年齢もほぼ一緒で、40年近く俳優としてものづくりの仕事をしている信頼関係はありますね。劇中で吉田と伊崎が直接話すところはトイレのシーンくらいなんですけど、二人の中にある共通理解というのは絶対に取ることはないだろうと思っていました。緊急時にのみ使用する赤い電話で話さなければいけない状況が来た時の気持ちは一緒で繋がっていたと思います」とこれまでに数多く共演してきた渡辺への感謝を語った。それに対して渡辺は「浩市くんの100本目の出演映画はなんでもやる、通行人の役でもやるよと言っていたら、あっという間に100本目を超えていたんですよ(笑)。そしてこれまで吉田所長を題材にした映画のオファーを受けたことが2~3回ありましたが、それらは原発事故を再現するだけだとお客さんには何も届かないと思ったんです。本作のオファーを受けて、現場で働いてる伊崎に焦点を当てていて、素晴らしいヒューマンドラマになると脚本を読んで思いました。そして伊崎さんを演じるのが佐藤浩市だったので、出演するべきだと思いました。撮影を通して彼は信頼に値する素晴らしい俳優だと実感しましたね」と今回オファーを受けたきっかけと主演の佐藤を称賛した。


fukushima50

 最後に本作が73の国と地域での上映が決まっていることに対して渡辺は「海外にも多く友人がいますが、“福島”というワードをネガティブに捉えていると思います。日本の中でこの問題をどう解決しようとしているかについては関心が高いです。ネガティブに感じるものを我々がどうポジティブに捉えることが出来るようになるのか、この映画が起点となって世界に広まっていくことを願っています」と願いを込めて語った。佐藤は「災害は負の遺産でしかない、でもその負の遺産、起きてしまった事象を正確に伝えつつもメンタリティを少し変えて遺産にしていけるように、この映画を観て感じてもらえたらと思います」とコメントし記者会見は終了した。




(オフィシャル素材提供)



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