2020-01-24 更新
佐藤浩市、渡辺 謙、株式会社KADOKAWA 水上繁雄プロデューサー、椿 宣和プロデューサー
2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災発生。そして福島第一原発事故。日本人誰もが経験し、全世界が震撼した福島第一原発事故の関係者90人以上への取材をもとに綴られたジャーナリスト、門田隆将(かどたりゅうしょう)渾身のノンフィクション作品「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)原作の映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)が、2020年3月6日(金)に全国公開となる。
この度、佐藤浩市、渡辺 謙が福島県内をめぐる福島キャンペーンを実施した。キャンペーンでは本作で主演を務める佐藤浩市、若松節朗監督、KADOKAWA代表取締役副社長(エグゼクティブプロデューサー)の井上伸一郎が今も帰還困難区域が残る富岡町の役場へ表敬訪問。富岡町は本作の舞台のひとつであり、震災から10年目を迎えようとする2020年3月の公開をまえに、地元の方々と真摯に向き合った。そして、福島県の郡山テアトルでは、佐藤浩市、渡辺 謙、若松監督の3名が登壇する舞台挨拶を実施。「まずは、福島の方々に本作を観ていただきたい」という思いから、本キャンペーンは発足し、一般の方々に本作をお披露目する初の機会となった。
1月22日(水)に主演・佐藤浩市、若松節朗監督、井上伸一郎代表取締役副社長が富岡町役場に訪れ、宮本皓一町長に本作の完成を報告した。まずは代表して井上伸一郎代表取締役社長が「本日は映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)の完成を富岡町にご報告しに参りました。ぜひ、町長にも早く本作を観ていただければと思います」と挨拶し、若松監督は「撮影前の取材も含めまして、富岡町の方々には本当にお世話になりました。ぜひ、皆さまにも観ていただいて『この映画は世界に発信していくべき映画だ』と発信していっていただきたいと思っています」と感謝とともに力強く作品をアピールした。
そして佐藤は「(事故から)決して遠い過去ではなくて、ふと振り返ると昨日のことのように思い出されるかたもたくさんいらっしゃると思います。思い出されたくない方々もたくさんいるかと思いますが、この事故を風化させてはいけないためには、どうしても映像の力も必要であり、痛みを伴うけどこの事実を後世に伝えていくためにもこの映画は必要だと踏まえて観ていただけるとありがたいと思います」と静かに語った。
そして、本作では富岡町の〈夜ノ森公園〉(※現在は帰還困難区域で立ち入りが禁止されている)での撮影も行ったことについて若松監督は「劇中でも重要な“桜のシーン”の撮影をさせていただいたのですが、桜は美しいがこの桜を誰も見ることが出来ないと思うと非常に複雑でした」と吐露。佐藤も「(自身が演じた主人公・伊崎利夫)彼がどんな心境でこの桜を見ているのかという複雑な心をどこまで表現できたかは分かりませんが、桜の美しさと儚さ、この事故を絶対に繰り返してはいけないという想いが交錯して観る方々に届いてくれればいいなと思います」と想いを語った。宮本町長は富岡町での撮影について「この映画を私たちが生き証人として後世に伝えていくために、撮影許可を出すというよりはこちらからお願いしたいという気持ちでいっぱいでした。今まで富岡町をロケーションとして撮影したことなど無かったと思うので、町としてもみんなに観ていただけるようにPRしていきたいと思います」と改めて語った。
表敬訪問翌日の1月23日(木)に福島県郡山市の劇場・郡山テアトルにて舞台挨拶が実施された。一般の方へ初お披露目となる当日は「まずは、福島の方々に本作を観ていただきたい」という想いから実現。本作の主演を務めた佐藤浩市、渡辺 謙、若松節朗監督が登壇し、地元福島の方々へ本作への想いを語った。
佐藤は福島の観客を前に「やっとここまで来られたという想いでいっぱいです。決して、楽しんでくださいと言える作品ではないです。観るには苦しすぎるシーンもあるかと思いますが、どうか最後まで観ていってください」と挨拶。渡辺も「今現在福島に帰れない方々、この事故で人生を変えられてしまった人がたくさんいます。その想いを僕らが全て背負うことはできないけど、その人たちの想いを少しでも汲み取ってこの映画にぶつけていきましょうと、作品がクランクインした際にお話させていただきました。そこから作品が完成しこの地を皮切りにここの作品を発信できることを僕は誇りに思っています。この作品は必ず未来に繋がる何かを感じていただけるんじゃないかなと思っています」と力強く語った。若松監督は「5年前からこの映画のプロジェクトが始動しまして、ようやく完成しました。それも福島からこの映画を発信できるということを誇りに思います。誠実にこの映画を作ったつもりです」と福島の方々へ語りかけた。
福島の観客の前での舞台挨拶となることについて、佐藤は「客席を見渡しただけでも、こみ上げるものがある方がたくさんいらっしゃる。本当にここからスタートして、日本全国を周りながらもう一度考え直し、未来に繋げるということをここからスタートさせていただきます。応援してやってください」と深々と頭を下げた。そして渡辺は「正直申し上げますと、ちょっとドキドキしています。あの震災と事故を経験した多くの方々がいらっしゃるこの地でこうして試写会をするということで、果たしてどう受け止めていただけるかと不安もありました。でもこの作品の中には良い人間ドラマがあると思っています。私達は一生懸命に撮ってきたつもりですので、深い映画だなと思っていただけるのではと思っています」と改めて作品について語った。また、若松監督は佐藤、渡辺について「この二人がいなかったらこの作品は作り上げることは出来なかったです。現場のスタッフはこの二人の背中をずっと見ながら撮影に臨んでいました。とてつもなく熱い芝居を繰り広げています」と二人の凄さを観客に伝えた。
復興について質問された佐藤は「去年撮影をして、本当に復興は始まっているのかと思いました。この地の現状を他の方々はどれぐらい知っているのか。それをもう一度皆さんに感じてもらいたい。皆さんがこの作品を観てどう思われるかは分かりませんが、復興を始めるためには人間の力が必要でそれを進めていかなければならないことを各都道府県の方に伝えていきたいと思います」と訴え、渡辺は「復興というのは、それぞれ違う状況やバックグラウンドがあるので、一つの答えはないと思います。ただ、海も山も里も美味しい食べ物がたくさんある素敵な県が、もっと誇りを持って若い方たちが『福島出身なんだ!』と自信を持って言えるよう戻ってほしいなと思います」と切実に願った。
最後に佐藤は「負の遺産を少しだけ形を変えた遺産に変えましょう」と力強く語りかけ、渡辺は「僕の中で今まで福島を支えていくということが出来ていなかったと思います。ただ、一番自分ができる最大の仕事で福島の皆さまにお届けすることができたなと思っています。どうか受け取ってください」と語った。こうして福島での舞台挨拶は終了し、最後までキャスト・監督へ盛大な拍手が上がりながら幕を閉じた。
(オフィシャル素材提供)
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