2019-11-28 更新
落合モトキ、板橋駿谷、佐藤快磨監督
本年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で観客賞を受賞した、回復期リハビリテーション病院の新人理学療法士と彼女を取り巻く人々を描く『歩けない僕らは』が11月23日より公開され、11月27日(水)に、「おっさんずラブ(2016)」など人気作に出演が続く落合モトキ、NHK連続テレビ小説「なつぞら」の番長役でブレイクした板橋駿谷および佐藤快磨(たくま)監督がトークイベントに登壇した。
佐藤監督は脚本執筆前に、理学療法士さんだけでなく、元患者さん2人にも取材した。「取材する前は、”理学療法士さんが患者さんを見る”というベクトルでリハビリが進んでいくのかと思っていたら、取材をしたら、患者さんも意外と理学療法士さんの表情とかを見ていて、お互い見合っているという状況が面白いと思い、脚本に書いた」とのこと。
脳卒中の後遺症で半身麻痺となった患者・柘植(つげ)役の落合は、舞台となる回復期リハビリテーション病院にクランクイン前に見学に行った。「行ってみたら、リハビリをされている方たちは前向きというか笑顔で、『回復して何々をしたい』という意思・エネルギーを感じました」と話した。
板橋は、理学療法士の役のオファーが来た時の感想を聞かれ、「2年前に靭帯を切っていて、患者として1年リハビリテーションに通っていたので、この役はぴったりだなと思いました。リハビリは、なんでもない日常会話から始まるんですよね。自分は先輩役で、新人とベテランがいるという構図が、俺が行っていたリハビリ施設でも全く同じだったので、やりやすかったです」とのこと。リハビリの費用を聞かれ、「手術込みで両膝合わせて100万(円)いってます。たまったもんじゃないです。皆さん気をつけてください」と注意を促し、理学療法士役が来たことで、「ちょっとでも回収できたのでは」と笑いを誘った。
板橋は、2年前の撮影当時は舞台の仕事が多く、映像の仕事は少なかったそう。「年に3~4本ある内の1本だった。舞台は、稽古期間があってから本番なので、映像の現場は大変だった」と撮影時を振り返った。板橋は、最近は「なつぞら」の番長役が記憶に新しいが、いつもあたふたしているイメージがある「なつぞら」の番長役と、落ち着いた今回のリーダー役と、どちらがご自身に近いか聞かれ、「番長じゃないっすか?」と即答し、番長役しか知らない方が観ると、頼れる先輩役にびっくりされるという話を聞き、「なってんのかなー。俺も35だし、そうなっててほしいです」と話した。
落合は今回の柘植役は自分と近い部分はあったか聞かれると、「もし自分も半身麻痺になって、リハビリテーションに通うとなったら、不明確なところが出てきたりして、八つ当たりをしたりだとか、ああいう感じなメンタルになるかもしれない」と答えた。
観客とのQ&Aでは、「私のおばあちゃんが、脳梗塞で左半身麻痺なんですけれど、観終わってから、おばあちゃんとの向き合い方や家族との向き合い方が私の中で変わりました。皆さんは、映画を撮る前と撮ったあとで、変化はありましたか?」という質問があり、落合は、「僕の身近にも半身麻痺の人がいるんですけれど、接し方が変わったなというところがあります。最初は全てをやってあげようと思ったんですけれど、1から10までやってしまうとその人のためにはならないと思って、1周して突き放すじゃないですけれど、『自分でできるところはやってみましょうよ』というところも考えてもらえたらなと思いました」と回答。佐藤監督は、「映画の準備中にうちの祖父も脳卒中で倒れてしまって、祖父は一言も話せない状態になってしまったんですけれど、話さないと祖父が何を考えているのかが全然分からないというところで、父親とも『こういうことを考えているのではないか』と話したりする経験がありました。今回の映画で柘植は話せるんですけれど、話せるからいいかと言ったらそうじゃなく、話せるからこそコミュニケーションを取ることの難しさが理学療法士さんにあるのではないかと思い、そこを描きました」と話した。
板橋は、「理学療法士役のオファーだったので、『気楽に声をかけていこう』と思いました。痛いという人に対して、重くなったり、『どう声をかけよう』と思っちゃいますが、『大丈夫、大丈夫』というようなテンションでやりました」と話し、落合は、板橋にリハビリをしてもらうシーンについて、「(新人理学療法士役の)宇野(愛海)ちゃんには、そんなに寄っかかれなかったけれど、板橋さんには100%寄っかかれました」と話し、会場は笑いの渦に。落合が板橋について「『右出してください、左出してください』と汗をかきながら俺のことをリハビリしてくれました」と話すと、板橋も、「汗だくなんですよね。理学療法士の方たちは、相当な体力を使って体の一部一部を補正しています」と尊敬の念を語った。
「タイトルが『歩けない僕は』でなく『歩けない僕らは』である理由は?」という質問に監督は、「落合さん演じる柘植が突然歩けなくなる役なんですけれど、リハビリを担当する理学療法士の遥も、『歩けない僕』なのではないかと考え始めると、登場人物全員や自分自身も『歩けない僕』に含まれている、と行き着きました。この映画を見ている人にも跳ね返ってくればいいなという想いを込めて、このタイトルにしました」と答えた。
(オフィシャル素材提供)
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