2019-11-02 更新
佐藤快磨監督
7月にSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019で観客賞を受賞した、新人理学療法士が主人公の映画『歩けない僕らは』が、11月23日(土)より新宿K's cinema他にて公開される。本作で劇場デビューを果たす佐藤快磨監督が、11月1日(金)に、母校・ニューシネマワークショップ(以下、NCW)にて特別講座「映画監督になる方法教えます2019」に登壇し、来歴や、最新作『歩けない僕らは』などについて語った。
映画クリエイターコース[ベーシック]で監督した15分の『舞い散る夜』は、大学生が童貞を捨てようとする話でした。作品自体は課題がたくさんあるけれど、初めて撮ったので、クラスメートと一つのことをするというのが楽しかったです。
同じ年に、映画クリエイターコース[アドバンス]で自分の企画『ぶらざぁ』が選ばれ、監督しました。大学1年の時に5歳上の兄が僕の東京の家に居候しに来た実話が元です。NCWのOBの今泉(力哉)監督が「Movies-High」(ムビハイ:映画クリエイターコースの実習作品やOBが作った作品をー般にお披露目する映画祭)に来て面白かったと言ってくれました。監督として映画を撮り続けられたらなと思い、ぴあ(フィルムフェスティバル)を目指そうという想いを持って大学を卒業しました。
制作部の人たちの中で短編の企画コンペがあって、選ばれた人が援助金をもらって撮れるのですが、高校までのサッカーのモヤモヤ・未練を込めた脚本を出したんですけれど、短編のコンペに長編のシナリオを出しました。企画が選ばれ、援助金の制度を使うなら縮めなくてはいけないという話になったけれど、30分には収まらなく、自主で撮って、最終的には結果70分の映画になりました。
これでぴあに行くっていう目標がありました。高校までサッカーをやってきたので、サッカーへのモヤモヤ・未練を1回吐き出したいという想いがあり、100万円くらいUFJの(カードローン)バンクイックからお借りして撮りました。サッカー部のマネージャーが主人公なんですけれど、「脚本自体は秋田で撮る必要はない」と言われたけれど、クラスメートや俳優20人に夜行バスで秋田に1週間来てもらって、秋田の母校のサッカー部の1年生の控えの子たちを勝手に撮影に連れて行って、勢いのまま撮りました。
ぴあに入選したと電話で聞いた時は嬉しかったです。この後どうなるんだろうという期待。その後のことはプランなどなかったですが、釜山国際映画祭などに選ばれ、この映画にいろいろなところに連れて行ってもらったなというのがあります。映画の世界が見られた気がしました。ぴあに選ばれていなかったら、借金だけが残っていたかもしれないです。
公開したいという想いはずっとあったけれど、アクションを起こしていなくて。
ぴあのスカラシップでなんとか次の作品を撮りたいという想いがあり、脚本を2本くらい書いたんですけれど、結果落ちてしまいました。次の作品を撮らなければという想いだったんですけれど、同じくぴあで受賞した飯塚俊光監督(『ポエトリーエンジェル』)は既にVIPOのndjc(若手映画作家育成プロジェクト)で撮ることが決まっていて、話も聞いたりしました。その年、松永大司監督が『トイレのピエタ』でオリジナル脚本で長編デビューされて、岨手由貴子監督も『グッド・ストライプス』というオリジナル脚本で商業デビューされていて、どちらもndjc出身で、その時出会ったプロデューサーと商業デビューされていたので、オリジナル脚本で長編デビューできるチャンスがあるんだと想い、ndjcに応募しました。
それまでスタッフはクラスメートにお願いしていたのですが、プロデューサーを含めて、撮影照明スタッフさんたちは商業映画を撮られている方たちだったので、自分に何ができるんだろうということを学べたし、監督は演出しなきゃだめなんだなという課題・目標もできて、ターニングポイントになりました。
当時から有名でしたけれど、プロの役者さんとスタッフさんとご一緒するいい機会になりました。
『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』を撮った後に、いろいろなプロデューサーから名刺を頂戴して、何かあるんじゃないかと期待しかなかったです。でも、ぴあもndjcもプロデューサーと出会う場でしかなくて、その時面白い脚本が手元にあれば、どうにかなったのかなとも思うんですけれど、結局受け身だったので、何もなくて。その時に『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』を観たという方から、PRムービーを作らないかというオファーがあったんですけれど、蓋を開けてみたら、僕の作品を観ていなかったんです。それがショックで、腐っている時に、ぴあで名刺をいただいていたプロデューサーから、回復期リハビリテーション病院を舞台にした映画を作らないかという電話があり、二つ返事でOKしました。脳卒中で半身麻痺が残ってしまった方などが入院している病院で、簡単な気持ちで撮っちゃいけない題材だなと思ったんですけれど、今まで自分の内側から出てきた自分の話しか撮ってこなかったので、自分の外側のもので自分は何が撮れるかなと思って、受けました。撮影した栃木の病院に1年くらい通わせていただいたんですが、通っても通っても脚本が書けなくて。最後にバーッと書けたという感じです。
セラピスト(理学療法士)役の宇野愛海さんも半身麻痺役の落合モトキさんも、セリフはあるけれど、身体的な動作は二人が役作りしてくださいました。監修の方たちも本番直前までかなり細かく見てくださったので、二人は動きを現場でどんどん吸収してくれました。身体的な要素が大きくてセリフのニュアンスも変わるような映画なので、役者さんやセラピストの方たちが頑張ってくれた映画だと思います。
初めましての方もいらっしゃったんですけれど、『ガンバレとかうるせぇ』のカメラマンなどスタッフは気心の知れた方が多かったです。今回は俳優さんたちとお互い話しました。一緒に取材に行った時など、クランクインする前からいろいろ話しました。身体的にもセリフの掛け合いも、ぶつかり合いが映っていると思います。
やっとというか。良かったです。
ニューシネマワークショップ(NCW)の2020年度4月コースは、1/14(火)より申込受付開始となります。詳しくはホームページをご覧ください。https://www.ncws.co.jp (外部サイト)
(オフィシャル素材提供)
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