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『子供はわかってあげない』
公開記念舞台挨拶

2021-08-21 更新

上白石萌歌、細田佳央太、千葉雄大、沖田修一監督

子供はわかってあげないkodomoha ©2020「子供はわかってあげない」製作委員会
©田島列島/講談社

配給:日活
絶賛公開中!

 数々の賞を受賞した田島列島の人気コミックを映画化した『子供はわかってあげない』の公開を記念して8月21日(土)、東京・新宿のテアトル新宿にて舞台挨拶が行われ、主演の上白石萌歌をはじめ、細田佳央太、千葉雄大、沖田修一監督がそろって登壇した。


 昨年公開の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、約1年の延期を経て公開にこぎつけた本作。上白石は「私にとって大切な作品をこうして公開することができて嬉しいです。本当にありがとうございます」と映画を鑑賞したばかりの観客に向かって深々と一礼。「昨日は興奮して、原作の漫画と映画の台本をウルウルしながら読み返してしまいました。本当にこの映画の公開を心待ちにしてたんだなという気持ちとこの映画が私にとってこんなにも大切で、心の大きいところを占めてたんだなというのを感じました」と熱い思いを語った。

 既にSNS上でも数々の称賛のコメントが見られる本作だが、中でも観客の心を鷲づかみにしそうなのが、終盤の屋上での美波(上白石)ともじくん(細田)の告白シーン。実は、この舞台挨拶の登壇直前に、上白石らは劇場の後ろから、こっそりとこのシーンを含む終盤を観客と一緒に鑑賞していたとのこと。上白石さんは、改めてクランクアップの日に行われたこのシーンの撮影を振り返り「初めて原作を読んだ時から震えるほど素晴らしいシーンで、自分が演じることが決まって台本でそのシーンを読んだ時は、胸がいっぱいになって、台本をスッと閉じて深呼吸をしてしまうくらいでした。恥ずかしくて大笑いした後に、泣いてしまうというお芝居を自分ができると思っていなくて、『無理なんじゃないか?』と思って現場に行ったけど、もじくんを見ていると泣けてくるような高揚感がありました」と語る。


kodomoha

 細田は、上白石、千葉、沖田監督と一緒にこのシーンを劇場で久々に観て「少しの恥ずかしさもありつつ、『温かいな』と一番に感じました。このシーンを観るだけで、撮影風景がよみがえってくるくらい、核になっているシーンだなと感じました」としみじみ。

 細田は、2年前の撮影時はリアル高校生だったが、改めて本作における経験の大きさについて尋ねると「いまよりもまだまだ技術的にも精神的にも足りていない時にこの作品に出合って、沖田監督をはじめ、素敵なキャストの皆さんに出会い、特に美波ちゃんを演じた上白石さんの精神的な強さに一番影響を受けて感化されました。海に入ったり日に当たったり、毎日撮影があって疲れているはずだけど、そういう顔を見せずに現場でいつもキラキラしていて、自分もこうならなきゃと勉強になったし、自分の足りないところが見つかりました。精神的な面でこれからも自分の土台になるだろう作品になりました」と語った。


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 そんな細田の言葉に上白石は照れた表情で「私はずっともじくんを演じる佳央太くんに支えられていました。あの美波を引き出してくれたのは、もじくんの懐の深さだと思っています」と感謝を口にしていた。

 千葉は、『モヒカン故郷に帰る』に続いての沖田監督との仕事となったが、実は同作のプロモーション活動で、沖田監督との忘れられない思い出があり、それが本作への出演にも繋がっているそう。「『モヒカン故郷に帰る』の宣伝キャンペーンが終わって、みんなでホテルの部屋で飲んだ時、みんな、結構酔っぱらってたんですが、沖田さんが僕に『俺についてこい! 任せておけ』みたいなことを言ったんです(笑)。そうしたら、またこうして呼んでくださって、有言実行の男だなと思いました(笑)」と楽しそうに明かす。


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 沖田監督はこの時のことを「酔っぱらって全く覚えていない(笑)」とのことで「次の日、周りの人たちにすごい目で見られました。『昨日、千葉くんにすごいこと言ってたよ』って……」と苦笑交じりに語っていた。


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 そんな沖田監督にとって、本作は初の漫画原作の実写化となった。沖田監督は「田島先生の原作がそもそも面白くて、上下巻でちょうどいい長さなので、このままやったら単に“映像化”になってしまう。原作のユーモアや懐の深い優しいところを何とか映画に持ち込めないか? “映像化”ではなく“映画化”したい、田島先生の世界観を映画に持っていきたいなと思いを込めて作りました」と語った。

 また作品タイトルにちなんで、「わかってはいるけど、わかってあげないこと、やめられないことは?」というお題に、上白石は「最近、すごくガチャガチャにハマってまして、地面にカバンを置いて、しゃがんで回し続けて、気づいたらすごいお金を使っています(苦笑)。『絶対にこれほしいから、あと5回!』という感じで大変なことに……」と告白!

 千葉は「いま32歳ですが、年齢を重ねていくとぬいぐるみと距離ができてくるじゃないですか? いまの家に引っ越した時、ちょっと大人の部屋を目指して、そういうものとサヨナラをしたんですが、寂しくて……気づいたら今、ベッドがぬいぐるみだらけです。こういうことを言うと『千葉くん、かわい子ぶって』とか『あざとカワイイ』とか言われそうですけど、それだけは『わかってあげない!』と言いたいくらい(ぬいぐるみがあると)落ち着くんです」と熱く語った。

 この日は原作者の田島列島先生からサプライズでイラスト付きの手紙が到着! 「全国公開、おめでとうございます。撮影のとき、沖田監督が笑いながら撮っていたのがおもしろかったなーとなつかしく思い出します。演者の皆さんにお会いする時、いつも挙動不審ですみません。やさしく対応してくださり、ありがとうございます。一生の思い出です」という内容に、キャスト一同も沖田監督も感激! 細田は「いまは全部メールで、手紙なんてなかなかもらわないので余計に嬉しいです」と笑顔を見せ、上白石も「この作品の生みの親である田島先生にこんな素敵なことを言っていただけて、素敵な絵まで……」と喜びをかみしめていた。


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 舞台挨拶の最後に、上白石は「皆さんにとってもこの映画が大切な作品になってくれれば嬉しいです。ほんのりと活気を与える作品になっていると思うので、大切な人と観てほしいです。『教え合う』というのもこの映画の大切なテーマなので、皆さんもこの映画のことを教え合って、いい循環が生まれたらいいなと思っています」と呼びかける。

 沖田監督は「夏休みみたいに、長いような、短いような……そんな映画だと思います。いろいろと思うようにいかない夏ですが、少しでもこの映画で夏気分を味わっていただけたらと思います。誰かの夏におススメしてください」と語り、温かい拍手の中、舞台挨拶は幕を閉じた。

 『子供はわかってあげない』は全国公開中。



(オフィシャル素材提供)



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