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『初恋』
第72回カンヌ国際映画祭「監督週間」リポート

2019-05-17 更新

初恋hatsukoi
© 2020「初恋」製作委員会
 © Kazuko Wakayama

 三池崇史監督×窪田正孝主演の映画『初恋』が、第72回カンヌ国際映画祭2019「監督週間」にて選出され、窪田正孝、小西桜子、三池崇史監督が参加、現地で記者発表を行った。


▼5月15日(水) 現地記者発表@FIVE SEAS HOTEL roof▼

三池崇史監督: 『初恋』でカンヌ映画祭は2年ぶり7回目、「監督週間」には4年ぶり3回目の選出。

窪田正孝: 負けるはずのない相手との試合でKO負けを喫したことから、人生の歯車が一気に狂い、アンダーグラウンドの世界で巻き起こる人生で最高に濃密な一晩を過ごすこととなる主人公のボクサー葛城レオを演じる。今回が初のカンヌ参加となる。

小西桜子: オーディションで3000人の中から、物語の重要な役どころ、モニカ(桜井ユリ)を射止めた新時代のミューズ。今回が初のカンヌ参加となる。


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 朝の雨が嘘のように晴れ、爽やかな気候の元カンヌの地で行われた本発表会見。今回初めてのカンヌ参戦となった窪田は「カンヌという聖地に連れてきてもらい感無量です。作品はパワフルでスピード感がすごくて、観る者の目を惹きつける力があり、自分自身も熱くなるものがありました。世界の人に観てもらいたい」と熱く語り、「カンヌは空気が違って、映画ファンも世界各国のメディアもたくさんいて……とても気分がいいです! テンション上がってます!」と笑顔をみせた。同じく、初のカンヌ参戦である小西は「今ここにいることが夢みたい。こんな機会滅多にないと思うので一生残る経験になると思います!」と初のメディア取材の場に登場するとあって緊張の面持ちを見せながらも、「この作品が初のカンヌの地で感無量です。三池監督に連れてきてもらい、私も感無量です」と笑顔でコメント。

 今回、カンヌ映画祭は2年ぶりで7回目の参加となる三池崇史監督は「みんなでつくり上げた作品が、自分たちを昨日と違う景色へ連れて行ってくれる。映画とは夢のあるもの。映画を観客と共に観るというのは格別な時間でありとても楽しみ。ジェレミー(プロデューサー)からも率直な感想もらいながらつくっていた。今の時代にしかつくれないものが、素晴らしいキャストと共につくれた。自分たちのつくりたいものがこの時代につくれて光栄」と作品に対する自信をみせた。また、プロデューサー陣も「一生懸命つくった作品なので、このようにカンヌの地で披露されるのが嬉しい」(紀伊プロデューサー)、「全てが一年未満の間でつくった作品ですが、とてもパワフルな作品に仕上がった。ぜひ多くの方に観ていただきたい」(坂プロデューサー)、「日本映画が大好きですし、また三池と映画をつくれることに喜んでいます」(ジェレミー・トーマスプロデューサー)と語り、本作がカンヌの地に降り立ったことについて喜びを露わにした。


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再びカンヌの地に舞い戻ってきて

三池崇史監督: こういう人間たちを描いて、こういうストーリーを作っているときの自分はとてもテンションがあがる。Vシネマというのは、日本ではアウトローなジャンルとして認識されていたが、好きなものは好きとはっきりしている海外が、このVシネマで自分の作品を目にとめてくれた。そこから海外で好き放題やっていたこともあって、海外に来ると自分の居場所というような“興奮状態”になる。「監督週間」はいわば監督の“登竜門”なんだけど、何回か選んでくれてなんだかループしているみたい(笑)。でもそういう関係を長い時間かけて作れることに感謝しています。


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「ケータイ捜査官7」以来、10年ぶりの主演での窪田さんとの再タッグについて

三池崇史監督: 国民的スター窪田が主演をやってくださって、いいやつだな、と(笑)。彼とは「ケータイ捜査官7」で出会った。ハードなスケジュールの中、カンヌに駆けつけてくれて非常に嬉しいし、やっぱり“映画の人間”なんだと思った。

窪田正孝: 三池監督とは右も左も分からない時にお会いしたんですが、第一印象は、すごく怖い人(笑)。1年間もんでいただいて、指導というよりは現場で感じさせていただいた。『十三人の刺客』(10)の時も、先輩方の背中を見ながら、葛藤しながら、もっと頑張りたいと思っていました。「ケータイ捜査官7」の時、“あいつを選んだ理由が分かる”と言ってくれたのがすごい印象に残っています。
 ずっとやりたかったボクサー役で、三池監督が言ってくださった10年後にまた、三池さんの世界に没頭できたことは幸せでした。映画やTVに出させていただいている中で、演者としてフラストレーションが溜まることは、役者さんの誰しもが経験するかと思うのですが、今回そういった感情がみんなこの作品を通して爆発していて……観ていただいたら分かると思います。日本の映画はこうあるべきだと思うし、こういう生き方をしたいと思いました。感無量です。


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数多くのオーディションからこの役を勝ちとり、三池監督の作品に参加して

小西桜子: オーディションの時から私の想いを聞いてくださって、選んでいただけたのかなと感じています。三池さんは演技のテクニックより感情を引き出してくれました。私らしさを重視して演技指導してくださいました。


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その他のキャストの方々と共演した感想

窪田正孝: 他の共演者の方とほとんど絡んでいないんですが(笑)、でも、皆さんそれぞれに誰も被らないカラーがあり、一緒に芝居をしている中で、本能的なものを非常に感じ、それがとても印象に残っています。

小西桜子: 他キャストの方と絡むシーンがあまりなかったのですが、映画やテレビで見ていた方々と共演させていただいたので、とても光栄で、夢みたいでした。ベテランの方々の演技をみて、自分も負けてられないな、と思いました。


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このキャスト陣と本作を作られた感想や手ごたえ

三池崇史監督: 役者で生きていこうと思う人間の根っこには、アウトロー的な血が流れてると思う。今回出演した役者たちは、それぞれの役に共鳴していたと思うし、だからこそリアリティが生まれた。今回の作品を通して、役者というのは、人間が抱える“喜び”と“ストレス”を生かすという職業なのだと、改めて感じた。そういう要素は、アウトロー的な映画をつくる我々にとってはとてもいい状況。そんな環境を与えてくれたプロデューサー陣、東映には感謝。観た全員が、この映画好きだな、だけど自分の演技はもっとやれる、といったような新たな発見や高みを見出される作品に仕上がったと思う。内野は今作の役と比べるとすごいギャップだけど(笑)。

窪田正孝: 三池さんの人柄は昔から変わってないです。“遠くない親戚のおじさん”のような存在。三池さんがカンヌに行かれている記事を見る度に自分も行きたいな、三池さんと今度はいつできるんだろと思っていましたけど、やるべきことを自分はやるんだと思い続けていたんです。そしてまたこうやって再会できた。10年前が自分の原点です。三池さんは僕の恩師ですね。
 明日日本に帰ってしまうので、観客の方々のリアルな反応を見られないのがすごく残念です。だけど、錚々たる型にはまらない方々が揃っている映画です。そんな映画を三池さんがまとめている、それが『初恋』です。


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三池崇史監督: 出来上がってしまえば、観る方の判断。今回の機会が、また違う作品をつくれるきっかけになればいいなと思っている。観客の反応は気になるけどそれはもうお客さん次第なので、ただ楽しんでほしい。どんなに暗い場所にいたとしても輝く可能性がある、それをアウトローが輝かせた。そんな作品になった。じっくりと楽しんでほしい。


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プロデューサー陣、作品の仕上がりに自信

紀伊宗之(企画プロデューサー): 映画をつくる上でも日本はなかなか生きにくい世の中になっている。なので、思いっきり暴れたものにしたいという想いで、三池監督と坂とこの映画をつくった。キャストに関しては、映画で主演をはれるような俳優を使いたいと思ったのと、主演が窪田というのは全員一致で決まった。モニカ役の桜子は、オーディション3000人の中から選びました。みんな思った通りの素晴らしい俳優陣で、集まっていただいて本当によかったです。

坂美佐子(プロデューサー): キャスティングを決める際に、イメージ・キャストというのを考えるのですが、そのイメージが全て見事にハマっためずらしい作品でした。

ジェレミー・トーマス(プロデューサー): 三池監督とまた作品つくりができたことは感無量です。長年タッグを組んでいてどんどん相性がよくなっているように思えます。今回カンヌに選ばれたことはとても意味のあること。とてもユニークで、今だからこそできる作品に仕上がったと思う。カンヌを含め、世界の方たちに受けいれていく様子がみられることが今からとても楽しみです。



(オフィシャル素材提供)



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