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『パラサイト 半地下の家族』
舞台挨拶付プレミア上映イベント

2019-12-28 更新

ソン・ガンホ、ポン・ジュノ監督、吉沢 亮

パラサイト 半地下の家族parasite 配給:ビターズ・エンド
2020年1月10日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー!
© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED会

 12月27日(木)より、TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田にて特別先行公開がはじまった第72回カンヌ国際映画祭<最高賞>パルムドール受賞、ポン・ジュノ監督最新作『パラサイト 半地下の家族』(1月10日全国公開)。本作は、ゴールデングローブ賞3部門ノミネートを筆頭に、オスカー前哨戦各賞で作品賞はじめ怒涛の受賞、アカデミー賞®受賞も有力視されている。この度、本作の主演ソン・ガンホと、ポン・ジュノ監督が『グエムル -漢江の怪物-』以来13年ぶりに二人揃っての来日を果たし、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて舞台挨拶を実施。さらに、ポン監督のファンを公言している、いま最も旬な俳優吉沢 亮もサプライズ登壇を果たした。

 全員失業中の貧しい一家とIT企業を経営する裕福な社長一家という相反する2つの家族の出会いから想像を遥かに超える展開へと加速していく物語は、既に韓国動員1000万人突破、フランス動員160万人突破ほか、各国で動員記録を塗り替える爆発的な盛り上がりをみせている。その後もオスカー前哨戦ともいわれるトロントや、ニューヨークなど各国の映画祭で絶賛&受賞を重ね、第92回アカデミー賞®受賞も有力視されている。


 MCの呼びかけでポン監督、ソン・ガンホ2人が登壇すると、映画を観終わったばかりで興奮冷めやらぬ客席から大きな拍手と歓声が鳴り響いた。鳴りやまない拍手の中、今回4度目のタッグとなる息の合った2人の舞台挨拶がスタート。


ひと言ご挨拶をお願いします。

ポン・ジュノ監督: こんにちは。本日はお越しくださいましてありがとうございます。今日から先行公開ということは、日本で初めて本作をご覧になったということですよね。まだ観ていない人たちがたくさんいますので、これから外に出たら映画の後半については絶対に話さないでくださいね(笑)。お願いします。

ソン・ガンホ: 日本の皆さんにお会いできて嬉しいです。皆さんにこの映画を通してご挨拶ができることを光栄に思っています。ご覧になった皆さんならお分かりだと思いますが、息子役を演じたチェ・ウシクは私よりも少しだけ多く出演しているので、彼は自分が主人公だと言い張っているんですよ。でも主人公は私です(笑)。


本作の設定の発想はどこからきたのですか?

ポン・ジュノ監督: 実際に、生きていく中では裕福な人々と貧しい人々は分かれて生活しています。利用するレストランや場所も違う。この映画では、両者をお互いの匂いが嗅げるほど近づけてみたいという意図がありました。
 日本でも大学生は家庭教師のアルバイトをしますよね? 実は私も大学生の時に、裕福な中学生の家庭教師をしていたのです。ある日、その裕福な家の内部を意図せずして覗き見る機会を得たのです。そのアルバイトは私の当時の彼女の紹介で始めました。私も別の友人を紹介しようとしたのですが、その前にクビになってしまったのでそれはかないませんでしたが……。シナリオを書く時には、当時の気分を思い出しながら書きました。


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映画のオファーを受けた経緯について聞かせてください。

ソン・ガンホ: 監督はいつも、シナリオを全て書き終えてから渡してくるわけではありません。本作に関しても、4年くらい前にイメージの説明がありました。それは、酔っ払いが立ちションをして、それが窓を伝って壁に下りて来る、そんな半地下に住む家族の話です。そして2回目には、貧しい家族がお金持ちの家族の中に入っていくという話を聞かされました。私は当然社長の役だと思っていたのですが、まさか半地下にいる役だとは……夢にも思いませんでした(笑)。


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お互いの印象を教えてください。

ソン・ガンホ: 監督とはもう20年一緒に仕事をしています。作家として監督として、社会に向ける温かく時に鋭いまなざしが、より深く広くなっています。俳優としてそれを見守ることができるのは感動的なことです。これからも監督の世界を見せてほしいと思います。

ポン・ジュノ監督: 今回の撮影で、クライマックスのシーンは撮る前に非常に悩みました。ン・ガンホさんのクローズアップなのですが、主人公がそこでしてしまう突発的な行動は、一部の観客にとってはおかしく感じられるのでは、説得ができないのでは、論争を巻き起こすのではと。ところがとりあえず撮ってみようと撮影して、モニターを見たら、その悩みはきれいに洗い流されました。まさにその人物そのもの、彼のまなざしと表情、醸し出されるものを見て、私のそれまでの悩みは無意味なものだったと思いました。最近、あるアメリカの評論家があの場面を「今年のクローズアップ」だと評価しました。とても嬉しい評価です。偉大な俳優だからこそ、成し遂げられる瞬間だと思いました。


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アカデミー賞®について。

ポン・ジュノ監督: こればかりはどうなるか分かりません。予測は難しいです。トロント映画祭で是枝監督にお会いしました。監督はパルムドールの後にオスカーにノミネートされました。「これから忙しくなるけど頑張ってね」と言ってくださり、とても嬉しかったです。万が一、本作がオスカーにノミネートされたら、また映画を観て分析してくださいね。


 オスカーの話題が出ると会場からは大きな拍手が沸き起こり、映画を観終わった観客からの大きな期待が寄せられた。ここで、ポン監督の大ファンだというサプライズゲストとして、俳優の吉沢 亮が登場! 会場はさらに大きな歓声と拍手の渦に包まれた。


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吉沢 亮: 以前、僕の好きな映画12本をモチーフにしたカレンダーを作ったのですが、そこで『母なる証明』を使わせていただきました。お母さんの恰好をして草原でフラフラしていたのですが(笑)。昔から作品を拝見しているので嬉しいです。本作を拝見して、もう純粋に「すげーっ」という気持ちになりました。ここ何年かで観た中で一番の作品です。圧倒的なエンタメ感がすごい。一つの映画の中に笑い、涙、ホラー、サスペンスなど、様々な要素が入っていて、それが一切邪魔をせず完璧に調和・融合していました。絶対観るべき映画だと思います。普段映画感に行かない方にこそ、観ていただきたいです。


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ポン・ジュノ監督: 今の吉沢さんの映画評で、実際よりも本作が素敵に感じられると思います。ところでご自身がイケメンだと気づいたのはいつですか?

吉沢 亮: 小学5年生の時です(笑)。

ポン・ジュノ監督: いったいなぜ、4年生まで気づかなかったのですか(笑)? 吉沢さんの出演作『リバース・エッジ』を拝見しました。行定 勲監督とは親しくさせてもらっていて、監督の作品はたくさん観ています。素敵な青春の姿を演じていると思いました。

吉沢 亮: こんな場所に僕がいるのはおこがましいと思うほどなのに、作品を観ていただいていたというのは素晴らしいことです。いつかご一緒できたら、そんな夢のような日が来たら嬉しいです。ところで、本作で僕が好きな場面は、大雨のシーンで娘が家の便器に座ってタバコを吸うところです。あの絵でいろんな感情が見えてくる。

ソン・ガンホ: 私は過去の出演作品でもなぜか水に縁があります。皆さん、お分かりと思いますが、監督は水が与えてくれる印象を大事にしています。悲しみ、哀れみ、人間として感じ取ることができる偉大な感情を、水を通して表現しています。

吉沢 亮: ここでしか聞けない貴重なお話ですね。


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最後に観客にメッセージをお願いします。

ソン・ガンホ: 初めての上映に大勢お集りくださりありがとうございます。この映画は、誰かが誰かを恨んだり、憎んだり、対立する映画ではありません。韓国に限らず、どこの国の人にも感じることができる、どう生きたら良いのかと問いかけてくる映画です。この映画を観て、幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。

ポン・ジュノ監督: 日本で一番早く本作を観てくれた大切な皆さん、ありがとうございます。この映画が皆さんの頭と胸に入り込み、永遠に抜き取ることができない“寄生虫”になったら嬉しいです。


 舞台挨拶を終えると、二人はおどけながら撮影用の大きな手持ちパネルを一緒に持って舞台を降り、笑いと拍手に包まれた舞台挨拶を締めくくった。



(オフィシャル素材提供)



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