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『パラサイト 半地下の家族』
来日記者会見

2019-12-26 更新

ソン・ガンホ、ポン・ジュノ監督

パラサイト 半地下の家族parasite 配給:ビターズ・エンド
2020年1月10日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー!
© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

 第72回カンヌ国際映画祭<最高賞>パルムドール受賞、ポン・ジュノ監督最新作『パラサイト 半地下の家族』(1月10日全国公開)。本作は、ゴールデングローブ賞3部門ノミネートを筆頭に、オスカー前哨戦各賞で作品賞はじめ怒涛の受賞、アカデミー賞®受賞も有力視されている。

 この度、27日(金)からTOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田での特別先行公開に先駆け、本作の主演ソン・ガンホと、ポン・ジュノ監督が『グエムル -漢江の怪物-』以来13年ぶりに二人揃っての来日を果たし、記者会見に出席した。


 ポン・ジュノ監督とソン・ガンホが二人揃って来日するのは『グエムル-漢江の怪物-』以来、13年ぶり。大勢の取材陣が集まる中、ポン監督とソン・ガンホが登壇すると会場は大きな拍手に包まれた。ポン監督は「既に多くの国で公開されていますが、遂に日本で皆さんにお目にかかることができました。ありがとうございます」と挨拶。そしてソン・ガンホは「(『弁護人』以来)3年ぶりに皆さんにお会いできました。今回はポン監督と一緒に来日できて嬉しいです」と挨拶し、会見がスタートした。今回が4度目のタッグとなる二人は会話の呼吸もぴったり、終始笑いに溢れた明るく和やかな会見となった。


改めてお二人揃っての来日について感想をお聞かせください。

ポン・ジュノ監督: ソン・ガンホさんとは2003年に『殺人の追憶』で初めて、そして2006年に『グエムル-漢江の怪物-』で一緒に来日しました。今回は13年ぶりとなります。とても意義深い時間になったと思っています。

ソン・ガンホ: 監督とはこれで4作目のご一緒となります。私は他にもいろいろな監督の作品に出演していますが、どうも皆さんはポン監督の作品でないと愛してくれないようですね(笑)。ついに今回来日できて、私も皆さんに愛される準備ができました。


本作は世界中で熱狂的に受け入れられています。この現象についてどう思われますか?

ポン・ジュノ監督: まったく予想もしていませんでした。私は、素敵な俳優陣とともに淡々と本作を作っていたんです。それが世界で予想もしない反響を受けることとなりました。日本でもそのような反応が起きてくれたら嬉しいですね。今回はソン・ガンホとともに来日しましたが、全てのキャストが見事なアンサンブルを見せてくれました。すばらしい俳優の皆さんの手柄だと思っています。私は人間の感情の言語は万国共通だと考えています。だからこそ、世界で同時多発的に良い反響をいただけたのでしょう。

ソン・ガンホ: この物語は特定の国に限らず、私たちが生きる地球上全てで起こりうる物語です。それを監督が温かい視線で描いたため、多くの共感を得られたのだと思います。監督は今、「俳優の手柄」だと言いましたが、私は監督の20年の努力、そして監督だけが持っている野心が実を結んだ結果だと思っています。


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本作はどこから着想を得たのですか?

ポン・ジュノ監督: この物語は大学生の息子が裕福な家に家庭教師に行くところからスタートします。日本でも大学生が家庭教師のアルバイトをすることは多いと思いますが、韓国も同様です。私もとても裕福な家の家庭教師をしていたのです。ある日、意図せずしてその家の様子を隅々まで見る機会がありました。他人の私生活を覗き見るという機会を得たのです。実はそのアルバイトを紹介してくれたのは当時の私の彼女で、今の妻です。なんとなく映画と似たような状況ですね。幸いにも私は2ヵ月でクビになったので、この映画のような展開にはなりませんでしたが、シナリオを書いている時は当時の記憶が蘇りました。


監督から本作の構想を聞いたのはいつですか?

ソン・ガンホ: 4年ほど前だったと思います。監督はいつもシナリオが書き終わってから渡すのではなく、構想を練っている時から小出しに巧妙に見せてくるのです。4年前に話を聞いた時には、貧しい家族と裕福な家族が出てくる、ということでしたので私はもちろん裕福な役を演じるのだと思っていました。年齢もそこそこ重ね、その間に品位も高まりまして、当然ながら裕福な社長の役をやるのだと。それがまさか半地下に連れていかれるとは……(笑)。次からは大雨が降るとか階段が出てくる映画には出演したくないですね。


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格差と貧困を扱った映画はこれまでにもありました。本作が国境を越えて受け入れられているのはなぜだと思いますか? 世界を回って来られた経験も含め、教えてください。

ポン・ジュノ監督: 是枝監督の『万引き家族』やジョーダン・ピール監督の『アス』など、共通点のあるテーマの作品は多く作られています。ただ、海外では「この映画では富める者と貧しい者の善悪の区別がない」という評判をよく耳にしました。明確な悪党や善人が出てこない。だからこそストーリー展開を予測するのが難しかったと言われます。また、悪党はいないのにも関わらず、終盤にある悲劇が起こります。それがまさに本作が描こうとしていることなのです。善人悪人に分かれていないこの映画が持つレイヤーが、共感を呼んでいるのではないでしょうか。

ソン・ガンホ: 貧しい人と裕福な人の葛藤を描くだけではなく、私たちがどう生きるべきかを監督は語ろうとしています。 今の時代を生きる全ての人が同じように考えさせられる、それが共感を呼んだのではと思います。


ソン・ガンホさんが演じることを想定してシナリオを書いたのでしょうか? いつも演じるキャストを想定して当て書きをするのですか?

ポン・ジュノ監督: 『グエムル-漢江の怪物-』には4人の家族が登場しましたが、シナリオを書く時からその構想がありましたし、演じる 4人の俳優には事前に話してシナリオを書きました。『母なる証明』では、最初からキム・へジンを想定して書いています。今回は、ソン・ガンホさんとチェ・ウシクさんの2人には事前に話をしてシナリオを書きました。俳優のしぐさや表情を想像して書くと、人物を描くのにとても役に立つのです。ソン・ガンホさんに話した時には、2つの家族が出てくる変な映画だとシンプルに説明しました。チェ・ウシクさんには、「今とても痩せていますが、これから太る予定はないですよね? 痩せたままの体形でいてください」とお願いしました(笑)。


ソン・ガンホさんはポン・ジュノ監督作品であれば必ず出演しようと思っているのでしょうか。

ソン・ガンホ: 監督とは20年くらいの付き合いで、ファンとして同志として、そして同僚としてずっと仕事をしてきました。初めて出演したのは『殺人の追憶』ですが、デビュー作である『ほえる犬は噛まない』も観ていました。非凡で独特、すばらしい芸術性を持っている人だと思っています。新しい監督の世界を見たい、深まっていく監督の野心を見たいと思っていましたが……、でも今は違います(笑)。雨が降ったり、半地下に連れて行かれたりしたら、おそらく考え直すでしょう。

ポン・ジュノ監督: ちなみに、来年渡そうと思っているシナリオのタイトルは『梅雨時の男』です(笑)。


本作の撮影で、改めて「すごい」と感じたお互いのエピソードを教えてください。

ソン・ガンホ: 韓国で初めて本作の記者会見をした時に、私は本作を「監督の進化の形だ」と言いました。『ほえる犬は噛まない』『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』『オクジャ/okja』と、20年間、監督は作家として社会を鋭い視線でとらえてきました。この世界で我々は全てを抱えて生きていかなければいけないという叫びを感じたのです。私は、監督の世界が広がっていくところを見てきました。本作は、芸術家としての一つの頂点なのではと感じています。監督の進化の終わりはどこなのか。次のリアリズムの発展はどのようなものか。怖いようですが心待ちにもしています。私をドキドキさせてくれる、唯一の監督です。連れて行かれたりしたら、おそらく考え直すでしょう。

ポン・ジュノ監督: 演出家、そして監督の視点からお答えします。私は“ソン・ガンホ”という俳優の演技を撮影中のモニター越しに世界で最も早く目撃できる立場にいました。私が予想もしなかったディテールや、動物のような生々しい演技が目の前で繰り広げられる、ぞくぞくするような状況が撮影中毎日のように起きるのです。ただ、最も重要な点は、実は撮影前にシナリオを書く時点で感じているのです。本作でいうと、クライマックス。議論にならざるを得ない難しいシーンがあります。ここはシナリオを書いている時にとても悩みました。このシーンは観客を説得させることができるだろうか、と。キーボードを打つ手が止まってしまったのですが、ソン・ガンホが演じてくれるということで安心して書くことができたのです。難しい場面も、彼であれば観客を説得できるだろうという信頼があったのです。シナリオを書いている段階から、彼は私の恐れや躊躇を突破させてくれると気づいた時、自分でも驚きました。そのように根本的なところで信頼できる俳優なのです。


ポン監督の演出面で何か特殊なことはありますか?

ソン・ガンホ: 監督は俳優の前でこういう演技ですと見せてくれます。監督と同じように演じれば良いので、これはとても分かりやすい。彼のユーモアに溢れた雰囲気は他の監督とは違うと思います。多くの俳優やスタッフが彼と一緒に映画を撮りたいと思っているはずです。


監督とのこれまでの仕事で、いくらなんでも無茶ぶりだと思ったことはありますか?

ソン・ガンホ: 俳優にできないことを注文することはありません。ただ……、なぜか太ってほしいと望まれるんですよ。本人が太っているからでしょうかね(笑)。普通は痩せてかっこよくなってほしいと言われるはずなのですが、なぜか太ってほしいと。なので監督の一番良いところ、それは「痩せろ」と言わない唯一の監督であることです。

ポン・ジュノ監督: 『殺人の追憶』で、少しぽっちゃりした田舎の刑事の雰囲気を出して欲しいと言いました。体重をいきなり増やすと関節が痛んだりして大変ですよね。本作では奥さんのチャン・へジンが体重を増やすのに苦労していました。実は私は家族から、俳優にそれを言う前に自分が痩せたらどうなのか、と小言を言われています(笑)。


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これから映画を観る方へひと言お願いいたします。

ソン・ガンホ: 公開が明日に迫った今、どのように感じられるのかドキドキしています。万感胸に迫る思いですが、ぜひ楽しんでいただきたいですし、これは十分にそれができる作品だと思っています。

ポン・ジュノ監督: 多くの国での公開を経て、遂に日本での公開となりました。とてもエキサイトしていますし、期待もしています。タイトル通り、不滅の寄生虫のように観客の体、頭、胸に留まり、永遠に寄生する映画になりますように。




(オフィシャル素材提供)



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