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『ローマ法王になる日まで』上智大学特別試写会

2017-05-02 更新

ダニエーレ・ルケッティ監督、ホアン・アイダル神父(上智大学カトリックセンター長、神学部教授)、レンゾ・デ・ルカ神父(イエズス会日本管区長)
司会:石川雄一(上智大学 大学院 神学研究科1年)

ローマ法王になる日までFrancesco

配給:シンカ/ミモザフィルムズ
2017年6月3日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
© TAODUE SRL 2015

 メキシコ国境に壁を建設すべきとしたトランプ米大統領候補(当時)の主張に対し、社会は「壁ではなく橋を築くべき」と発言した現ローマ法王フランシスコ。実際に半世紀以上断絶していたアメリカとキューバの国交回復の仲介役となったり、他宗教・他教派との対話に積極的に取り組むなど、自らが「架け橋」となり、和解と共存で平和を構築しようとする姿勢が窺える。そんな法王の姿勢の根底には、彼が若かりし頃を過ごしたアルゼンチン独裁政権下で多くの人々が犠牲となった試練の時代を生きた経験があった。映画『ローマ法王になる日まで』で描かれる、知られざる現ローマ法王の半生から、悪に対して悪でなく善で対処していこうとする<平和な社会のあり方>について、来日した監督が、未来を担う学生と共に考えた。

Francesco イタリアから来日したダニエーレ・ルケッティ監督は上智大学で行われた特別試写会前に、「アルゼンチンを語るイタリア人です。日本の皆さんにこうして観てもらえて嬉しいです。人間は世界のどこにいても一緒だ、感動は分かち合えるものだということを理解していただけると嬉しい。一人の神父が法王になるまでの姿はとても美しいものだということを共有できたら嬉しいです」と挨拶した。

 史上初のアメリカ大陸出身(アルゼンチン)のカトリック教会長として第266代「ローマ法王」に就任したフランシスコについて、歴代のヨーロッパ出身の法王と違いはあるかという会場からの質問に対し、監督は2つの事柄を挙げた。「1つは、フランシスコは人とダイレクトなかたちでコミュニケーションをとる。非常に早く、直接的なコミュニケーションをする人だということ。そして2つ目は無宗教の人とも対話をすることができるということ。つまりバチカンと他の世界の間にあった壁を取り払った。彼は様々な経験を積んだことによって、歴代の法王がいままで言及してこなかったことにも意見を言うことができる人なのです」と説明した。

 また、留学生からは「ベルゴリオもある種ポピュリストと言えると思うが、いま話題になっているトランプ大統領やフランスのルペン氏のような人物との違いはどのようなところか」という質問に対し、フランシスコ法王の素顔を知る2人の神父は「組織より目の前の人を大切にする、それが彼の一番の魅力」と彼の人柄を説明。また、アイダル神父は「左翼は組織より人を大切にする考えと定義するならば、右翼は人より組織を大切にする考え。この映画の中では2回、ベルゴリオがどちら派か尋ねられるシーンがある。彼の答えは1回目は“そんなこと聞いても意味はない”、2回目は“私はキリストの側”と答えた。それくらい、そのように自分を括られるのを嫌う人だ」と説明した。

 また「テロが頻発している世界情勢の中で、法王の存在はどんな意味を持つと思うか」という質問に対して監督は、「宗教は多くのことができるが、特に文化的なことを多く担ってほしい。平和のために宗教の行いを使うこと。何度でもそれを確かめてほしい。いまや世界では、平和以外のことを行うために、その行いの理由を自分たちの宗教のためと位置づけてしまうが、それは止めてほしい。宗教間対話が世界中でも増えてきているのが、もっと行われてほしい。しかし、本来もっと政治家が動くべきだと思うけれど」と答えた。神父からは、「法王はリーダー的存在。この宗教に付いていって大丈夫なのかという疑問は常に世界中であると思う。しかし、彼の筋の通った生き方は、キリスト教以外の人でも共感できるのではないでしょうか」「世界を変えたいという思いはいろいろなリーダーが持っている。しかし、問題を解決するときの方法がみんな違う。他のリーダーはミサイルを飛ばしたりと、暴力を使おうとする。法王の行いには“赦し”“他者中心”“相手中心”という3つの指針がある。法王の行いに希望を持つことができる理由はそこにある」と話した。

Francesco 劇中で触れられる、フランシスコが日本に興味を持っているというエピソードについて、理由を尋ねる質問も挙がった。理由の1つとしては「フランシスコ・ザビエルがイエズス会で初めて日本に来た人であり、新しい宣教を切り開いたという大先輩への憧れがあったのだろう」と説明。そして、「イエズス会は“宣教に出す”ということ、つまり人々を各地に送り宣教に出すということをするが、ベルゴリオの時代には中国、日本に送られることが多かった。自分たちもこうして日本に来たわけだけれど、送られるとしたら日本だろうと思っていました」と話した。

 アイダル神父は、フランシスコについて書かれた書物にも普段は目を通すことがないと言う。「読んで出来が悪いと腹が立つだろうと思うので」と笑いながら説明したが、本作については「法王の人物像、性格、時代背景など良く描かれている。とても感動し、観る価値のある作品だと思ったのでコメントも寄せました」と話した。



(オフィシャル素材提供)



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