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舞台挨拶・イベント

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『楽園』
早稲田大学・KADOKAWA共催
特別試写会

2019-10-03 更新

瀬々敬久監督、磯見俊裕美術監督

楽園rakuen 配給:KADOKAWA
10月18日(金) 全国公開
© 2019「楽園」製作委員会

 10月1日(火)に早稲田大学にて開催された「早稲田大学・KADOKAWA共催 映画『楽園』特別試写会」に、本作のメガホンを取った瀬々敬久監督と、磯見俊裕美術監督がティーチインゲストとして登壇した。


 瀬々監督と磯見美術監督は犯罪心理学を学ぶ多くの学生を前に挨拶しイベントはスタートした。まず初めに、本作を制作したきっかけを聞かれた瀬々は「本屋で『楽園』の原作である吉田修一さんの『犯罪小説集』をたまたま手に取って読み始めたのがきっかけでした。それまで吉田さんのファンでたくさん作品は読んできて、いつか吉田さんの原作を映画化したいと思っていました。そうした時にこの『犯罪小説集』は短編集だし誰も手を出さないだろうと考えたんです(笑)。原作が角川さんというのもあって、当時KADOKAWAで『最低。』(17)という映画を撮っていたので、プロデューサーに話したことがきっかけです」と経緯を説明した。続けて本作のタイトルを『楽園』に決めた理由については「元々が『犯罪小説集』というタイトルで、短編集でもあるので映画のタイトルとなると中々決まらず。『Y字路』や『悪』など100個くらい案がでましたけど、ダークな印象を持つアイデアが多くいまいちピンとこなかったんです。というのも犯罪を犯してしまう人もそれぞれ差別や犠牲の中で生きてきているわけで、ただボタンの掛け違いのように予期せずに犯罪的世界に追い込まれていくんですよ。彼らもより良い生活をしたい、楽園で生きたいという欲望があったはずなのに、どこかで踏み外したことで予期せぬ事態に陥ることもあると思ったんです。人々は“楽園”を探して生きているのではないか、誰しもが持つであろう希望をタイトルに込めました」。


rakuen

 実際の事件をモデルにしている映画を撮る理由を聞かれると、「私たちが20代のころは犯罪が時代の合わせ鏡のようだったので興味が湧いてきたんです。それは犯罪が起こると、そこには謎があり、どうしてこのような悲惨なことが起こるのだろう、また悲惨なことが起こってしまうのかと考えるとその謎を探りたくなったんです。それで実際に起きた事件をモデルにして映画を作ろうと思いました」と回答。

 また学生から本作のストーリーに大きく関わってくるY字路についての質問に、磯見美術監督は「実際にイメージしていたY字路が中々見つからず、どのように作っていくのかがとても面白かったです。ようやく候補を見つけて、映画の中で事件が起きた時とその12年後の事故現場として描くのに樹を植えることでイメージしていたY字路を作り上げました」とコメント。

 次に大島渚監督の『飼育』(61)を例に出し、本作のセリフ作りについて問われると、瀬々監督は「昔、大島さんが出ているTV番組を拝見して、大島さんが戦後になって急に学校の先生たちが民主主義を唱え始め、人がころっと変わったさまに怒りを感じたと仰っていたのが印象に残っていたんです。そうして大島さんが戦後の民主主義にこだわっていたように、私も日本が高度経済成長期を経験して、90年代にバブルが弾けたにも関わらずに時代がふらっと2000年代に突入したことに違和感がありました。そうしたことも含めて現代がヘイト的な時代になっていることに、私としては嫌な感じがあります。その嫌な感じを映画作りに反映しています」と答えた。

 最後に瀬々監督は、いよいよ公開が迫った本作品を一足先に鑑賞してくれた学生たちにお礼を述べてイベントは終了した。


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(オフィシャル素材提供)



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