2019-11-29 更新
金子ノブアキ、清水康彦監督
俳優の斎藤 工、お笑い芸人の永野、ミュージシャンで俳優の金子ノブアキ、映像クリエイターの清水康彦による映像制作ユニット「チーム万力」が手掛けた映画『MANRIKI』が11月29日(金)より公開中。常識的観念にとらわれずに自由なクリエイティブを実現した意欲作を手掛けた本作。清水監督と金子が作品について語った。
そもそも映画『MANRIKI』は、「ファッション・イベントにゲスト出演したときに感じた違和感から着想した」という永野の原案・原作から始まった。永野ファンだった斎藤が、芸人・永野のネタの分析、それに自身の映画フリークの知識が結びつき、映像化へとつながった。サスペンス、ホラー、コメディなどあらゆるジャンルが結びつき、過度の経済成長で得た豊かさの代償として、様々なコンプレックスを抱えた人間の姿が描かれる。
金子ノブアキ: タクちゃん(斎藤)と永野さん、僕の3人でいろいろ意見交換していて3年ぐらいかな……。僕は(映画を作るのって)大変なんだなぁ~ってボーっと側で見ていました(笑)。その後清水監督が加わって「チーム万力」が始動。さらに、プロデューサーさんとかが加入してくれて制作がスタートしました。
清水康彦監督: 僕の結婚式で余興に来てくれて、その時に初めて会ったのですが、最初の印象は「この人、やばいなぁ~でした(笑)」。ひとりでいるとブラックになっちゃう人。
金子ノブアキ: パンクな人なので、マイノリティーとして卑屈になっていって、怒りを原動力に(アイデアといろいろな考えを)ひねり出していく人。僕はバンドをやっていて、路地裏のカルチャー的なところに共通項があった。下北沢が地元なのでミュージシャンや俳優さんたちに囲まれて育ってきたので、永野さんには懐かしさを感じました。
金子ノブアキ: みんな楽しそうでしたよ。僕は3日間の参加でしたけど。少数集まって、スクラム組んでやれた。みんな寝る間を惜しんで、「これを作りたい!」と盛り上がっていました。
清水康彦監督: 1週間というタイトなスケジュールでワイワイやってました。
金子ノブアキ: 友達なんです。タクちゃん、監督、僕、同じ年です。友達ということもあって編集室に入れてくれたので、機材を持ち込んでその場で音をはめていったんです。普通メールのやりとりとかで1週間はかかる作業が30分くらいで出来ちゃった。嬉しかったし、楽しかった。
清水康彦監督: 全シーンに力を入れて演出していました。僕の緊張と一緒にみんなが同じ方角に向かって行ってくれました。友達ということもあって、助けられました。緊張感をそろえるために直前に(演出を)変えたりもしたのに、「大丈夫だよ」って……。
金子ノブアキ: 音響担当の方が膨大な素材を準備してくれていたので助かりました。実際の万力の音やチェーンを引きずる音とか……。ひらめきを感じたら作ってみるという制作の仕方で、現場で撮影と同時進行で作れたので本当に楽しかった。ライブ感のある制作現場でした。最後に流れる曲は最初に作ったのですが、かっこいい曲が作れたと思います。
金子ノブアキ: 全盲の役の参加で、共演の永野さんにまかせっきりでした。注意したのは、顔の角度かな。全盲なので、ちょっと上を見ている感じで。
金子ノブアキ: 最大のリスペクトをもって、『くそ映画』だと思いますよ(笑)。
清水康彦監督: 人に言われたらむかつくけどね(笑)。
清水康彦監督: 永野さんにはいろいろなメイクを試してもらいましたが、女装させたのは僕のアイデアです。
金子ノブアキ: 海外の人たちは永野さんのことをヤバイおばさんだと思っているみたい(笑)。性別が分からない(笑)。
清水康彦監督: 謎の水先案内人みたいな……。
金子ノブアキ: 人に見せたくない部分とか、自分のことを言われているみたいなところを描いているので、観た人それぞれが評価して欲しい。超感動したり、メチャクチャ笑えたり……。音楽には自信あります!
清水康彦監督: 皿の上でただ遊ぼうぜっていう気持ちで作ったのですが、感情移入する部分があると思います。
韓国の第23回プチョン国際ファンタスティック映画祭で、ヨーロッパ国際ファンタスティック映画祭連盟(EFFFF)のアジア賞である「EFFFF Asian Award」を受賞。昨年同賞を獲得した大ヒット作『カメラを止めるな!』に続く快挙となった。
映画『MANRIKI』は11月29日よりシネマート新宿にて公開中ほか、全国順次公開。
「チーム万力」
「チーム万力」は俳優のみならず、映画プロデューサーや監督としても注目を集める俳優・斎藤 工と、その独特の世界観で個性を放つ永野に加え、音楽・俳優など幅広いジャンルで活躍する金子と映像クリエイターの清水が集って動き出したプロジェクト。
(取材・文・写真:福住佐知子)
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