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『男はつらいよ お帰り 寅さん』
プレミア試写会 囲み取材&舞台挨拶

2019-12-21 更新

山田洋次監督、倍賞千恵子、前田 吟、吉岡秀隆、後藤久美子、池脇千鶴、桜田ひより、夏木マリ

男はつらいよtorasan 配給:松竹株式会社
12月27日(金) 全国公開
© 2019松竹株式会社

 国民的人気を誇った映画シリーズ『男はつらいよ』。第1作の公開から50周年となる今年、50作目の最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』が12月27日(金)に公開される。新作製作発表から約1年半。12月27日(金)の公開を翌週に控え、この度12月19日(木)に囲み取材・舞台挨拶が行われた。話題作とあって、倍賞千恵子、吉岡秀隆、後藤久美子、前田 吟、池脇千鶴、桜田ひより、夏木マリ、山田洋次監督が揃った囲み取材には多くの記者が集まった。


囲み取材

 記者たちの拍手の渦の中登場した、監督、キャストの面々。公開を1週間後に控えた今の気持ちを記者に尋ねられ、「映画の撮影を始めてずいぶん経つから、ようやくこの日が来たかとドキドキする」と語る山田洋次監督。主人公・寅次郎(渥美 清)の妹、さくらを50作を通し演じている倍賞千恵子はシリーズの撮影を振り返りながら、「お兄ちゃん(渥美 清)が長い一本の映画を撮ってるような気がすると言っていたけど、50年かけて1本の作品を撮ったような気持ち」と懐かしむとともに「この映画を見ながらおしゃべりをしたり、笑ったり、楽しんで観てほしい」と本シリーズならではの想いも口にしました。「博です」という挨拶とともにコメントを始めた、さくらの夫・博役の前田 吟は「最初から、最後まで?ずっとシリーズに参加できていることが幸せだ」と一瞬周りを驚かせながらも作品への想いを語った。また、二人の息子であり、寅次郎の甥・満男を演じる吉岡秀隆は「23年ぶりにおじさんが帰ってきてくれることが嬉しい」と口をほころばせ、「大それた仕事をしたわけではないけど、この作品に参加させていただけてやっと公開を迎えることが嬉しいです」と満男の初恋の人・イズミとして久しぶりに銀幕復帰した後藤久美子。そのイズミの母・礼子役の夏木マリは「50作目という記念すべきこの作品に参加させていただけて非常にハッピー」と話した。

 満男の担当編集者・高野として今作より新たに出演している・池脇千鶴は「小さいころから観ていた寅さんにまさか自分が出演できるなんて思ってもいなかったです」と驚きながらも、「公開したら、親が何度も劇場に足を運ぶだろうなあ」と公開後に親孝行ができる喜びも口にした。

 満男の一人娘・ユリ役の桜田ひよりが「作品に参加できたことが、本当にありがたいです。若い世代の代表として作品を広めていけたら」と意気込みを語ると、司会から桜田の誕生日が今日!であることが記者の面々にも伝えられた。本日17歳の誕生日を迎えた桜田に、記者よりほかのキャスト陣からお誕生日は祝っていただいたのかという質問が飛び、「つい先ほど、移動の車の中で歌を歌っていただきました!」と笑顔を見せた。「家族みんなにお祝いしてもらったんだね」と山田監督が桜田に語りかけると「おじいちゃん(前田 吟)はいなかったです」と倍賞が答え、まさに家族のような、寅さんファミリーのあたたかい絆を感じる一場面となった。

 寅さんがどのように描かれているのか尋ねられた山田監督は「この映画を作るにあたって僕自身が一番迷ったのがその部分」とシリーズ作品からどのように寅さんの姿を新作へと導くか悩んだことを明かしたが、「シリーズ作の映像と新作の映像をつなげる時間は、僕が寅さん―渥美さん―に会える時間だった」とその作業がかけがえのない時間であったことも明かした。また、「50年という時間をかけて撮影をしていて、出演者のほとんどは大人になったり、老いたりと成長をしてまるでドキュメンタリーを見ているような気持になるのに、寅さんだけは年を取らない」と50年かけて撮影したからこその気づきも語った。

 「50作目がヒットすれば51作目もあるのでは!?」という、公開前からシリーズの熱い人気を感じさせる質問に山田監督は「50年前に第1作を作った時も、1回きりだと、こんなに長いシリーズになると思って始めたわけではないから、今回も同じ気持ち。そうなればいいな、くらいには思うが公開前だから何とも言えません。まだドキドキします」と公開前の心情をのぞかせた。

 本作のオープニング歌唱を担当する桑田佳祐。「なぜ、桑田佳祐がオープニングを歌うこととなったのか」とその経緯を記者が尋ねれば「もともと桑田佳祐さんが『男はつらいよ』をよく歌い、愛してくれていたことは知っていたから、ぜひ彼に歌ってもらいたいと思った。彼の歌声を聞いたら、彼が寅さんのことをどう思っているのか、それが感じられてうれしかった」と話し、「あなた、桑田さんに顔が似てるね」と記者に話しかけ場内に笑いを誘った。

 撮影での思い出を問われたキャストたちはそれぞれ「クランクインの日、柴又での撮影で先をふっと見たら自分の銅像があった。さくらとお兄ちゃんの銅像。それを見てしまった中で山田さんの“ヨーイ”を聞くとなんだか緊張しました。変な現実と撮影をしている現実が変な感じでした」と倍賞。

 「22年ぶりに読み合わせをしたときに、さくらさんにはすごくやりやすいなと、学ぶことが多いなと思いました」と前田が語れば、「あなたそんなこと言うのね」と倍賞が応え、50年間夫婦を演じてきた阿吽の呼吸が感じられた。

 イズミとのラブシーンと答えた吉岡さんはその理由に「僕が頼りなかったからなのか、監督に背中を押されました」と監督の熱い姿勢を語り、後藤は「どのシーンも重要なシーンで思い出深い、もちろん撮影中にこうだったとか小さなエピソードも覚えています」と話した。今作にオーディションで選ばれた桜田は「オーディションで演じたシーンをセットに入って演じると、この作品に携わっていると改めて感じられました」と満男との食卓のシーンを挙げた。撮影シーンが少なかったという池脇だったが、思い出深いシーンに満男の部屋からの去り際に手を振るシーンだと答えると「山田監督が、“色っぽく”手を振ってと言うからどんな感じだろうと思っていたら、山田監督が実演してくださったからそれをまねしました」と山田監督の色っぽい手の振り方指導を明かし、場内には笑いが起こった。「千鳥足がうまくできない私に、千鳥足のやり方を実演付きで教えてくださった」と夏木がまたも山田監督の実演エピソードを語り、記者たちを笑わせつつ、「シリーズ作内では一緒のシーンになる機会の少なかった吉岡君としっかり一緒にいるシーンがあってうれしかった」とシリーズ作ならではの喜びも明かした。

 最後に「男はつらいよ」ゆかりの地である柴又について質問が及ぶと、「変わったこともあると思うけれど、昔の商店街の風情を残してくれている、ずっとこのままの柴又の姿であってほしい」と寅さんの故郷である柴又に思いを寄せた。

 『男はつらいよ お帰り 寅さん』の監督、キャストによる囲み取材は、終始和気あいあいとした、家族団らんのような雰囲気を終始漂わせながら幕を閉じた。


舞台挨拶

 満員の劇場。シリーズ最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』の上映が終わり、倍賞千恵子、吉岡秀隆、後藤久美子、前田 吟、池脇千鶴、桜田ひより、夏木マリ、山田洋次監督がステージに登場すると、大勢の観客のスタンディングオベーションが沸きあがり、盛大な拍手で迎えられた。

 はじめに山田洋次監督より「皆さん今日はよく来てくださいました。50年かけてこの映画を作りました。そんな気持ちです。今日があるのはこの50年の歳月があったおかげです。ありがとうございます」と映画を観たばかりの観客へ挨拶があった。そして、寅さんの妹さくらを演じた倍賞は「先ほど監督が50年かけたと仰いましたが、本当に50年、長い時間をかけて『男はつらいよ』が出来上がりました。今日は皆さんとお会いできるのをドキドキしていました。ぜひ周りの方に宣伝していただいて、たくさんの方に観ていただきたいです」と挨拶。続いて、さくらの夫 博を演じた前田 吟は「博です。兄さん、満男が立派に活躍しました。さくらも大変喜んでいます。久しぶりに兄さんに会えたと。暮れは映画を観て国に帰ります。その映画の名はもちろん、『男はつらいよ お帰り 寅さん』皆さんありがとうございます!」とコメント。さらに、二人の息子で寅さんの甥である満男を演じた吉岡は「皆さん、寅さんにはお会いできましたか? 23年振りだそうで、前作以降、映画館に行く足が遠のいてしまったという方、何度でも寅さんに会いに来てください。いつも撮影現場で渥美さんが見守っていてくれたからこそできた50作目です。感無量です」と今の心境を明かした。イズミ役の後藤は「すでにご覧になったという方たち、この作品は人間が得れうる、ありとあらゆる感情を引き出してくれる映画だと思います。今皆さんがぽかぽかあたたかい気持ちでいてくださることを願います」と挨拶。

 そして、本作でシリーズ初出演となった、満男の担当編集者 高野を演じた池脇は「私が小さい頃に親と一緒に観ていたこの作品に出させていただいて本当に光栄です。皆さんの大歓声を聞いて本当に感動してしまって。本当に嬉しく思います」と涙ながらに話した。同じくシリーズ初出演で、満男の一人娘ユリを演じた桜田も「撮影の中で先輩に囲まれて、毎日刺激的で勉強させていただきました。今皆さんの声援を聞いて、自分がこの作品に参加しているんだと実感しました」と笑顔で話した。イズミの母礼子役の夏木は「映画いかがでしたか? 素敵な50周年に参加できて幸せです。山田組は、いつも演じるというよりも俳優として人間としてちゃんと観察できる組です」と昔を振り返りながら話した。シリーズ始まって50年、ついに来週新作が封切られるその心境について山田監督は「3、4年前に、これまでのシリーズから面白い・良いシーンを並べると面白い映画にならないか、と僕の親しい画家の横尾忠則さんから提案をされたことがありました。それで50本目が出来ると思いました。今の柴又のくるまやで、さくらさんと博、満男とイズミのこの四人を軸にして物語ができないかと考えました。出来上がってみれば、やはり渥美さんが主演なんです。出演者スタッフみんなの渥美さんへの思い、もう一回会いたいという気持ちがそのままこの映画に反映されていたと思います。映画のキャストクレジットの一番最初に渥美 清の名前が出てきます。こんなこと今まで他の映画ではなかなかなかったと思います。この映画を、あの大天才の渥美さんに捧げました。この思いが皆さんに伝わると幸せです」と新作、そして渥美さんへの思いを明かした。

 そして、シリーズ1作目から50作目まで同じ役を演じたことについて倍賞は「50年前に始まって50作目。長い年月が経ったんですが、吟ちゃんと柴又でカメラテストをやった時、お互いメガネをしてて。それを見て、本当に長い時間が経ったんだと思ったんですが、始まってみるとすぐ二人で夫婦に入れました」と話し、前田も「博は優しくて真面目で不器用で。僕は博に人生を教わった気がしました。博さんだったらどう生きていくんだろうと。奥ゆかしく穏やかに生きていこうと教わりました。つくづく倍賞さんと一緒で良かったと思います。楽しくできました」と長い歴史を振り返った。すると倍賞も「とても楽しくできました。一作目の博さんから告白された時のフィルムを観ていてボロボロ泣いてしまいました。あなた素敵よ」と前田に声をかけ、二人の長い年月をかけて築かれた関係性を感じさせた。

 また、撮影現場の思い出について吉岡が「ラブシーンありました。空港での切ないシーン。監督が僕の背中を支えてくれていて、監督の大きな手のぬくもりは忘れません」と撮影時のエピソードを披露すると、後藤も「そのシーンのリハーサル終えた後に、吉岡さんがボソッと『監督が後ろから押すんだよって』(笑)。他のシーンも甲乙つけがたいというか、どのシーンも印象深い思い出になっています」とあたたかい現場の様子を明かした。

 さらに、第43作『男はつらいよ 寅次郎の休日』では、寅さんのマドンナ役として出演した夏木マリ。「私は寅さんと一緒のシーンで、列車の中で愚痴を聞いてくださった寅さんがとても頼もしくて礼子としても心が動いたと思うんですが、あんなふうに寅さんとこの映画を観られたらどんなに良かったかなと思います。またこの令和の時代にお正月でみんなで観てもらえるような映画で嬉しいです」と、渥美 清への思いを合わせて語った。本作でシリーズ初出演となった池脇と桜田の二人。池脇は「私が小さい時から父親がシリーズが大好きで、家にライブラリーがあるんですけどこの前実家に帰りましたら、父が一作目のパンフレットを持っていてスッと取り出してきました。私は家族で観られる楽しい映画だと知っているけど、それを知らない方も多いから、笑ってホロリとできる、どの世代にも受け入れていただける映画だと胸を張って言えます」と「男はつらいよ」シリーズの魅力を語り、桜田も「私も映画を観て泣いて笑って、自分の感情がコロコロ変わることを実感できました。こんな感情になる映画は久々でした。この作品に参加できることが嬉しかったので、自分の世代の人たちにもここが面白いと感じて共有してもらいたいです。あと、大切な人と柴又へ出かけてそのゆったりとした街の時間を楽しんでほしいです」と同世代へ向けアピールした。

 最後に、山田監督より観客へ「渥美さんが亡くなってこのシリーズが一旦終わりました。それから僕はいろんな作品を撮りましたけど、いつも出来上がった作品をどこかで渥美さんが観てくれているはずだと、そして褒められるといいなと思っていました。良かったよ、と彼が言ってくれるような映画を作りたいと思っていました。この作品こそ、渥美さんに笑いながら褒めてもらいたいです」と挨拶した。

 さらにこれまでの49作分のポスターを配した大きなバックパネルに50作目となる『男はつらいよ お帰り 寅さん』のポスターが嵌め込まれ会場からは最大な拍手が。たしかに寅さんがそこにいてくれるようなあたたかい空気に包まれ、イベントは幕を閉じた。


torasan


(オフィシャル素材提供)



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