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『破戒』初日舞台挨拶

2022-07-09 更新

間宮祥太朗、石井杏奈、矢本悠馬、前田和男監督

破戒hakai ©全国水平社創立100周年記念映画製作委員会
東映ビデオ株式会社
大ヒット上映中

 島崎藤村による同名小説を映画化した『破戒』の初日舞台挨拶が都内で行われ、キャストの間宮祥太郎、石井杏奈、矢本悠馬、メガホンを取った前田和男監督が登壇してクロストークを繰り広げた。


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 本作は、島崎藤村の不朽の名作「破戒」が原作。1948年に木下恵介監督、1962年に市川 崑監督が映画化してきた。60年の時を経て再び映画化された。身分制度の影が残る明治後期が舞台。被差別部落出身で亡き父から出自を隠すように戒めを受けた小学校教師・瀬川丑松(せがわうしまつ)が自らの出自に苦悩しつつも最後にはある決断をする姿が描かれる。全国水平社創立100周年記念映画として製作された。

 丑松役を務めた間宮は1年前の撮影時を振り返り、「公開できてとても幸せです。満員の客席を見られてとても嬉しいです。暑い時期の撮影でした……」としみじみ。役づくりについては、「とても大事な役。抱えているものからくる重圧を感じていました」と話す。「自分の出演作品なのにシンプルに良い作品だと思えることに喜びを教えてくれた作品です」と感謝の言葉を口にした。


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 丑松が思いを寄せる士族出身の志保役を務めた石井も「1年前の撮影で、最近暑い日が来る度に『破戒』の撮影を思い出していました。初日を迎えられて嬉しく思います」と笑顔で挨拶。また、「インタビューや舞台挨拶などで間宮さんが話されているのを聞いて、いろいろな思いを背負ってここに立っているんだなと感じていました。たくさんのことを考えて演じていたと知って、私も『破戒』への愛が深まりました」と語った。


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 丑松の同僚教師で友人の銀之助役を努めた矢本は「いい芝居が出来たと思います。自己評価、高いです」と充実の笑顔を見せた。


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 前田監督は「間宮さん、美しかったですよ。石井さん、毅然として、かっこよかったですよ。矢本さん、泣かせてくれましたね。皆さんのおかげでいい映画になりました」と3人のキャストたちにねぎらいの言葉をかけた。


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 間宮と矢本はプライベートでも親交があるという。思い出に残るシーンについて、矢本は「生徒に告白する(間宮の演技に)シーンで、現場の空気感が良くて思わず……。そんなつもりはなかったのですが、思わず泣いちゃいました」と告白。

 間宮は、「1日かけてあのシーンを撮影して、朝から生徒たちと向き合っていました。丑松と銀之助、自分と悠馬との関係性も相まって、丑松の銀之助に対しての思いと、悠馬との関係性も含めて、『しっかりこちらの芝居も受けてほしいな』という思いがあったので……」と明かし、矢本が泣いたことが嬉しかったと語った。


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 明治後期が舞台ということで、石井は所作に苦労したという。「大変でした。寺の娘という役で、丁寧に動かなければいけなくて……。正座していて、正座から立つ時につま先立ちで立たないといけなくて。使ったことがない筋肉を使ったので、次の日には筋肉痛になっていました(苦笑)」と苦労を吐露した。


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 七夕の週ということもあって、キャストたちは叶えたい願いを披露した。

 間宮は「(映画『破戒』の)上映館が増えることかな」と、映画の大ヒットを願った。

 石井は「そろそろ旅行に行きたい」と回答。沖縄に行きたいと話した。海で泳いだり、キャンプもしたいという。

 矢本は「七夕の日に、娘の短冊を見たら『キン肉マンに会いたい』って書かれていました(笑)。なので、父親としては筋トレして、キン肉マンになってやろうと。キン肉マンに会わせてやろうかな」と、今続けている筋トレにより励むことを決意した様子。そんな矢本に間宮は「(キン肉マンに)なるしかないね。実写化とかね?」と笑顔でつっこみコメントをして会場に笑いを誘った。

 最後に、前田監督は「部落差別はなくなっていないけれど、希望を持って生きていけば、うつむかないで歩いていける。今日をうつむかずに歩いていければ明るい未来が待っている。そういう、希望の映画です」と作品をアピール。

 間宮は「来場された一人ひとりの人生において、正しいこと、間違っていることの認識はそれぞれまったく違うと思います。この作品には内包している力があると信じています。初日に観に来てくれた方は最初に力になってくれると思っています。よろしくお願いします」と客席に向かって呼びかけた。


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(取材・文・写真:福住佐知子)



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