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『メタモルフォーゼの縁側』
大ヒット記念舞台挨拶イベント

2022-07-14 更新

鶴谷香央理先生、じゃのめ先生、狩山俊輔監督、河野英裕プロデューサー

メタモルフォーゼの縁側metamor ©2022「メタモルフォーゼの縁側」製作委員会
日活
絶賛公開中

 2017年に連載が始まって以降、じわじわと話題を呼び「このマンガがすごい!」「文化庁メディア芸術祭 マンガ部門」など数々の漫画賞を受賞した鶴谷香央理の漫画「メタモルフォーゼの縁側」。同作の実写化である同名映画が全国公開中。7月12日(火)、映画の大ヒットを記念して、原作者の鶴谷香央理先生、劇中の『君のことだけ見ていたい』の作画を担当したじゃのめ先生、そして、狩山俊輔監督、河野英裕プロデューサーが舞台挨拶を行った。


 上映後に拍手で迎えられた登壇者。公開4週目を迎え、監督・プロデューサーが感謝の気持ちを伝える中、「私自身も大好きな作品ですが、読者の方や周りの方からもこんなに素敵な作品にしていただいてよかったね、と言われてまして、こんなに幸せなことはないなと思います」と鶴谷先生。さらに、じゃのめ先生も電話で登場し、「公開4週目ということで、私の元にも感想が届いていて、この素敵な映画が広がりを見せていて、大変嬉しく思っております」と話した。

 原作から映画化への流れについて聞かれると、「私が漫画を紙で読むのが好きなタイプで、ルーティンワークとして本屋に行くことが多くて、本当にたまたま見つけたんです。絵が素晴らしいじゃないですか。すぐ手に取って、帯のキャッチコピーも良くて、家に帰って読んで、オーバーじゃなくて1巻で涙が出たんですね。それで、その場でペラの企画書を書いて、KADOKAWAさんに送って、というのがきっかけです。鶴谷さんの絵、縁側でうららと雪が漫画を読んでいる絵が全てでした」と振り返る河野P。鶴谷先生も「すごい熱い企画書だったのを覚えていて、“人って優しいんだなと思いました。”と書いてあって、そんなふうに受け取ってくださったんだ、と思って、ありがたかったです。映画にしていただけるなんてとても嬉しくて、おねがいします!という感じでした」と当時のことを振り返る。そこから撮影に入るまでも「なんとなく本はあって、コロナ禍の中で4年間うごめいていたので、なんとなく準備はしつつ、いつの撮影時期でいつのキャストでできるかが大変なタイミングだったので、ちょっと時間がかかりましたね」と振り返る河野P。

 そこから監督との出会いの話になり、「狩山が『野ブタをプロデュース。』というドラマにフリーの助監督で来たんですね。僕が知っている人とはレベルが違う“スーパー助監督”だったんです。デザインもできて、台本の表紙もつくってもらって、『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』でまた助監督に入ってもらい、“日本テレビに入ってもらったほうがいいんじゃない?”と思って入ってもらったのがスタートだったので、上から目線で話すと、狩山さんという人をディレクターとして引っ張りあげなきゃというところがあって、ずっと一緒にやってきました」と話す河野Pに「頭上がらないです」と恐縮する狩山監督。

 じゃのめ先生が作品への参加した話になると、「最初に河野プロデューサーからメールいただいて、作品を楽しみにしていたのですごく驚いたのですが、河野プロデューサーのメールの感じがすごく良くて、悩むことなく受けようと思いました。映画が出来上がった時は、自分のところをチェックするつもりでかけたんですが、映画に観入ってしまって、チェックにならなくて、3回繰り返しました(笑)。自分の地元の映画館で観たんですが、周りの人と同じようにサイン会のところで泣いちゃいました」と当時のことを振り返る。河野Pも「突然TwitterのDMで連絡をしたんで、信じてくれないと困ると思って、より一層丁寧に書いた記憶があります。絵を始めて拝見した時に“どうしても描いていただきたい”と思ったので、なんとかして、というところで力が入ったんじゃないかなと思います」と驚きのエピソードを披露。

 ここから、キャスティングの話になると、「原作が全てだと思うんですが、うららと雪を誰にやっていただくかが、次の全てだと思いました。こだわったのは、うららに関してはごく近い年齢の方にやっていただきたいというのが大事だと思っていました。本当に10代だからこそ、カメラの前で醸し出せる空気感が必要だなと思って。そこで誰だろうとなった時に、本当に芦田さんしかいなくて。プラス、芦田さんは僕から見たら“オタク気質”だなと思っていて、あれだけ本が好きで、優秀で、全てこなせるというのはオタク気質だなと思っていて。うららとはタイプが違うけど、根本は一緒なんじゃないかなと思いました。雪さんも年齢感と、狩山とも仕事をしたこともあったので宮本さんというところがありました」と経緯を明かす河野P。

 監督も芦田と宮本との撮影時を「二人が並ぶと、原作から飛び出してきたようだったので、いわゆる演出を執拗にやらないようにして、その時に生まれたものを大事にしようと思っていました」と振り返る。紡を演じた高橋恭平についての話になると、「恭平くんとも以前ご一緒したことがあって、緊張するタイプの子なんですけど、一番お芝居を重ねたのは恭平くんでした。10回20回お芝居して、一回忘れて、ジャンプして、もう一回やったのが、大体OKテイクです。今日ご覧いただいたお芝居に至るまで、彼は20~30回やっています」とエピソードを披露し、会場からも驚きの声が上がる。「そんなにいっぱいやってらっしゃったとは知らなかったです。本当に自然でしたよね」と鶴谷先生も驚き、河野Pは「デビュー前で、芦田さん相手で緊張していて、その場でジャンプ、ジャンプ、ジャンプ、ジャンプという繰り返ししたよね」と振り返る。

 ここでTwitterで集まった質問を尋ねるコーナーに。「主題歌の決め手は?」という質問には、「うららの縁側で撮影している時に、“これ何撮ってんの?”という瞬間があって、狩山に聞いたら“エンドです”ってその時初めて言われて。なので、全部あの人です(笑)」と指差す河野Pに、狩山監督は「エンディングをずーっとどうしようか悩んでいて、お二人が歌うというのはなんとなく動いていて、この映画らしい方法ってなんだろうなと思っていたんですよね。縁側を撮りたくて、撮影の日に思いついて、“2分間回そう”と、本当思いつきですね」と振り返り、会場を驚かせる。

 また、作中で登場したBLのコミックの話になると、選定に関わった鶴谷先生が「私は5冊選ばせていただきました。イサムさんの『五十嵐くんと中原くん』、犬井ナオさんの『ミッドナイト・コンフリクト』、中野シズカさんの『てだれもんら』、蓮地さんの『バケモノとけだもの』、和山やまさんの『夢中さ、きみに。』を選ばせていただいて、うららさんが割と不器用な人なので、作品も不器用な人たちが温かな関係を築くようなものを選んだのと、高校生でいまBL好きだったらこれありそうだなと思って和山さんのを選ばせていただきました」と選定理由を明かす。「選定には関わっていないです。前提として、うららが紹介するものを、いわゆるつくりものでやりたくない、というのがあって、リアリティのある、うららのある段ボールに隠してある本ってなんだろうなと思って、原作者の先生が選んでいただいたものが正解だろうなと思って、丸投げしました(笑)」と狩山監督。丸投げされた鶴谷先生だったが、「私の好きな作品を選びすぎて、じゃのめさんに“高校生にしてはBLを知りすぎているライン”と言われてしまって、ハッとしました(笑)」と話すと、じゃのめ先生も「映画を観ている間、うららさんすごいと思っていました(笑)」と話し、会場を沸かせた。

 お互いの作風についての印象を尋ねられた鶴谷先生とじゃのめ先生。鶴谷先生はじゃのめ先生について、「まずは妥協のない方だなというのが一番大きいイメージです。じゃのめ先生の絵を真似して描いたことがあるんですが、自分が描くと、色気が抜け落ちるというか、一本の線にこだわって書いていらっしゃるんだろうなと思いましたし、すごく華やかなんですが、それだけではなく泥臭さとか生々しさも持っていらっしゃるのがすごく素敵なところだなと思いました」と話す。じゃのめ先生も鶴谷先生について「全部大好きなんですが、絵に関してお話しさせていただくと、何が素晴らしいのかいろいろ考えたのですが、生きているキャラクターがいるからなのかな、と思うんです。ただ描いているのではなくて、理由があるから絵に反映されるんだなと感じます。バスに乗っている時にうららさんがリュックを抱えて座っていたり、その人らしい仕草が出ていますよね。よく、“画力で殴られる”という言い方をしますけど、鶴谷さんの絵は、ぎゅっとされるような、“画力で包まれる”という印象を受けて、そういうところが好きです」と熱弁。そんな熱いメッセージに「ウルっとしてしまいました」と鶴谷先生。

 公開直後から多かった、“コミティアに参加できない”という原作からストーリーが変更された部分の質問になると、河野Pは「実は、原作に出てくるイベント2つとも描いてみたかったんです。台本上では作っていたのですが、こういう状況になってきて、イベントが持つ様相が変わってきて。イベントをそのまま描いたところで映画が変わってしまうんじゃないかと思って、思い切ってイベントに行けなかったらどうしよう、コロナでイベント開催できなくなってきたし、行きたくても行けないという人がいる中で、発想を切り替えて、台本上は切り替えていきました。イベントシーンって物語のピークになると思うんですが、なくなったところで演出をどう盛り上げていくかというのは狩山がすごく大変だったと思います」と今だからこそ話せる裏話を披露。狩山監督も「イベントに行きたくても行けない、という方向で舵を切ろうというのは賛同したのですが、イベントというものがどういうものなのか、というのが謎に包まれてしまう部分もあって、撮影の時に無理を言わせてもらったのですが、イベントの一角はこの映画に必要だというところで、実現できるようにしてもらいました」と、撮影を振り返る。鶴谷先生は「私は実はそこがすごく嬉しくて、頂いていた脚本では無いことになっていたのですが、実際に映画で観て入っていたのがうれしかったです」と絶賛。そんな鶴谷先生に河野Pは「実は僕は最後まで反対していたのですが、最終的に“嫌です”と(狩山監督に)言われてやりました(笑)。結果的に良かったんですね」と安堵した様子。

 古川琴音の演技についての話を尋ねられると、「私もびっくりしました。すごく上手だし、サインするさまもすごくかっこよくてびっくりしました。私自身は演技指導はしていなくて、監督に動画をお渡ししました」と話すじゃのめ先生。狩山監督も「じゃのめ先生が佑馬くんと咲良くんを描いてもらうところ動画に撮っていただいて、それを古川さんにお渡ししました。じゃのめ先生をコピーしてもらいました(笑)」と、ここでもキャストの熱のこもったエピソードが明らかに。

 最後に、「遅い時間までありがとうございました。私もとても楽しかったですし、皆さんにまたこの映画の良さが伝わったらいいなと思います」とじゃのめ先生が、「この映画は好きなものについて語り合う映画だと思うのですが、観たものについて、誰かと話すのは、どんな感想であっても元気が出ることだと思うので、皆さんも良かったら今日見たものを好きな人と話してみてください。今日は本当にありがとうございました!」と鶴谷先生が、挨拶をし、舞台挨拶を締めくくった。


metamor


(オフィシャル素材提供)



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