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『ホテルアイリス』公開記念舞台挨拶

2022-02-20 更新

永瀬正敏、菜 葉 菜、寛 一 郎、奥原浩志監督
ビデオメッセージ:陸夏(ルシア)、リー・カンション
MC:LiLiCo

ホテルアイリスhoteliris ©長谷工作室
リアリーライクフィルムズ + 長谷工作室
新宿ピカデリー/ ヒューマントラストシネマ渋谷/ シネ・リーブル池袋/名古屋センチュリーシネマ他で公開中

 2月18日(金)より全国公開、小川洋子禁断の小説を、永瀬正敏を主演に、奥原浩志監督が映画化した日・台合作映画『ホテルアイリス』。公開を記念して、2月19日(土)にヒューマントラストシネマ渋谷にて舞台挨拶が行われた。大人の男の色気を纏うミステリアスなロシア文学翻訳者役で主演をつとめた日本を代表する国際的俳優・永瀬正敏、映画初出演となる台湾女優・陸夏(ルシア)が大胆に演じたマリの母親役の菜 葉 菜、翻訳者の甥役の寛 一 郎、ロッテルダム、釜山など国際映画祭受賞歴多数、国内外で高い評価のある『波』『黒四角』の奥原浩志監督が登壇。


 本作に感銘を受けたと絶賛するLiLiCoがMCをつとめ呼び込むと、満場の劇場を目の当たりにした永瀬は「こんなに会場いっぱいの皆さんが来ていただけるとは感激です」と挨拶。

 その後、台湾よりヒロイン・陸夏(ルシア)、船頭役の名優リー・カンションより届いたビデオメッセージが特別上映された。



 台湾・金門島オールロケでのエピソードなど盛り上がり、最後にLiLiCoから、公開を祝し、それぞれのイメージにあった花束贈呈がされ、最後に、永瀬は「映画館に皆さんが座っていただいているという姿を見ると、グッとくる」、「またいろいろな国の皆さんと一緒に映画を作れればと思う」と締めくくると会場は拍手で沸いた。

 寂れた海沿いのリゾート地で、日本人の母親が経営するホテル・アイリスを手伝うマリ。嵐の夜、階上に響き渡る悲鳴を聞く。女に暴力と罵声を浴びせ立ち去る男に衝撃をうけながらも、激しく惹かれていく彼女は、やがて男が住む離れ小島へ導かれ、ふたりだけの禁断の世界にのめり込んでいく……。


LiLiCo: 永瀬さん、謎めいていて、惹きつけられるすごく難しい役を演じられたと思うのですが、どのように役と向き合われたのでのでしょうか?

永瀬正敏: 原作が素晴らしいので、この原作に漂う、これは現実なのか、夢なのか、妄想なのか、浮遊感みたいなものを大事にするためにどうしたらいいんだろう?ということを監督にご相談させていただいて、やっていったという感じですかね。原作はもう少し僕よりも年齢が上の役なんですが、それを僕くらいまでに落としこむのにはどうしたらいいのか、現場でご相談しながら、みんなでつくっていったという感じですね。


hoteliris

LiLiCo: 監督、永瀬さんの役について、どういうお話をされましたか?

奥原浩志監督: 役については、原作の小川洋子さんの小説の読み方というのは、そんなに僕とずれはなかったと思います。
 現場は初日から撮影がはじまったんですが、永瀬さんがいらっしゃって、カメラで最初の歩き方を見た時に、「あ、これはもう、翻訳家だ」と思いましたね。ふと思ったのですが、劇中で「舌を出しなさい」という台詞があるのですが、永瀬さんはものすごく声がいいんですね。あの声じゃないと「舌を出しなさい」も成立しないんじゃないかな、と思いましたね。

LiLiCo: 私も映画を観ながら、舌を出してしまいました(笑)。そして菜 葉 菜さん、今上映中の映画もSMの映画で、今回も強い役でしたが、演じてみていかがですか?

菜 葉 菜: 私が原作を読ませていただいたのが20代の前半で、「わあ、なんて素敵な世界観なんだろう」と思って、当時まだ若かったので、この主人公のマリみたいな役をやりたいな、って思っていたのですが、今だったら監督にはっ倒されますが(笑)。それくらい好きな小説だったので、今回映画で参加でいたことは本当にすごく嬉しかったです。
 役の母親像については、監督とよく話し合って、監督はビジュアルをすごくこだわられていて、私、心配で永瀬さんに「一人浮いてませんか?」「髪型ヅラっぽくないですか?」って思ったりもしたんです。結果、マリの母親でもあるけど、女性でもあり、一人の人間であって、彼女にも生い立ちがあって、娘に対する歪んだ愛情表現や、固執した愛というのは、一見モンスター的に見えるかもしれないのですが、彼女の人間らしい部分は、少ない登場シーンですが、大切に演じたいなと思いました。この『ホテルアイリス』の世界だからこそ、あのビジュアルも成立して、マリの母親像になれたのかな、と思います。

永瀬正敏: 髪をすくシーンが、マリと母親とうまく対比が出ていますよね。

LiLiCo: 菜 葉 菜さんのルックス的にはいかがだったんでしょう?

奥原浩志監督: 実は、自分の解釈だと、菜葉菜さんが演じる母親が、この映画の登場人物の中で、一番まともな人間なんです。
 他の登場人物と違う、別の意味で違和感を持たせたいなと思って、永瀬さんとも相談して「コスプレ大会やろっか」などと話しましたね。現場の役の中の菜 葉 菜さんに慣れちゃったので、今日久しぶりに本当の姿を見ました。

LiLiCo: 寛 一 郎さんは、とても不思議だけど、魅力的な役でしたね。どのように心がけて演じたのですか?

寛 一 郎: いや、どうでしょうね。台詞が無かったので、(現場に)台詞を覚えていかなくっていいというのは、すごく幸せだったんですけど、その分、何か説得力を持たせるための何かが必要でした。
 でもこの作品の中で、リー・カンションさんと同じで、本線と近いんですが遊離したところにいるっていうすごく伝わりすぎない役だったので、しゃべれないとうのは、逆にアドバンテージだったな、と思います。

LiLiCo: 監督とはどうお話をされたのですか?

寛 一 郎: 撮影に入る前に、役のバックグラウンドなどのお話いただいたのですが、舌が切除された人のケーススタディというのは、調べたのですが、本当になくて、それを詳しく監督からお話してもらいました。

LiLiCo: 監督はどうアドバイスされたのですか?

奥原浩志監督: 舌がない彼が、実際どうスープを飲むのか、というのは考えると難しいんですよね。
 最初に現場で寛 一 郎さんとお会いした際に、僕と全然話してくれなかったんです。一言も声を出さなかったんです。役に入った気持ちで来てくれたんだな、と思って、すごく嬉しかったんですよね。

寛 一 郎: そうなんですよね。しゃべれないように、心がけようと思って、そしたら、主演の陸夏(ルシア)さんが、すごく喋りかけてくる拷問をしてきたっていう(笑)。

LiLiCo: ビデオメッセージもくださった陸夏(ルシア)さん、本当に綺麗で可愛らしい方なんですが、永瀬さん、彼女と共演する上で、言葉の壁は感じましたか? 共演されていかがでしたか?

永瀬正敏: いやいや、陸夏(ルシア)さんに関しては、まったく壁は感じなかったですね。日本語が本当に堪能だったので、日本のアニメショーンや、音楽とか、文化から、誰かに教わるんじゃなくて、自分でずっと長い時間をかけて習得されたみたいです。映画で台詞と吐くっていうのは、また違ったりするので、それは監督や、ダイアローグ・コーチについて、一生懸命学んでいらっしゃいましたけど、普段しゃべる分には全然問題なかったですね。びっくりするくらい。

LiLiCo: すごいですね。

永瀬正敏: 素敵でした。アドリブを出した時に反応がちゃんとかえってくるっていうのは、日本語を理解できていないと難しいので、それはすごいな、と思いましたね。(彼女は)映画初出演ですからね。

LiLiCo: 監督、この何処の国か分からない素晴らしい雰囲気の場所は、どのようにロケハンしてこの場所を見つけたのですか?

奥原浩志監督: 本格的に準備に入る前なのですが、脚本が出来た後で、日本ではこの映画は撮影が難しいんじゃないかなと思っていたんですね。日本的な情緒が入ると邪魔になるんじゃないかな、と。金門島は目をつけていた場所ではあったので、旅行がてら行ってみようと行ったら、今回ホテルアイリスとして使ったこの建物があったんです。あの建物との出合いが一番大きかったですね。

LiLiCo: そこに泊まりたくなったんですが、どうしたらいいですか?

奥原浩志監督: 泊まれるんですよ。あそこ。民宿なんですよ。ただ、なかなかどう予約したらいいのか分からないんですよ。民宿のおばさんがいい人なんですが、ちょっとツンデレみたいなところがあって、機嫌がいい時はいいんですが……。
 あの映画の中のカウンターが、そのまま残ってるんですよ。よって、コロナ終わったらぜひ、行ってみてください。

LiLiCo: 最後にご挨拶をお願いいたします。

奥原浩志監督: ひとつだけです。ぜひこの映画のことを、皆さんのお力添えで応援していただけたらと思っています。なるべく長い期間、できるだけ多くの方に観ていただきたいと思っているので、どうかよろしくお願いします。

永瀬正敏: この映画にすごい思いを込めてもらえた台湾の映画人の人たち、そのDNAを惜しみなく注ぎこんでくれた皆さんと一緒にここに立ちたかったんですけど、それがかなわなくて非常に残念に思っています。
 ただ、毎週のように壇上にたたせていただいてる気がするのですが、そのたびに「映画館に皆さんが座っていただいている」という姿をみると、本当にグっとくるものがあります。
 この映画も、僕にとってはコロナ前に、海外の皆さんと一緒に撮った作品です。この場に誓って、いつかまた、いろいろな国の皆さんと映画を一緒に作れればと思っています。
 まずは、この『ホテルアイリス』を観に、映画館にいらしていただければなと思っています。


hoteliris


(オフィシャル素材提供)



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