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『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』
トークイベント

2021-11-07 更新

山田五郎(美術評論家)、橋爪勇介(WEB版「美術手帖」編集長)

ダ・ヴィンチは誰に微笑むlast-davinci ©2021 Zadig Productions ©Zadig Productions - FTV
配給:ギャガ
11/26(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー

 2017年、アート界に激震が走った! ⼀枚の絵がオークションで、レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の傑作とされる「サルバトール・ムンディ」=通称「男性版モナ・リザ」として、史上最高額となる510億円で落札されたのだ。“購入者は誰なのか、これによって真のダ・ヴィンチ作品だと証明されたのか?” 世界中の人々の関心を集め、今なお謎が深まるばかりのこの名画にまつわる疑問を鋭く紐解いていくだけでなく、知られざるアート界のからくり、闇の金銭取引の実態をまでも生々しく暴いていく――欲望まみれのミステリー・ノンフィクションムービー『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』(11/26公開)が、登録数25万人超!オトナの生活がちょっと潤うYoutube番組「オトナの教養講座」が大人気の美術評論家の山田五郎を迎え、数年前、実際に世界中のニュースを騒がせた“消えたダ・ヴィンチの傑作”の<その後の行方>を追いかけた本作をきっかけに“世界のアートとお金と闇”の裏側を語り尽くすトークイベントが開催された。


 ダ・ヴィンチ、最後の傑作とされる<サルヴァトール・ムンディ>のこれまでの謎に満ちた来歴と、なぜ今になってこの作品が絵画オークション史上最高額“510億円”へと吊り上がることになったのか? まずは、現代の美術界の問題点とともに説明する山田五郎。そして、どんどんマーケットが巨大化いく美術のマーケットについて「アラブ、ロシア、中国あたりの金が入るようになったここ20年くらいに、余ったお金が全部アートにつぎこまれるようになった」「アートってマネーロンダリングの最適なアイテムなんだよね」と、未だ日本でも戦後最大の未解明事件の一つと言われる、アートマーケットの闇の部分が絡む<イトマン事件>を引き合いに解説、「アート取引ってさ、インサイダー取引OKの、株取引と同じだよね?」「操作可能な仮想通貨だと思う」と自身の解釈を述べた。

 未だ本物かどうか決着がついてないままオークションで高額取引されることになった<サルヴァトール・ムンディ>が、オークションのマーケティングの一環として、絵画を見て感動の涙を流す人の映像を利用、そのPVを作成し、プロモーションとして活用されていたことにも触れ「今、オークショニアってここまでやるんだ」と感服、しかし、未だ真偽が決着がつかない本作に絡んで、「本物よりいい偽物ってあったりするじゃん?」「<《無化調のラーメンはうまい!》って感動してる人に<それ偽物ですよ>とは、人の良心としては言えないよね。その感動は本物なワケだし」だから「(もし、この絵画の真偽鑑定の話が来たら)俺は答えを出したくない。ずっと保留にしたい」と葛藤を告白した。


last-davinci

 紆余曲折を経てサウジアラビアの皇太子がこの作品を510億円で手に入れたことについては「サウジにとって510億って、我々にとって510万くらいの金だよね、きっと(笑)」「その辺りは金持ちが好きにしてくれたらいいけどさ、そのおかげで我々が見られなくなるのは困るよな」と悩ましい本心を吐露、「バルブの頃に日本が買って、今どこにあるか分かんなくなってる作品も相当あるんだよね」と語った。

 そして最後「前澤友作さんが買った長谷川等伯の作品は、ぜひ、東京国立博物館に寄託してほしいんだよね!」「こんなこと言うとSNS炎上するかもしれないけど(笑)! ぜひ、皆で声をあげてほしいなと思う」「みんなに見せてこその金持ちだと思うんだよね(笑)」「今日、来場者の皆さんに、フリーポート(無関税の保管施設)に持っている人がいたら、ぜひみんなが見られるようにしてほしいなと思います」と、山田節を炸裂させた。


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(オフィシャル素材提供)



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