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『レミニセンス』
LA生中継舞台挨拶&日本最速試写会

2021-08-26 更新

リサ・ジョイ監督、ジョナサン・ノーラン(製作)※リモート出演
山崎 貴監督

レミニセンスreminiscence ©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
配給:ワーナー・ブラザース映画
9月17日(金) 劇場公開 IMAX®同時公開

 <膨大な記憶>×<再現される空間>によるトリックにダマされる、未だかつてない新感覚体験をさせてくれるハリウッドSFサスペンス超大作『レミニセンス』が9月17日(金)にいよいよ公開。この度、公開に先駆け、ロサンゼルスより監督&脚本を務めたリサ・ジョイ、製作を務めたジョナサン・ノーランをリモートで繋いだイベントが実施された。会場には映画『永遠の0(ゼロ)』、『アルキメデスの大戦』など様々な作品を手がけた山崎 貴監督が駆け付け、クリストファー・ノーランの弟、ジョナサン・ノーランが製作を担当しているということでノーラン兄弟について「深いレイヤーを持ったハードSFをちゃんとやりながら興行的にも成功しているという意味で、すごいことをしている人たちだなという印象がありますね。本当に尊敬しています」とコメント。


reminiscence

 ここでロサンゼルスより、リサ・ジョイ監督と製作のジョナサン・ノーランが中継で登場! リサ監督は「今日はこうした場所を設けていただき光栄です。本当は来日したかったのですが、近いうちにそれが叶うことを祈っています」、ジョナサンは「とてもワクワクしています!」とそれぞれ挨拶。

 一足先に映画を鑑賞した山﨑監督は映画について、「SF映画って特殊な設定が出てきて、この映画も水没しかけている都市で、且つ記憶に潜入できる装置が出てきますよね。こうした要素が上手くいかないと只の設定になってしまうのですが、この映画はそのシチュエーションが物語のすごく重要な鍵になっていて、物語がSFとして機能している。素晴らしいですね」と絶賛。これを聞いたリサ監督は「本当に光栄です。今回が初監督作品で、未来をスペクタクルとして見せるのは楽しいことでもあるんですが、同時にエモーショナルな側面にとても興味を持っています。人の物語や人生についてロマンティックな考えをするほうなので、アクションやノワールと関連付けられることの多いこのSFというジャンルの中で、ロマンシティズムを活かしたいと考えて撮影しました」とコメント。ジョナサンは「僕にとっても良質なSFというのはおっしゃっていた通り、没入できる世界観とストーリー、2つの要素が必要だと思っています。リサは今回それを作り上げたと思っているので、とても誇らしく思っています」と作品への自信を覗かせた。

 司会から「参考にしたSF作品、また影響を受けたSF作品があれば教えてください」と聞かれたリサ監督は「SFを含め多くの作品に影響を受けている中で、今回は女性の視点から描くという少し違ったアプローチをしたいと思いました。本編のテーマの1つである“私たちは他の人間の本当の姿を見ることができるのか?”、それと“愛とどう関わっていくのか?”ということについては『羅生門』やヒッチコックの『めまい』を参考にしています。また、劇中のある電車のシーンは宮崎駿監督が大好きなので、『千と千尋の神隠し』へのちょっとしたオマージュを入れています」と日本映画からの影響について語った。更にインスピレーションを受けた作品として、カート・ヴォネガットの小説「スローターハウス5」、画家のゲルハルト・リヒターの絵画、篠田正浩監督の『乾いた花』などを挙げた。

 CGやVFX技術が発達している中であえて「記憶再現装置」を実際に作る、という、“リアル”にこだわった理由を聞かると、リサ監督は「ヒューが演じるキャラクターは依頼人の記憶を見ることができるので、その時にホログラムを使いたいと思いました。今回の作品にとっては、役者がマシンと“記憶”と“触れる”ような形でやりとりすることがとてもとても重要だったので、スタッフと共に3Dホログラムのマシンを作りました」とコメント。これを聞いた山崎監督が「大変なことをしているはずなんですよ。ホログラムの映像は先に撮らなきゃいけないし、それも多岐に渡っているので、本当に大変だったと思います」と話すと、リサ監督も「本当に1つの挑戦でした! おっしゃる通り先に撮影している映像が必要で、しかもアングルを考えなければいけない。更にヒューがその映像をどこからどうやって見るかを考えながら先に撮影しなければいけませんでした。現場では“算数”を使ったといつも笑っていました(笑)。スタッフと一緒に物差しを持って走り回って、目線はこの位置ではないかと図りながらやっていましたね。大変でしたが楽しかったです」とリアルな撮影エピソードを明かしてくれた。

 山崎監督から【登場人物の第三者から見た感じと本人の幸福感のズレに、溝口健二作品の影響を感じたのですが、どうでしょうか?】という質問を受けたリサ監督は、自分の出自を絡めながらその影響について語った。「溝口監督は本当に傑出したフィルムメーカーですし、彼のスタイルは既に文化的な意識として浸透しているのではないかと思います。私はアメリカ生まれではありますが、母がアジア系なんです。なので幼少期からアジア映画に影響を受けてきましたし、映画を作る時に感性として違うものが混じっているのではないかと自負しています。そして私は外国映画を観る時に、絶望の中での詩的な美しさを感じられるような資質もあるかと思います。美しく誌的だけどスケール感もあり、時にダークでもあるものが私の琴線に触れます。人生もまたダークな時期があって、でもその中で美しさや感情を探さなければいけない、そこに意義があると思っているので」。ジョナサンも「僕自身日本映画が大好きで、『ウエストワールド』でもオマージュを入れてきました。僭越ながら山崎監督が鋭いな!と思ったのは、この作品は記憶が登場して、それはとても私的なものなんだけど、また違った角度から見ると?という物語でもあるんです。そうしたものを映画として初めて成立させたのが『羅生門』だと思っています。私たちはそうした物事の見方の違いを日本映画は非常に巧みに組み立てているなと思っています」とコメントした。

 最後にリサ監督とジョナサンは日本の観客に向けて「本当に皆さん今日はありがとうございました! たくさんの愛情から生まれた作品ですので、楽しんでください」と語り中継は終了した。

 『ダンケルク』のジャパンのプレミアでクリストファー・ノーランとも対談した山崎監督は中継を終え、「ノーラン・コンプリートですね(笑)。『インターステラー』が大好きなのでお会いできて良かったです」とコメント。最後に映画を楽しみにしている観客に対して「至る所に罠や伏線が仕掛けられていて、そこを気にして観ていくと、その伏線が大きな予想もしなかったところに連れていってくれます。僕はすごく楽しめましたので、皆さんも楽しんでください!」と話し、イベントは終了した。



(オフィシャル素材提供)



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