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矢崎仁司監督、伝説の名作
『三月のライオン』
デジタル・リマスター版公開!

2020-06-29 更新

三月のライオンlion
©Film bandets
配給:アップリンク

 矢崎仁司監督、伝説の名作『三月のライオン』デジタル・リマスター版が2月26日(金)より公開となる。

 監督の原点とも言える 『三月のライオン』は記憶喪失の兄と兄を恋人のように一途に思い続ける妹との禁断の愛を切なく美しく描いた物語。昨年末に公開した監督の新作『さくら』(原作は西加奈子の同名小説で、北村匠海、小松菜奈、吉沢 亮が兄弟妹役で共演)は、1つの家族を通して、生きることの意味を丁寧に描いた物語。小松菜奈演じる美貴に『三月のライオン』のアイス思い出すとの声も多く寄せられた。

 「映画は理解するものではなく、感じるものだと思っている」と矢崎監督が語るように、色、光、音、極端に少ないセリフは、言葉では言い表せないイメージを繊細に映し出し、公開から30年が経とうとしている現在でも、 世代を超えて支持されている。


◆ 矢崎仁司監督 コメント

 

 すべての始まりは、パブリック・イメージ・リミテッド、PILのライブでした。
 あの頃、日本映画に不満だった僕は、何かを壊したい衝動でいっぱいでした。あの夏、「This is not a love song」と歌うジョン・ライドンの声が心に刺さったまま、僕は『三月のライオン』のシナリオを書き始めました。恥ずかしいけれど第一稿のタイトルは『This is not a love story』でした。今まで観てきたラブ・ストーリーを壊そうと思いました。でもシナリオは一向に書けませんでした。
 2年後の夏、僕は『風たちの午後』を持ってエジンバラ映画祭に行きました。そこでデレク・ジャーマンに出会いました。彼の映画は衝撃でした。僕の映画は、ある愛のカタチをスクリーンに閉じ込めて、灯りを消してみんなに観せるというもので、それが映画だと思っていました。デレクの映画は、彼の映画が上映される映画館の暗闇が愛でムンムンしていました。映写室からスクリーンまでの、バラバラな感情の履歴たちが、愛でむせかえる暗闇で僕は、こういう映画を作りたいと強く思いました。映画は愛のカタチを描くものじゃなくて、映画館の暗闇を愛で満たすものだ、とデレクに教えてもらった気がしました。
 この二つの夏の体験がなければ『三月のライオン』は生まれなかったと思います。7年後、尊敬するルイス・ブニュエル監督の名前がついた賞を頂きました。その時一番嬉しかったことは、その賞の前年の受賞者がデレク・ジャーマンだったことでした。
 あれから30年という歳月が流れ、愛や絆や言葉が感染拡散する世界の暗闇に、『三月のライオン』をもう一度映そうと、デジタルリマスター版を製作してくださったスタッフの皆さんに感謝します。僕も初心に帰り、「NOT」と問いつづけて新しい映画の可能性に挑み続けたいと思います。映画は、理解しなくていい、感じて欲しいという思いは今も変わりません。


監督:矢崎仁司(やざき・ひとし)

 山梨県出身。日本大学芸術学部映画学科在学中に、『風たちの午後』(80)で監督デビュー。
 2作目の『三月のライオン』(92)はベルリン国際映画祭ほか世界各国の映画祭で上映され、ベルギー王室主催ルイス・ブニュエルの「黄金時代」賞を受賞するなど、国際的に高い評価を得た。95年、文化庁芸術家海外研修員として渡英し、ロンドンを舞台にした『花を摘む少女 虫を殺す少女』を監督。
 そのほか監督作品に、『ストロベリーショートケイクス』(06)、『スイートリトルライズ』(10)、『不倫純愛』(11)、『1+1=1 1』(12)、『太陽の坐る場所』(14)、『××× KISS KISS KISS』(15)、『無伴奏』(16)、『スティルライフオブメモリーズ』(18)、『さくら』(20)などがある。『風たちの午後』が40年の時を経て、リマスター版が初DVD化!現在発売中。


lion


(オフィシャル素材提供)



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