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トップページ > 作品紹介 どん底作家の人生に幸あれ!

2021-01-09 更新

原題:The Personal History of David Copperfield
どん底作家の人生に幸あれ!donzokosakka
© 2019 Dickensian Pictures, LLC and Channel Four Television Corporation

イントロダクション

 イギリスの文豪ディケンズの自伝的傑作小説「デイヴィッド・コパフィールド」を、『スターリンの葬送狂騒曲』(17)の鬼才アーマンド・イアヌッチ監督が映画化。これまで実に6度も映像化されているイギリスの国民的作品を、原作の持つユーモラスな魅力に新たな光を当て、笑って泣ける絶品のエンターテインメントに生まれ変わらせた。トロント映画祭でお披露目された本作は、英国インディペンデント映画賞で11部門ノミネート・5部門(助演男優賞他)受賞、ロンドン映画祭で脚本賞を受賞するなどメディアや批評家から絶賛され、ロッテントマトでは92%(2020/11/2現在)もの高評価を獲得。本国イギリスでは昨年、ディケンズ没後150年の節目と相まって話題をさらい、初登場3位という大ヒットスタートを切った。

 デイヴィッドを演じたのは、『LION/ライオン~25年目のただいま~』(16)でアカデミー賞®にノミネートされたデヴ・パテル。伯母には、『フィクサー』(07)でアカデミー賞®助演女優賞を受賞したティルダ・スウィントン。その同居人に、人気TVシリーズ「Dr.HOUSE -ドクター・ハウス-」のヒュー・ローリー。さらに『007』シリーズ最新作の公開も控えるベン・ウィショーなど、現代にふさわしいダイバーシティなキャスティングによって、奇人変人を嬉々として演じる豪華アンサンブルは見逃せない。また、イギリス・ヴィクトリア朝時代の人々の暮らしぶり(上流家庭から最底辺まで!)を再現した美術セットや衣装も見どころだ。

 人生には突然、災難の嵐が吹き荒れたり、恵みの太陽が降り注いだり、まったくもって予測不能。でも、大切なのは、どんな時も希望を捨てずに前を向くこと――。“どん底作家”デイヴィッドの物語は、私たちにも「幸あれ!」と、きっと明日を晴々と生きる勇気をくれるだろう。


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ストーリー

 デイヴィッドは少年の頃、周囲の“変わり者”たちのことを書き留めては、空想して遊んでいた。優しい母と家政婦の3人で幸せに暮らしていたが、暴力的な継父の登場によって人生が一変。都会の工場へ売り飛ばされ、強制労働のハメに! しかも里親は、借金まみれの老紳士だった……。

 歳月が過ぎ、ドン底の中で逞しく成長した彼は、母の死をきっかけに工場から脱走。たった一人の肉親である裕福な伯母の助けで、上流階級の名門校に通い始めたデイヴィッドは、今まで体験した“作り話”を同級生に披露して人気者になる。

 さらに、令嬢ドーラと恋に落ち、卒業後に法律事務所で働き始めた彼は、順風満帆な人生を手に入れたかに見えた。だが、彼の過去を知る者たちによって、ドン底に再び引き戻されようとして……。果たして、デイヴィッドの数奇な運命の行方は!?

 すべてを失っても綴り続けた、愛すべき変人たちとの《物語》が完成した時、彼の人生に“奇跡”が巻き起こる――。


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(2019年、イギリス・アメリカ、上映時間:120分)

キャスト&スタッフ

原作:「デイヴィッド・コパフィールド」チャールズ・ディケンズ著(新潮文庫刊、岩波文庫刊)
監督:アーマンド・イアヌッチ
出演:デヴ・パテル、ピーター・キャパルディ、ティルダ・スウィントン、ベン・ウィショー、ヒュー・ローリーほか

配給
ギャガ
1月22日(金) TOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテ 他、全国順次ロードショー!

■ オフィシャル・サイトgaga.ne.jp/donzokosakka (外部サイト)



ファクトリー・ティータイム

 「デイヴィッド・コパフィールド」の映像化というと、サイモン・カーティスが監督したBBCのテレビ・シリーズで“ハリポタ”の頃より幼かったダニエル・ラドクリフがデイヴッドを演じた名作もあるが、今回の新作は古典をモダンなアプローチで翻案しており、舞台・衣装はヴィクトリア朝なのに、映画的なレトリックは実に斬新。
 配役もそうで、デイヴィッド・コパフィールド役にインド系のデヴ・パテル、アグネスやミセス・スティアーフォースがアフリカ系の女優、ミスター・ウィックフィールドが香港系と、意表をついており、最初はものすごく違和感を覚えたものの、観ているうちにそれも気にならなくなるくらいユニークな語り口で、ディケンズの言語的イマジネーションが映像という媒体に憑依し飛翔しているかのようだ。
 役者たちの素晴らしさは言うまでもないが、出色はユライア・ヒープを演じたベン・ウィショー。単なる陰湿な悪役ではなくて、虐げられ辱しめられてきた者にこびりついた卑屈と怨嗟、後の捻じれた横柄さの裏に秘めた悲哀を体現していて、あくどいことをしているのに、つい彼の深みに嵌ってしまいそうな名演だ。

(Maori記)

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