インタビュー・記者会見等、映画の“いま”をリポート!

Cinema Factory

Cinema Flash




舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『メカニカル・テレパシー』

『メカニカル・テレパシー』
初日舞台挨拶&応援コメント

2020-10-10 更新

吉田龍一、五十嵐皓子監督

メカニカル・テレパシーmechatele 配給:アルミード
アップリンク渋谷にて公開中ほか全国順次公開
© Akiko Igarashi

 「心を可視化する機械」を巡る3人の男女の物語、五十嵐皓子監督の初長編映画『メカニカル・テレパシー』の初日舞台挨拶がアップリンク渋谷で実施され、主演の吉田龍一と五十嵐皓子監督が登壇し、SF恋愛映画の製作の裏話を語った。また、映画監督の大工原正樹と万田邦敏、脚本家・映画監督の高橋 洋、大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクターの暉峻創三からの応援コメントも届いた。


 本作は、“心を可視化する機械”を巡る3人の男女の物語。”心を可視化する機械”というアイデアを思いついた経緯を聞かれた五十嵐監督は、「心を可視化する方法は、抽象的に表現するだとかいろいろな表現方法があると思うんですけれど、今回映画を撮るにあたって、役者さんが一人二役で“心”と“体”と2つのキャラクターを演じることで心の可視化を描ければと思って、“心は何か”というテーマにアプローチしようと思ったのがきっかけ」と話した。

 “心を可視化する機械”を登場させて、何を描きたかったのかと問われた五十嵐監督は、「心というのは分からないもので、自分が何をしたいのかだとか、相手が何を望んでいるかだとか、分からないことばかりなんですけれども、“その分からないものをあるがままに見つめて、自分が何を選んで、何を言葉にして、どう行動するかというのが大事”だというのを描こうと思いました」と説明。

 吉田は、真崎自身と真崎の心が可視化されたバージョンの両方を演じ、混乱しなかったか聞かれ、「真崎の一部分の感情だったり、エゴであったり、欲であったりというのがもう一人の真崎かなと思い、演じました」と語った。

 吉田は、公開にあたって久しぶりに本作を観たそうで、「4年前観た時と捉え方・感じ方であったり、僕が覚えていた印象と全然違ったことにびっくりしました。4年の間で母が亡くなったんです。かけがえのない命と向き合った時に、気づくことがめちゃくちゃあったんです。それを経て今の自分がこの作品を観た時に、(本作は)人のあり方というか、科学のあり方というか、そういうものが投影されていて、人の欲であったりエゴであったりが垣間見えました。ラストシーンで情景を感じた時に、『人やな~』とか『人生ってこういうことなのかな~』って感じて、涙してしまいました」と途中お母さんを思い出し、言葉に詰まる場面も。

 最後に五十嵐監督より、「片思いで報われなかった思いだとか、自分の中で決着がつけられなかった思いだとか皆さん経験されていらっしゃると思うんですけれど、この映画を観ることでその気持ちを思い出したり、寄り添ったり、そういう時間が持てればと思ってこの作品を作りました。楽しんでいただけましたら幸いです」とメッセージが送られ、初日舞台挨拶は終了した。


【応援コメント】

<映画監督 大工原正樹>

 シリアスな大阪人が静かに激しい愛を語る映画。それだけで新しく感じました(他にもあったらゴメンなさい)。「心が見えるようになる装置? なんだそりゃ!」な無謀なテーマに堂々と正面から挑む五十嵐皓子のねばり強い狂気が、最後は清々しく思えてくる怪作です。


<映画監督 万田邦敏>

 不思議な映画だ。そもそも心の可視化現象そのものが不思議なんだけど、いろいろな人の心が可視化して、登場人物たちにもそれが誰の心の可視化なのかが分からなくなってきて、迷宮化する。「言葉にしなきゃダメだよ」という台詞は、まさに正解なんだけど、それを言っちゃあお終い。言葉にならない、言葉にできない心の中は、やっぱり不思議。


<脚本家・映画監督 高橋 洋>

 よくパラレルワールドには「世界線」という言葉が出てくるが、この映画はひょっとしたら、今、私たちが生きるこの世界こそが無数の世界線に貫かれ交錯し合っていることを描いてるのではないだろうか? それに近いことを、私たちは「人間には関係の数だけキャラクターがある」という言い方で認識しているわけだが、いや、事態はもっとややこしく、人物a、a'、a''、a'''……の世界線が交わる接点に人物Aは存在し、無数の可能性の局面を開示しみせているのでは? そういう人間および人間関係の変容を『惑星ソラリス』や『ストーカー』のような大上段の設定ではなく、プチ近未来のちょっとしたデバイスが照らし出してしまうというアイデアがこの映画の魅力だが、当然ながらややこしい。シンプルを旨とする映画の掟を平然と踏み越えて、映画史上かつてないと言いたいくらいややこしい。覚悟して観てもらいたいが、いや、現実がほとんど近未来みたいに二重写しに見える今日のリアリティには、ふさわしいかも知れない映画なのだ。


<大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクター 暉峻創三>

 愛の物語なんて、とっくに語り尽くされたかと思っていた。……が、どうやらそれは間違いだったよう。始まるや一瞬たりとも目が離せなくなる、もっともピュアで、もっとも未来的な、恋愛映画の新境地。



(オフィシャル素材提供)



関連記事
吉田龍一 オフィシャル・インタビュー
五十嵐皓子監督 オフィシャル・インタビュー

Page Top