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『空に住む』完成披露舞台挨拶

2020-10-05 更新

多部未華子、岸井ゆきの、美村里江、岩田剛典(EXILE/三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)、鶴見辰吾、永瀬正敏、岩下尚史、髙橋 洋、青山真治監督

空に住むsoranisumu 配給:アスミック・エース
2020年10月23日(金) 全国ロードショー
© 2020 HIGH BROW CINEMA

 カンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞した『EUREKA ユリイカ』や『東京公園』の青山真治監督の『共喰い』以来7年ぶりの長編映画となる『空に住む』の完成披露舞台挨拶が10月4日(日)に開催。青山監督に主演の多部未華子をはじめ、岸井ゆきの、美村里江、岩田剛典(EXILE/三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)、鶴見辰吾、永瀬正敏、岩下尚史、髙橋 洋が出席した。


 この日の舞台挨拶は、無観客で、YouTubeチャンネルでの配信のみとなったが、青山監督がそれでも劇場で舞台挨拶ができることについて「映画館っていいですね。興奮気味です」と喜びをかみしめる。

 作詞家の小竹正人が、自身の処女小説の“主題歌”としてつづった三代目J SOUL BROTHERSの楽曲「空に住む ~Living in your Sky~」の世界観を映像化した本作だが、青山監督は「この映画が発するメッセージは『人生は冒険だ』ということ。楽しみにしていてください!」とファンの期待をあおる。

 多部は、青山監督とは初めての仕事となったが「監督とは撮影中もほとんどコミュニケーションをとっておらず、いまだにどういう方なのかわかってない……(苦笑)。そんな中で生まれた映画です(笑)」と衝撃の(?)告白。自身が演じた直実という女性について「一言で説明できない性格の持ち主。感情が表に出ないし、泣けない女性で難しかったですし、『何言ってんのかな?』という部分もいっぱいあったんですが、難しいながらも現場でつかんでいきました」と述懐する。


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 直実が働く出版社の後輩を演じた岸井も、多部の話を受けて「青山さんの演出は直接的じゃなく、『もっとスッキリしてていい』という感じで、『こういうシーンなので、こうやって』というやり方じゃないんです。現場の空気や風、温度をくみ取って映画を作っていきました」と振り返る。

 古民家をベースにした出版社での多部との撮影について「私が(撮影を離れて)多部さんとして接してるのと、役として撮っているのと差がないんです。休憩時間に、岩田さんが演じたスター俳優の時戸が出ている(小道具の)雑誌を見たんですけど、それが映画のシーン化、多部さんとの時間なのか、あいまいになるくらい、素の部分と撮影の差がなかった」となんとも不思議な空気管に包まれた現場の様子を明かした。


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 そんな青山監督の演出について、直実の叔父を演じた鶴見は「何も言わないで、結局、相手のいいところを出させちゃう」と演出家としての稀有な才能を指摘。『東京公園』に続いての青山作品出演で出版社の編集長を演じた髙橋も「台本に『出版社』とあったのですが、行ってみたら古民家で、そういう場所でできることが嬉しくて、自然と『こういう感じでしゃべるのかな?』とか『こういうふうに働いているのかな』というのが、用意していただいた空気で決まりました」と巧みに現場の空気を作り、俳優陣を導いていく“青山演出”について語った。

 青山監督はそうした俳優陣の言葉に「俳優さんがやりたいようにやっているのを、僕がニコニコ見ていることで成立していく現場を常に心がけています」と飄々と語っていた。

 美村は鶴見と夫婦役での共演となったが「共演は3~4度目で、これまで叔父と姪だったり、金持ちと庶民という関係だったんですけど、2人でお金持ちの夫婦役を演じるのは楽しかったです」とにっこり。


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 鶴見は、そんな“妻”の抱える葛藤や悩みに映画を通じて触れて「亭主として(妻を)幸せにしているとばかり思ってて、映画を観たら『こんなに悩んでたんだ?』とショックを受けました(苦笑)。夫婦ってそういうことあるんだな……」と苦笑まじりに語る。

 そして、映画の中で独特の際立った存在感を放っているのが、直実と同じタワーマンションに住むスター俳優・時戸を演じた岩田。岩田は、自身の役柄について脚本を読んだ時から『変な人だな』って思いました。共通部分があると言いたくない役。ひどい奴だな……と思いながら読んでました(笑)」と難役に苦労した模様。「青山監督とクランクイン前にあったとき、お花を持ってきてて、いきなり『食べれそうな花ある?』と聞かれたんです(笑)。確かに脚本のト書きに『生きている花をちぎって食べる」とあったんで、どう表現するのかなと思ってたんですが、本当に花を食べるシーンが成立するとは……。見たことのないシーンになりました」と貴重な経験を楽しんだよう。


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 女優陣は、直実と時戸のエレベーターでの奇妙な出会いについて「もし実際に時戸のような男性に出会ったら恋に落ちるか?」との問いを振られると、それぞれ思案顔……。

 「難しい問題ですよ(苦笑)」(多部)、「岩田さんの風貌は誠実さがにじみ出ているので、大丈夫かなと思うけど、そうじゃないと怖くてセキュリティボタンを探しちゃう(笑)!」(美村)、「(映画の中は)見た目が岩田さんだから(大丈夫)だけど……」(多部)などなど、女性同士のトークに花を咲かせる。

 岩田はこの様子に「どうリアクションしていいのか……(笑)。(時戸のような男には)ついていかないほうがいいと思います」とやや困惑気味に語っていた。

 もうひとり、出演シーンはワンシーンながらも重要な役割を果たしているのが、永瀬が演じたペット葬儀屋の男性。永瀬は、原作者の小竹氏とは数十年来の友人であり、物語の中に書かれている、実際に小竹氏が体験した事柄を間近で見ていたそうで「(小竹さんの)猫にも会ってますし、タワーマンションにも行ってるし、(猫を亡くす)喪失感も直に見ています。そういう意味で、ワンシーンしか出てないけど、僕にとって特別な映画になりました」と感慨深げに語った。

 また、直実の勤める出版社の代表を演じるのは、作家の岩下尚史。「映画を観て、小竹さんは芸能界のこともよくご存じで、出版社の人のこともよくご存じで。岩田さんが演じたスターのような人もよくいますし、多部さんが演じたああいう怖い編集者もいます」と断言し、これには登壇陣も笑い声をあげていた。

 最後に多部は「この映画のとらえ方は様々で、男女でも違うだろうし、いろいろな見方があると思います。それぞれ、思い思いに観ていただけたら」と語り、「お体に気をづけて、万全の体調で映画館に足を運んでいただければ幸いです」と呼びかけた。

 なお、本作は第25回釜山国際映画祭 「アジア映画の窓」部門に出品されることも発表された。



(オフィシャル素材提供)



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