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『ようこそ映画音響の世界へ』
公開記念トーク付き試写会

2020-08-28 更新

町山広美(放送作家)

ようこそ映画音響の世界へeigaonkyo 配給:アンプラグド
新宿シネマカリテにて公開中ほか 全国順次公開
© 2019 Ain't Heard Nothin' Yet Corp.All Rights Reserved.

 本日8月28日(金)公開、ハリウッドの映画音響にフォーカスした世界初のドキュメンタリー映画『ようこそ映画音響の世界へ』公開記念トーク付き試写会が8月25日(火)に開催され、ゲストとして放送作家の町山広美氏が登壇した。


 本作は、世界的に活躍する映画監督たちや、『スター・ウォーズ』(77)などを手掛けたベン・バート、『地獄の黙示録』(79)などで知られるウォルター・マーチ、『ジュラシック・パーク』(93)などに携わったゲイリー・ライドストロームといった映画音響界のレジェンドを始めとした、その道のスペシャリストたちへのインタビューと共に、“音”が映画にもたらす効果と重要性に迫っていく感動と興奮のドキュメンタリー。

 多数の応募の中から抽選で選ばれた25名が参加し、ゲストには放送作家の町山広美氏を迎えて下北沢のカフェサンデーブランチで行われた今回のイベント。町山氏はまず本作について、音が映画においてどのような役割を果たしているか分かりやすく知ることができると述べ、観賞後は映画館で映画がより観たくなると熱い感想を語った。

 続けて、普段聞こえている音にどのような工夫を施しているか今まで以上に注目するようになるため、映画館で映画を観ることがより楽しくなるとも語った。更に自身が特に音の存在を感じた映画として、ジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』を挙げる。当時学生だった町山氏は、恐怖のあまり画面を直視することができず、音だけを聞いていたという。ゾンビが人を食べる“ムシャムシャ”という音が特に印象的で、あまりの恐怖に最後まで作品を観ることができなかったとのこと。後に改めて作品を観た際はあまり怖く感じなかったとのことだが、音がもたらす効果と人の想像力のすごさを感じるエピソードだったと笑顔で語った。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、ハリウッドでは4割ものスタッフが失業する事態となっているが、同じような状況が1960年代にもあったと語る町山氏。当時のハリウッドは逆境を跳ねのけてさらに躍進することになるが、今回も最悪の状況を乗り越えた先には何か新たな変革が起きるのではと期待の声を寄せた。また、本作に登場する音響技術者の声が全員良い声で印象的だったと笑顔で語り、説明も聞きやすかったと述べた。また、本作をぜひ中学校の授業で流してほしいと語り、様々なプロフェッショナルの活躍が分かるお仕事映画にもなっていると評価した。

 トークショーの中盤、人間の五感で最初に感じるのは“音”であり、最後に感じるのも“音”であると言う町山氏。自身の母親が亡くなる直前、兄であり映画評論家の町山智浩氏が声をかけると一時的に心臓の波形が反応したと、当時を思い出しながら語った場面も。続けて屋久島で空間と音の関係を感じる印象的な体験をしたとも語る。バス停でバスを待っていたところ、ほうきを掃く音が聞こえすぐそこで掃かれていると感じたが、実際にはかなり遠いところで掃かれていたという。都会の喧騒がなく、静かな場所ならではの体験だったと驚きの表情で話した。

 終盤にはこの映画を観た後にぜひ観て欲しい作品として、フランシス・フォード・コッポラ監督の『カンバセーション…盗聴…』などを挙げた町山氏。最後に試写会に集まった観客に向けて、映画館でもう一度本作を観て欲しいと熱く語り、イベントは大盛況の中終了した。

 映画愛、仕事愛に包まれた感動と興奮の映画音響ドキュメンタリー『ようこそ映画音響の世界へ』は、本日8月28日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、立川シネマシティほか全国順次公開。



(オフィシャル素材提供)



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