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『母との約束、250通の手紙』
オフィシャル・インタビュー

2020-01-28 更新

ピエール・ニネ


母との約束、250通の手紙250letters
© 2017 - JERICO-PATHE PRODUCTION - TF1 FILMS PRODUCTION - NEXUS FACTORY - UMEDIA 配給:松竹

ピエール・ニネ

 1989年3月13日生まれ、仏パリ出身。
 11歳で初舞台を踏み、21歳の時にパリの国立劇団コメディ・フランセーズで史上最年少の準座員になる。演劇でキャリアを積み、07年に『Nos 18 ans』でスクリーンデビュー。初主演映画『J'aime regarder les filles』(11)と『Comme des Freres』(12)で、セザール賞の有望新人男優賞にノミネートされた。
 イヴ・サンローラン財団公認の伝記映画『イヴ・サンローラン』(14)では、生き写しのような容姿や佇まいで天才デザイナーを演じ、注目を集める。
 その他、コメディ・フランセーズの舞台でも主役を務めるほか、TVシリーズ「Casting(s)」では脚本・監督を担当するなど、若くして多才ぶりを発揮。
 主な出演作に、フランソワ・オゾン監督『婚約者の友人』(15)、フレンチ・サスペンス『パーフェクトマン 完全犯罪』(15)、海洋学者で映画監督のジャック=イブ・クストウの伝記映画『海へのオデッセイ ジャック・クルトー物語』(16)などがある。



 セザール賞4部門ノミネート(主演女優賞、脚色賞、衣装デザイン賞、美術賞)。フランスで動員100万人を超える大ヒットを記録した『母との約束、250通の手紙』が2020年1月31日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開となる。この度、伝説の文豪ロマン・ガリを演じた主演のピエール・ニネのオフィシャルインタビューが到着した。

 本作は、権威あるフランス文学最高峰ゴンクール賞を史上唯一2度受賞し、外交官、映画監督、そしてプライベートでは『勝手にしやがれ』の女優ジーン・セバーグの夫と複数の顔を持ち、最後は拳銃自殺を遂げたことでも知られる、フランスの三島由紀夫とも評される伝説の文豪ロマン・ガリによるベストセラー自伝小説「夜明けの約束」を、ラース・フォン・トリアー作品への出演など国際的な活躍がまぶしいフランスを代表する女優シャルロット・ゲンズブールと『イヴ・サンローラン』『婚約者の友人』で人気上昇中のピエール・ニネという豪華実力派俳優共演で映画化したもの。監督は『赤と黒の接吻』『蛇男』のエリック・バルビエ。ジュールス・ダッシン監督によるフランス映画『夜明けの約束』(70)に次ぐ47年ぶり、2度目の同名原作の映画化となる。

 フランスを理想化するユダヤ系ポーランド人移民の母親と、その母からフランス大使にして大作家になる将来を託された息子。強烈な個性の母親は過剰なまでの愛情を息子に注ぎ、一人息子は翻弄されつつも全力でそれに応え続けた――。母から届き続けた250通にも及ぶ手紙に秘められた秘密とは? 第二次世界大戦下の混沌とした時代に翻弄されながらも、強すぎるほどの絆で、互いの存在だけを頼りに生き抜いた親子の愛に心揺さぶられる感動作。


エリック・バルビエ監督の作品に関わる前に、小説 「夜明けの約束」のことはご存知でしたか?

 僕は、「夜明けの約束」をはじめ、彼のその他の作品を読んだことがあった。でも映画の準備として読み直した時、ロマン・ガリの作品で再発見があった。独特の独創性があって、知性で読者を驚かせるんだ。僕はガリのユーモアが大好きなんだよ。彼は、自暴自棄なものの言い方をすることは決してない。彼のそのユーモアが、彼の人生のドラマであり、同時に彼の作品の出どころでもあるんだ。ガリにはいつの時にも笑いもドラマも絶望もふんだんにある。僕は、「夜明けの約束」を通して、自由と人権の国であるフランスに対してロマンと母親が抱いていた無条件で立派な愛を再発見した。その意味で、この本は絶対的に現代にも当てはまる。ユダヤ系ポーランド人が迫害を受けて自国を後にし、フランス人になることを必死で目指す物語だからね。彼は文字通り戦ってこの夢を実現させ、20世紀で最も偉大なフランス人作家の一人になるんだ。


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ロマン・ガリの役を演じないかという誘いがエリック・バルビエ監督からあったとき、まずどんなことを思いましたか? ガリが小説の中で作り上げるこのキャラクターをどのように表現しましたか?

 僕は「夜明けの約束」からの鮮明なイメージを覚えていた。最初に読んだのは僕が10代のときだったんだけど、その時点でこの作品は映画的だと思った。でも僕にとって最も説得力があったのは、作品全体を通して伝わってきたエリック・バルビエ監督の情熱だった。彼はもう何年も前からこの映画を作りたいと思っていた。この類い稀であり、国境を超える絆で結ばれたこの母子を描きたいと思ったらしい。僕には、役に関して先入観はなかった。でもロマン・ガリの人生について知るに従って、仕事と人生という彼の二重のアイデンティティーに惹かれたんだ。『母との約束、250通の手紙』 は、紛れもなく自伝なんだけど、現実を大きくも小さくも変えて作り上げたという要素を含むんだ。だからそれは、脚色の過程と監督の目を経たガリの役を僕が作りあげるということを意味した。だからロマン・ガリを演じるというよりも、エリック版の人物を発見することだったんだよ。


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小説を読んでも映画を見ても、観客の頭から離れない問いが一つあるんです。それは、ロマン・ガリの母親のような親を持つことは祝福なのか、呪いなのか、ということです。あなたはどう思いますか?

 難しい質問ですね。ここで答えられるほど簡単な質問ではないと思う。二人の絆はとても強力で、狂気じみていて、情熱的で、破壊的であると同時に建設的でもある。その絆がガリの真髄なんだ。これがあるから「夜明けの約束」はきわめて重大で啓示的な本なんだよね。それは、ロマン・ガリのような作家の深いところにある欲望がどこから派生しているかを語っている。彼の生命力もだ。確かなのは、彼を真の意味で比類ない人物にしたのは、彼の母親だということなんだ。普遍的な視点から見たら、僕らはみんな親から、特に母親から受け継ぐのだということをこの物語は伝えているんだと思う。それはいい面もあるが、辛い面もある。「母親の愛で、人生は、夜明けに守れない約束をする……」というこの引用の中に全物語が入っているんだ。


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(オフィシャル素材提供)




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