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2019-07-22 更新
ドイツ・フランクフルトで開催された第19回「ニッポン・コネクション」のニッポン・シネマ部門に出品された、瀬々敬久監督の『菊とギロチン』がドイツで初お披露目となり、出演者の渋川清彦が上映前の舞台挨拶に登壇した。
本作は、大正末期、関東大震災直後の混沌とした社会で、時代の波に翻弄されながらも、自由と夢を求めて懸命に格闘する「女相撲」の一座と、アナーキスト・グループ「ギロチン社」の出会いと生き様を描いた、若者たちの熱い血潮がたぎる瀬々監督渾身の青春群像ドラマ。
この日、フランクフルトに到着したばかりだという渋川清彦。午後10時近い上映で3時間を超える大作のため、Q&Aはかなわないが、上映前の挨拶にはかけつけてくれた旨、主催者からの前置きがあった後、映画祭ではすっかりお馴染みとなった渋川が、大きな拍手の中登場。
まずは「グーテン・アーベン(こんばんは)、KEEです!」とドイツ語で挨拶。「後は、日本語で……(笑)。まずはこの映画の監督のことを話します。敬々監督は日本ですごく大きな商業映画も撮っている方ですが、そのおかげで、長年構想していたこの映画を撮り上げることができました。この映画では、有名な俳優も何人かいますが、ほとんど知られていない俳優を大勢起用しています。現場の空気は本当に熱かったんです」と話し、スクリーンから溢れ出るようなその熱気と強い想いのなかで生み出された作品であることを明かした。
渋川自身は、さまざまな事情で一座に加わった訳ありの女性たちを支え見守る「女相撲」興行一座の親方を演じている。「自分がやったのは女相撲の親方役だったので、当時現場ではみんなを連れて飲みに行ったりしました。その時、やっぱり親方だったらみんなの分も払ってあげたんだろうなと思って、自分も結構お金を使ったんです。そうしたら、最後に計算してみると、ギャラといっしょの値段でした(笑)」と打ち明けると、観客は笑いを誘われながらも懐の深い(?)渋川に温かい拍手を送った。
今回映画祭で上映される作品中、8本もの映画に出演している渋川。この日以降も連日、舞台挨拶やQ&Aへの参加が続く。「今回来ている豊田利晃という監督がいるんですけど、この映画祭のディレクターであるマリオン(・クロムファス)を紹介してくれたのが豊田さんだったんですね。それで、初めてこの映画祭に来たのは豊田さんと一緒でした。今回も一緒に参加できて嬉しいです。後日、豊田さんの映画『泣き虫しょったんの奇跡』も上映されるので、その時にはまた一緒に挨拶します。ぜひいらしてください。フィーレンダンク(ありがとうございます)!」とにこやかに挨拶し、会場を後にした。
(取材・文・写真:Maori Matsuura)
【菊とギロチン】
監督: 瀬々敬久
脚本: 相澤虎之助・瀬々敬久
出演: 木竜麻生、東出昌大、寛 一 郎、韓英恵、渋川清彦、山中 崇、井浦 新、大西信満、嘉門洋子、大西礼芳、山田真歩、嶋田久作、菅田俊、宇野祥平、嶺 豪一、篠原篤、川瀬陽太ほか
ナレーション:永瀬正敏
配給: トランスフォーマー
(2018年、日本、上映時間:189分)
ストーリー:
大正末期、関東大震災直後の日本には、不穏な空気が漂っていた。軍部が権力を強めるなか、これまでの自由で華やかな雰囲気は徐々に失われ、人々は貧困と出口の見えない閉塞感にあえいでいた。
ある日、東京近郊に女相撲一座「玉岩興行」がやって来る。力自慢の女力士たちの他にも、元遊女の十勝川(韓英恵)や、家出娘など、ワケあり娘ばかりが集まった、この一座には、新人力士の花菊(木竜麻生)の姿もあった。彼女は貧しい農家の嫁であったが、夫の暴力に耐えかねて家出し、女相撲に加わっていたのだ。
「強くなりたい。自分の力で生きてみたい」と願う花菊は、周囲の人々から奇異の目で見られながらも、厳しい練習を重ねていく。いよいよ興行の日。会場には、妙な若者たちの顔ぶれがあった。彼らは「格差のない平等な社会」を標榜するアナキスト・グループ「ギロチン社」の面々で、師と仰ぐ思想家の大杉栄が殺されたことに憤慨し、復讐を画策すべく、この土地に流れ着いていた。「ギロチン社」中心メンバーの中濱鐵(東出昌大)と古田大次郎(寛 一 郎)は、女力士たちの戦いぶりに魅せられて、彼女たちと行動を共にするようになる。
「差別のない世界で自由に生きたい」――その純粋な願いは、性別や年齢を越えて、彼らを強く結びつけていく。次第に中濱と十勝川、古田と花菊は惹かれあっていくが、厳しい現実が容赦なく彼らの前に立ちはだかる。
■ 『菊とギロチン』Blu-ray&DVD 発売&レンタル中(販売元:ポニーキャニオン):
https://pcsc-movie-product.ponycanyon.co.jp/item014.html (外部サイト)
(オフィシャル素材提供)
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