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『ガンジスに還る』現地リポート

2018-10-31 更新

シュバシシュ・ブティアニ監督

ガンジスに還るganges 配給:ビターズ・エンド
10/27(土)より、岩波ホールにて公開中ほか全国順次公開!
© Red Carpet Moving Pictures

 ヴェネチア国際映画祭でビエンナーレ・カレッジ・シネマ部門エンリコ・フルキニョーニ賞を受賞し、映画批評家サイト「ロッテン・トマト」驚異の満足度100%を打ち出したインド映画『ガンジスに還る』が、岩波ホールで公開中ほか全国順次公開となる。

 本作は、誰にでも訪れる「死」というテーマを、ユーモアと人情味溢れるタッチで描き、不器用な親子と、個性的な人々が織りなす心温まる物語。ヴェネチア国際映画祭では10分間のスタンディングオベーションが鳴り響き、「人生、死、そして絆についての心温まる宝石のような一品」GlamSham)、「あなたが今年目にする中で最高の1本!」(Mid-day)と、世界中から称賛が寄せられている。

 本作の魅力は、何と言っても、タイトルにもある大なガンジス河が流れる聖地・バラナシの異国情緒漂う雰囲気。生死が混在するバラナシの土地そのものが、映画の主題になっており 第二の主役ともいえる存在。今回、その舞台であるバラナシに潜入! 聖なるガンジス河流れるディープタウンのリポートが到着した。


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★ 街の主役! 大勢の人が訪れる聖なるガンジス河

 バラナシの町の雑踏を抜けると、眼の前に広がるはガンジス河。ヒマラヤを源流に持つその大河はじつに壮麗な風格で迎えてくれる。とりわけ朝日が上る光景がとても美しく、聖なる河として崇められる場所として知られている。

 ヒンドゥー教ではガンジス河で沐浴すると全ての罪が流されるとされているため、朝から河に全身を沈める大勢の教徒たちが集う。その光景は満員電車並み! 河に集まるのは彼らだけでなく、河の水で洗濯をする人びと、様々な儀礼を行う人びと、広場で憩う人びと、そして死者の火葬のために訪れた人びとと、じつに様々。祈りと哀悼と生活が混然一体となった、人間たちから放たれるスピリチュアルなエネルギーや生命力に圧倒される超パワースポットエリア!


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★ 死を待つ家とは? インドに数多く存在する「解脱の家」に潜入!

 『ガンジスに還る』で父と息子が訪れるは、死を待つ人が滞在する「解脱の家」。人びとの目的は「解脱」すること。「解脱」とは、ヒンドゥー教の教えで輪廻の連鎖から解放されることであり、そのことで魂の自由が得られるらしい。ガンジスの側には映画の撮影地として使われたナンディーシュワル・ガートが存在しているが、そこは普段は結婚式などで使用されている建物。それとは別に、今回の取材では本物の〈解脱の家〉へ潜入。そこで実際に暮らす初老の男性に話を聞くことができた。彼もまた、ここで死を迎えるために仕事をやめてバラナシに妻とやって来たそう。ほとんど映画のストーリーに近いことが驚き!

 一度入所すると死を迎えるまで退去する必要はないらしく、そこでは老人たちが慎ましい暮らしを送っているのだという。聖地で過ごす、穏やかな死をゆっくりと待つばかりの老後……。日本人には想像しにくい部分もあるが、彼のゆったりとした佇まいを見るにつけ、そこには豊かな時間が流れているように感じられた。映画では息子ラジーヴが父の世話をしながら、そのゆるやかさに身を任せることで心をほぐしていくのだが、実際にその空気に触れると肌感覚で「こういうことか」と理解することができる。忙殺されている現代人が 忘れている安らぎが、そこにはある。


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★ 河沿いで焼かれる死体……オープンすぎる火葬場に衝撃!

 何より驚きなのは、毎日遺体が運ばれ、そして焼かれる火葬場の光景。実際に衣にくるまれた遺体が焼き場の近くに置かれている。火葬場といっても閉鎖的な部分はまるでなくとてもオープン。死は当たり前のようにそこに存在し、バラナシの人びとはそれと共存しているのである。聖地でしかあり得ない光景に思わず言葉を失うが、不思議と恐怖感はない。すべての人間の終着点である死が、ごく自然にある――そんなさりげない厳かさが、そこに横たわっているのだ。


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★ 昼の雰囲気はガラリと一変! 幻想的な情景にウットリ……

 ガンジスは昼でもなく夜もおススメ。ヒンドゥー教の礼拝の儀式である祭り「プージャー」が夜な夜な行われているのである。バラモンたちが燭台に火を灯し、祈りを捧げる姿を大勢が集まって見守る。祭礼は次第に盛り上がり、高揚感のある音楽が流されて大団円を迎えることとなる。『ガンジスに還る』の劇中、父ダヤとラジーヴの妻子も含めた家族でプージャーを観賞して楽しむシーンがあるが、儀式が醸す幻想的な空気もあって印象的な一幕だ。ここで家族は久しぶりに楽しい時間を共有することになる。バラナシという特別な場所で同じ時間を過ごすことで、彼らは家族としての絆を再確認し、また、それぞれが人間らしく生きるとはどういうことかを考え直すのである。


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(オフィシャル素材提供)




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