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2018-05-11 更新
ダイアン・クルーガー
ダイアン・クルーガー
1976年7月15日、ドイツ、ハノーバー生まれ。
英国ロイヤル・バレエ団でバレリーナを目指すが、怪我のため断念。その後、パリでモデルとして成功を収める傍ら、有名な俳優学校ル・クール・フローランで演技を学び、「ザ・ターゲット」(02/ジャン=ピエール・ルー監督)でスクリーンデビューを飾る。
2003年、第56回カンヌ国際映画祭で将来有望な俳優や女優に贈られるショパール・トロフィーを受賞、翌年ブラッド・ピット主演の歴史スペクタクル『トロイ』(04/ウォルフガング・ペーターゼン監督)で王妃ヘレン役に大抜擢され、国際的にブレイクする。
その後、ニコラス・ケイジ主演、ジョン・タートルトーブ監督の『ナショナル・トレジャー』(04)、『ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記』(07)でヒロインを演じ、クエンティン・タランティーノ監督作『イングロリアス・バスターズ』(09)に出演、全米映画俳優組合賞助演女優賞にノミネートされる。
その他の主な出演作に『戦場のアリア』(05/クリスチャン・カリオン監督)、『敬愛なるベートーヴェン』(06/アニエスカ・ホランド監督)、『マリー・アントワネットに別れをつげて』(12/ブノワ・ジャコー監督)、『バツイチは恋のはじまり』(12/パスカル・ショメイユ監督)、『パパが遺した物語』(15/ガブリエレ・ムッチーノ監督)など、インターナショナルに活躍している。
本作『女は二度決断する』で、母国語であるドイツ語での演技を初めて披露し、第70回カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞、世界的な映画祭で主演女優賞を獲得したのは本作が初めて。
第75回ゴールデングローブ賞で外国語映画賞受賞、第70回カンヌ国際映画祭ではダイアン・クルーガーが主演女優賞を受賞した、ドイツの名匠ファティ・アキン監督最新作『女は二度決断する』が大ヒット中! 今回、『女は二度決断する』で約11年ぶりの来日を果たしたダイアン・クルーガーのオフィシャル・インタビューが到着した。
ファティ・アキン監督と組むことはまるで夢のような体験だった。彼はドイツで非常に尊敬されている監督なの。ドイツには住んでいないから、私はフランスで彼の映画を観てた。ほかのドイツの監督のことはあまりよく知らないの。ファティはトルコ系ドイツ人ということもあって、様々な偏見や差別に遭い、そういうテーマを扱った映画作りをしてきた人。今、ドイツで起きていることを、真実味を持って描いてる。ドイツ映画の中で重要な流れを作っている監督ね。
私にドイツ人役のオファーが来たことは今までもあったけど、いつも第二次世界大戦の話ばかりで、ちょっと食傷気味だったの。だから、こういう現代の話がきたことはうれしかった。
これまでずっと同じアプローチで女優の仕事をやってきたけど、最近、準備期間が重要だとつくづく感じるようになったわ。『女は二度決断する』では、殺人やテロで家族を亡くしてしまった遺族の方々と撮影前に6ヵ月ほど交流したの。そういう時間を持つことで、遺された人々が悲しみを抱えながら、どのように生きているのかを掴めた気がしてる。これまで、事件があったときに報道があっても、「加害者がどんな人物か」という情報ばかりが流れていて、その背後にいる遺族のことを考えたことがなかった。そういう意識を持つこともなかったの。でも、この作品を通して、責任を感じるようになった。だから、“女優として”というよりは、“人として”この役には影響を受けたわ。こういった境遇になってしまった方々の気持ちに深く共感するようになったの。
集中力を要するものとそうでないものと、シーンによって違うけど、『女は二度決断する』の感情を表現するシーンでは正確性が必要で、温度や感度を計りながらやらなくちゃいけなかった。一発で決めなきゃいけない。私は遺族の方々の物語を演じている、その責任を負わなければいけない。彼らが体験したこと、感じていることを、私の演技を通じて明確に伝えたい、と思って演じていたの。撮影が終わっても、しばらくの間、カティヤが体から抜けなかった。今も、彼女は私にいるような気がするわ。
フランス語はちょっと複雑な言語だから、セリフ覚えが少し遅れてしまったり、英語で演じるとき、アイオワやテキサス育ちの女性の気持ちを理解するには限界があったけど、ドイツ語で演じることでルーツに戻れたような気がしたの。登場人物たちがどこから来たのか、どういう人なのか、言語に基づく文化的な生活習慣が根本から分かって演じることができたの。
授賞式の日に映画祭側から「今日は帰らないでくださいね」と言われた時、作品に関する賞かな、くらいに思ってたんだけど、女優賞だと分かった時は本当に驚いたわ。ファティが私の分まで喜んでくれてるみたいだった。この作品を多くの方が認めてくれたことに心から感謝して、幸福な気持ちに包まれた夜だったわ。カティヤ役は本当に努力して、まさに心血注いで演じた役だったから、カンヌで認められたことは心からうれしかった。私にとってカンヌは特別な場所。司会を務めたことも、審査員を務めたこともある。私のキャリアはカンヌから始まったと言っても過言ではないもの。
この作品が響いた理由はやはり人種偏見・差別・極右が世界で台頭しつつあり、それを扱っているからだと思います。さらに、多くの国に響いてくれるとうれしいです。
この映画を通して、家族の大切さを痛感したわ。実はドイツでの映画撮影は初めてだったの。それで、母が現場に来てくれた。今まで、フランスでの撮影中に一度だけ母が来たことがあったけど、その一度だけだったの。母との関係は再び親密なものになったわ。カティヤを演じたことで、突然家族との時間が奪われるかもしれない、愛する人との時間を大事にしなければいけないと強く思うようになったの。
カティヤはハンブルクのストリートガール風で、私もそんなに遠くないところで暮らしてたから「こういう友達いた!」って感じがする。ドイツに住んでいた時、トルコ人の友達も大勢いたわ。その頃とは時間が経ったけど、今でもブロンドで青い目の女性がトルコ系の移民と結婚することはタブー視されているところがあるの。この映画のもとになった実際の事件があるんだけど、その事件が起きたとき、多くのドイツ人が「トルコ人のコミュニティ内で内輪もめ」「犯罪組織が関わってる」と思い込んでた。ファティがこれを映画にしようとしたのには、「白人は関係ない」という感覚を多くの人が持ってたって話をしたかったからなの。
いま、ファティと一緒にマレーネ・ディートリッヒについての企画を考えてるの。子供のころから憧れていたし、ドイツが海外に輩出した唯一の国際的大スターよ。彼女は戦時中はアメリカの味方をしたとして、ドイツ国内には反感を持たれたりして、パラドクスだらけの人生だった。そこが面白いわ。来年には取り掛かる予定よ。
(オフィシャル素材提供)