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舞台挨拶・イベント

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『私は絶対許さない』トークイベント

2018-03-27 更新

和田秀樹監督(精神科医)、雪村葉子(原作者)
進行:南美希子(フリーアナウンサー/本作・看護学校長役)

私は絶対許さないwatashihazettaiyurusanai

制作・配給:緑鐵
4月7日(土)よりテアトル新宿にて公開ほか全国順次公開
© 「私は絶対許さない」製作委員会

 15歳の元日に集団レイプに遭い、加害者の男たちへの復讐だけを胸に生きてきたという雪村葉子氏による衝撃的な手記(ブックマン社刊)を、精神科医の和田秀樹監督が映画化した映画『私は絶対許さない』。公開に先立って3月25日(日)、トークイベントが行われ、精神科医で本作監督の和田秀樹、15歳で集団レイプに遭ってからの半生についての手記を出版した本作原作の雪村葉子氏、本作に看護学校長役で出演している南美希子(フリーアナウンサー)が登壇、性被害者の心理などついて深く掘り下げた。


 トークイベント冒頭では、インフルエンザのため欠席となった、フジテレビ「ほんまでっかTV」ほかで有名な心理学者・臨床心理士の植木理恵氏からのコメントが紹介されました。


 ご来場の皆様、臨床心理士の植木理恵でございます。
 本日皆様とお目にかかり、トークセッションを深め合うことことを心待ちにしていたのですが、私事ながら昨夜半から急に高熱が続き、今朝病院にかけこんだところ、ついにインフルエンザにかかっていることがわかり、グッタリしている次第です。本日は急遽、来場がかなわずに大変申し訳ございませんでした。
 本編をご覧になった皆様は、すでにお感じになっていると思いますが、本作品は、ただの可哀想で悲しいおはなしや、単純なポルノティックな作品ではありません。
 むしろ、そういったトラウマ被害者の、10年後20年後の心の「行くさき」について、鋭くも温かく、そして「誰もが強いが、誰もが弱虫」の心のひだを、鋭くえぐっていると感じます。
 私個人としては、この映画の主人公は、15歳の時に「死んだ」葉子にあると思います。葉子は、東京で変身した彼女に対して、ことあるごとに見下ろすようにツッコミをいれます。心理学ではこの機能を「メタ認知」とよぶのですが、じつは葉子に限らず、私たちはみな、このメタ認知から支配を受けています。
 過去の自分から、「おまえさあ、まだそんなことやってんの?」とツッコミを入れられながら、ときに立ち止まり、ときに誰かに頼り、ときに生き方をガラッと変えるのです。
 原作者である葉子さんは、その悲劇はもちろんですが、そんなひどいトラウマ後も、自分と自分の対話を止めたり諦めたりすることなく、むしろ能動的に立ち向かっていったところに、私は敬意を表します。
 和田監督の研究テーマでもある、トラウマ分析とはじつは相容れない、目的論的ソリューショニストのお考えが随所ににじみでており、私個人としては、もう一度ゆっくり鑑賞させていただきたい映画でございます

 植木理恵


watashihazettaiyurusanai 冒頭で和田秀樹監督は、「この映画を通じて、性被害の凄惨さやその後どういう人生を送るのかだけでもご理解いただければ、私としては役割を果たせたかなと思います」と、お面を被って初めて公の場に登場した原作の雪村葉子氏は、「インターネットなどのこの本のレビューを見ますと、『こんな話、嘘に決まっている』『こんな話あるわけがない』という書き込みを多く見かけます。この作品は、私が経験したことを元にした事実の作品です。皆様もそのように観ていただければと思います」と挨拶した。

 雪村氏は、この映画が忠実に映画化した原作である手記を執筆した経緯について「集団レイプから20年が経ちまして、昼は看護師、夜はSM嬢として仕事をさせていただいた時に、女王様の取材で知り合った女性編集者の方にたまたま自分の過去を話したら、『なんで集団レイプをされたあなたが風俗嬢になったんですか? 普通は男性嫌悪になるんじゃないですか?』と驚かれて、私の過去に興味を持っていただいたことがきっかけです」と話した。

watashihazettaiyurusanai 監督は、本原作を映画化した理由について、「日本で作られるほとんどのドラマ・映画というものは、通り一遍のPDSTだ、フラッシュバックだ、ひどい場合は多重人格だ、というような定式化したものが多いです。僕はずっとトラウマの研究をしていて、本当はそれよりも“トラウマというものを通じて自分が生きている世界や見えている世界が変わってしまう”ということのほうがよっぽど大きな問題だと思っています。この原作の解説を書いてほしいと依頼を受けて、読んでいくうちに、ありえなさそうに見える話なんだけれど、これが一番しっくりくる話だったので、これを伝える必要があると思いました」と説明。

 監督は、原作・映画で描かれている雪村氏の症状について、「“離人”という精神学的な症状なんですけれども、今生きている感覚が持てなくて、自分が生きている世界の傍観者になったような感覚になってしまうという症状です。自分の世界として生きられていないという悲劇があるんじゃないかなと思いながら作ってきました。“トラウマを受けながら力強く生きている姿があり、もう一方でそれでも心の病になってしまい、その心の病の中で自分の意思とは違うところで動いてしまう自分がいる”という悲しさを伝えたいと思いました」と語った。

 雪村氏は、映画化のオファーを受けて、映画化の際に監督にお願いしたことについて、「1つは、本作には性的な描写が含まれるけれど、ただのエロス作品にして欲しくないということ、もう1つは、私を集団で強姦した5人の男たちの名前は実名でお願いしますと頼みました。これは本を出版する時にもお願いしたことです」と落ち着いて話した。

 被害者の視点(POV)の映画にした理由について監督は、「レイプ・シーンを普通に撮ってしまうと、男性からすると扇情的で、エロティックな側面が強調されてしまう。それは不本意なので、された側の目で見てもらいたいと感じ、私なりに考えた結果です。お客さんに被害者目線で、その後の人生の移り変わりやその後の心もシンクロして感じてもらいたいと思いました。2つ難点があって、1つは技術的な観点。役者さんの代わりにカメラだけが動くのではなく、カメラマンの後ろに必ず役者さんがいました。小さいカメラという技術の進歩によって可能になった撮り方です。2つ目は、せっかくオーディションで主演に選ばれた方が、手や足しか見えないので、あまり嬉しくはなかったと思うんです。私がやりたいことを伝えて、平塚千瑛さん、西川可奈子さんお二人とも納得していただいて、成立しました。お二人はほとんど画面に出て来ないので、主演女優賞などにはノミネートはしないと思うけれど、その意気に対してなにかしらの賞がもらえるといいなと思っています」と話した。音響のスタッフには、観客がその世界に入り込める音響設計もしてもらったとのこと。

watashihazettaiyurusanai 雪村氏は、冒頭の集団レイプのシーンの撮影に立ち会った時の感想を聞かれ、「レイプ・シーンを見てしまったら、自分の中で何かが紐解かれてしまいそうで、迷ったんですけれど、撮影の前夜に、撮影が行われている金沢に行くことを決めました。実際にそのシーンを見たら、自分の中で何かが爆発してしまうのではないかと思っていましたが、実際立ち会わせていただいたときは、客観的に見ることができて、『あれから時間がたったんだなぁ』と思っております」と答えた。

 劇中の葉子の「もう男には頼らない」というセリフについて聞かれた雪村氏は、「子どもの頃に、皆さんはなかなか経験することがないような経験をしたこともすごく大きいと思いますけれど、自分の道は自分で切り開いていきたいなと思っています」と話しました。監督は、「彼女が暴行されて帰宅しても、親のメンツのために殴られたり、愛してももらえなかった葉子さんは、援助交際をすることになる早田に出会った時や、夫になった雪村に出会った際に『私を守ってくれますか?』と聞いていました。葉子さんが原作を書かれた後に離婚された、雪村氏に頼らない生き方をされた、と聞いたので、この映画の中でどうしても『もう男には頼らない』という言葉を入れたいとお伝えして、入れさせていただきました。葉子さんのご希望もあって、5人の名前は実名でやるという意味での復讐でもあるけれど、もう一方で光とか希望が見えるような映画にしたいと思っていたので、彼女の決意を映画の中に入れられたのはとてもよかったと思います」と話した。

watashihazettaiyurusanai 原作の副題でもある「15歳で集団レイプされた少女が風俗嬢になり、さらに看護師を目指した理由」ですが、雪村氏は、「人間は完全にひとりで生きていくことはできませんし、人の助けがないと生きてはいかれないですけれど、最低限自立して生きていけたらいいなと思っています。子どもの時から看護師になりたいという思いがあって、集団レイプなどがあって、そういうことは考えられない時期がありましたけれど、夢を叶えることができました」と語った。監督は、「その理由が経済的な自立や決意もあるけれども、もう一方で運命に翻弄されて流れた先がこうなったんだろうなと思います。勝手な思いですけれど、雪村さんの復讐はまだ続いていると思っているから、この映画では、観客に向かって鞭を打つシーンがあります。一方で鞭を打たなくてはいられないような気持ちをお持ちなのではないかと思いました」と答えた。

 最後の挨拶で雪村氏は、「私の書かせていただいた作品が出版され、さらに映画化される機会をいただきまして、本当に驚いて、感謝しています。性被害にあった女性だけでなく、いろいろな方に観ていただいて、感じていただければ嬉しいなと思います」と、和田監督は、「本作は主観撮影と壮絶なレイプ・シーンがあり、役者さん、スタッフに通常の倍くらい苦労していただいて作りました。総理大臣の友達がレイプしてたら、被害届が出ていて、証拠もいっぱいあるのに、裁判もしないで止めてしまうことがある日本は、民主主義としておかしい。被害を受けた人間が裁判を受ける権利がない国なんてあってはいけない。MeToo運動だけでなく、性被害に遭った方が声をあげられる社会になってほしい。本作はこのような終わり方になったけれど、その後ずっと家に引きこもる方などいろいろな病理を見てきたので、『こういうことがあってはならない』『この映画を通じて少しでも広がれば』と本心から思っています」とその想いを伝えた。



(オフィシャル素材提供)



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