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インタビュー

トップページ > インタビュー > 『五日物語-3つの王国と3人の女』オフィシャル・インタビュー

『五日物語-3つの王国と3人の女』
オフィシャル・インタビュー

2016-11-22 更新

マッテオ・ガローネ監督


五日物語-3つの王国と3人の女Itsuka-monogatari
© 2015 ARCHIMEDE S.R.L. – LE PACTE SAS

マッテオ・ガローネ監督

 1968年、ローマ出身。
 1986年、芸術高校を卒業して撮影技師の助手からフルタイムの絵描きとなるが、次第に映画製作を志すようになり1996年に短編作品で賞を取り、翌年、自身の製作会社アルキメデスを起業する。
 初の映画『Terra Di Mezzo(原題)』はトリノ映画祭で2つの賞を受賞。その後、いくつかの作品で国内の映画賞を受賞した後、2002年、カンヌ国際映画祭の監督週間で上映された『剥製師』が注目を集める。
 2008年、『ゴモラ』がカンヌで審査員特別グランプリを獲得。また、ヨーロッパ映画賞5部門を受賞、シカゴ映画祭でも脚本がシルバー・ヒューゴ賞を受賞して、ゴールデン・グローブ、BAFTAとセザール賞にもノミネートされる。
 2012年、『リアリティー』が、カンヌで再び審査員特別グランプリに輝き、イタリア国内の最高賞となるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞とナストロ・ダルジェント賞も3部門ずつ獲得する。
 次回作は「ピノキオ」の実写版になる予定。



 『ゴモラ』『リアリティー』で、カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを2度受賞した鬼才監督マッテオ・ガロ-ネが、グリム兄弟にも多大な影響を与えた「ペンタメローネ[五日物語]」の物語の数々から選ばれた3つのストーリーを1つのテーマのもと結びつけ、独創的な美的感覚で映像化した『五日物語-3つの王国と3人の女』。ガローネ監督のインタビューが到着した。


原作のどういうところに惹かれたのですか?

 原作を読んでまず、バジーレが描いたストーリーやビジュアルの力強さ、登場人物たちのオリジナリティに心奪われた。バジーレは「シンデレラ」や「白雪姫」など、有名な童話の作者でもあるのに、イタリアでも世界でもあまり知られていない。これはとても残念なことだと思った。だからこの映画を撮ることに決めたんだ。
Itsuka-monogatari バジーレの童話は中世の民話が基になっているから、ダークな部分が多い。17世紀の童話は単なる子供向けではなく、大人も含むすべての人々を楽しませるために書かれたものだった。だからバジーレの童話には、ダークな内容やホラー、暴力といった要素も多く含まれている。今日の私たちの社会が暴力的であるように、その当時も社会は暴力的だったんだろうね。
 中世の童話には現代社会に通ずる部分がたくさんある。20世紀を代表するイタリア文学者のイタロ・カルヴィーノはかつてこう言っていた。「おとぎ話というものは模範を含み、普遍的で、いつだって現代的だ」と。17世紀にすでにバジーレが美容整形を予期していたこと、そして女性はいかなる手段を使ってでも若く見られたいと望む物語は、現代にも通用するということについて、我々は考えなくてはならないね。


前作『ゴモラ』『リアリティー』と今作の違いとは?

Itsuka-monogatari 『リアリティー』では、現実世界の観察からスタートして、それをより幻想的にしようと試みた。一方『ゴモラ』は本作と共通する要素もかなりあって、ダークなおとぎ話のようなものだった。子供たちを取り巻く現実や暴力、災難に陥っていく様子、悲劇的な運命を描いていった。もちろん作中で起こることは誇張されてはいるんだけど、ドキュメンタリー調に撮ることで観客がそういった細工に気づかないようにした。
 前作の2作はリアルな世界から始まって、そこに幻想的な要素が入り込んでくる作りだったけど、本作は真逆の作りになった。魔法やクリーチャーのいる謎めいたストーリーから始まって、それを現実味のあるものへと近づける構成にしたんだ。今回は外面的には演劇的だが、内面的にはとても現実的な映画を作りたかった。僕は現実をただ解釈した模倣に興味はないんだ。


自身の作風については、どのようにとらえています?

 僕は映画監督になる前は画家だったんだけど、その頃から映画を撮りたいと思っていた。僕は登場人物や物語がすぐに想像できるものは好まない。そういった自分の感性は作風として表れていると思う。それから僕は一貫して、人々の争いや、暴力、愛、執念に興味がある。おとぎ話の世界では、そういった現代的で人々の実体験に近いものが、極端な感情と共に典型的に描かれているね。


本作はギレルモ・デル・トロの『パンズ・ラビリンス』を彷彿とさせます。

 デル・トロ監督のように多くの方法や特殊効果を試したよ。でも僕はCGではないリアルな怪物をセットに入れたかった。だから海獣とのシーンにはわずかなデジタル機器しか使用してない。これはジョルジュ・メリエスへのオマージュなんだ。


俳優たちへはどのようにアプローチするのですか?

Itsuka-monogatari 僕のアプローチはいつも同じで、俳優たちに、役柄を作り出すときはクリエイティビティを大いに発揮してほしいと伝えている。そこには常にその俳優とキャラクターの融合があるんだ。この映画は年齢の異なる3人の女たちがベースになっているけど、脚本は4人の男たちによって書かれたものだった。登場人物を作り出すに当たって、女優たちにも自身の演じるキャラクターについてどう感じるか意見を聞いた。俳優に対する僕の演出方法はクリエイティブについて意見を交換することから始まっているんだ。これが僕のいつもの直観的なやり方だね。


映画へのアプローチはいかがですか?

Itsuka-monogatari 僕のアプローチは知性的というよりかは直観的だ。なぜなら役柄に寄り添って、一緒に冒険の中に生きていくやり方を用いている。『ゴモラ』では問題を外側から見ることができるよね。でも僕は問題をいつも内側から見るようにしている。つまり、ある個人がどうやって外的要因によって悪に汚染されていくかを見つめたいんだ。本作では、このやり方を完全に取り入れている。だからこの映画を通して描いた、欲望から変貌していく執念や自己破壊的な結果は、作中に共通要素として表れている。これは僕の映画で繰り返されるテーマだ。


ハリウッドで撮ってみたいですか?

 撮影している間は映画自身が、次にどうすべきかを僕に教えてくれる。だからいつだってそれに従ってきたし、心構えもしてきた。この映画の神髄は僕の中では明確だったけど、それを言葉で表現するのはまた別の話だった。僕のアプローチはアメリカ的なやり方とは全く正反対にある。アメリカ的なやり方は僕にとっては悪夢だし、また逆も然りだろうね。僕はイタリアで良い映画を作り、イタリアに資することをしたいと思っている。かつてそうであったような、最高の映画の地としてのイタリアをもう一度見たいんだ。


(オフィシャル素材提供)


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