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2016-05-02 更新
演技経験のない4人の女性たちがロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞し話題となった本作は、市民参加による「即興演技ワークショップ in Kobe」から誕生した。ほとんどの登場人物を演技未経験者がつとめ、総尺5時間17分の大作となった『ハッピーアワー』。
これまでにない試みで映画をつくりあげたのは、映画学校の生徒たちを起用した4時間を超える大作『親密さ』や、トータル7時間を超える東北記録映画三部作(『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』)など、常に挑発的な作品づくりを続けてきた濱口竜介。また蜷川幸雄作品の劇音楽を数々手がけてきた阿部海太郎の音楽も映画を彩る。
30代後半の女性たちを主人公に、4人それぞれの家庭や仕事、人間関係を丁寧に描きながら、濱口竜介は、どこにでもいる“普通”の女性たちが抱える不安や悩みを、緊張感あふれるドラマとして見事に表現してみせた。
今の私は本当になりたかった自分なのか? 本当に伝えたいことを言葉にできているのか? ゆっくりと、迷いながら発せられる彼女たちの一言一言が、観ている者にスリリングな感動を届けてくれる。ロカルノでも大きな反響を呼んだ、いまもっとも注目すべき話題作。
ストーリー30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは……。
中学生の息子がいる桜子は、多忙な夫を支えながら家庭を守る平凡な暮らしにどこか寂しさを感じていた。編集者である夫をもつ芙美もまた、真に向き合うことのできないうわべだけ良好な夫婦関係に言い知れぬ不安を覚えていた。あかりはバツイチ独身の看護師。できの悪い後輩に手を焼きながら多忙な日々を過ごし、病院で知り合った男性からアプローチを受けるも今は恋愛をする気になれずにいる。
純の現状を思わぬかたちで知った彼女たちの動揺は、いつしか自身の人生をも大きく動かすきっかけとなっていく。つかの間の慰めに4人は有馬温泉へ旅行に出かけ楽しい時を過ごすが、純の秘めた決意を3人は知る由もなかった。やがてくる長い夜に彼女たちは問いかける。
――私は本当になりたかった私なの?
(2015年、日本、上映時間:317分)
キャスト&スタッフ
監督:濱口竜介
脚本 : はたのこうぼう(濱口竜介、野原 位、高橋知由)
音楽 : 阿部海太郎
出演:田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りら ほか
製作・配給
神戸ワークショップシネマプロジェクト(NEOPA,fictive)
全国順次公開中
オフィシャルサイト
hh.fictive.jp (外部サイト)