2022-05-29 更新
阿部百衣子
PFFアワード2020で審査員特別賞を受賞した、それぞれの「死にたさ」を擦り合わせようとする少女2人のシスターフッド・ロードムービー『頭痛が痛い』<6月3日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開>の主演・阿部百衣子のオフィシャル・インタビューが届いた。
阿部百衣子
1996年2月21日生まれ。愛知県出身。
8~10歳アメリカ在住。多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科卒。
自身を救ってくれたのは映画や演劇であった経験から、同じように苦しむ人の力になりたい、自ら命を終わらせる人を一人でも減らしたい、という想いから俳優を志す。
舞台出演作に、シラカン「永遠とわとは」、U-33project「むむちゃん」など。本作で映画初出演にして初主演。
一言で言うと「優等生」だと思いました。優等生でいなきゃいけないとか、「人からこう見られる」ということで仮面を作ってしまって、そのせいで自分の首を絞めて息ができない子だと思いました。
仮面を被って優等生として表に出している行動と、言葉の裏にある自分自身の気持ち・本音との間の葛藤を表現できればと思いました。いくは、自分の中の「お手本」というようなコミュニケーションの取り方をしていて、優しさを前に置くことによって本当の自分を隠しています。映画の後半では、自分の気持ちを考えた時に、なかなか言葉が出なかったりだとか、「なんて言ったらいいんだろう」という彼女の中の戸惑いがあるんじゃないかと思いました。
私も台本を読んだ段階ではいくの全体像を掴めなかったので、誕生日や何が好きだとか細かいところを設定しようとしたんですけれど、監督に、「いくは妖精的な部分を持つ存在なので、ふわっとしていて欲しいというか、ちょっと非現実的な存在であってほしい」という話を伺いました。
演じさせていただいた当時のほうがありました。当時は、人前では明るくいなきゃいけないと思い、ちょっとアホみたいなことをする自分がいて、そのせいで家に帰ってから疲れているということがありました。疲れちゃうのはよくないな、意外と失敗しても人は引いていかないし、ちょっと弱音を吐いても意外と大丈夫なんだなと思ってからは、ちょっと緩くなりました。
鳴海といくの2人の「生きる」ということに対しての葛藤、がむしゃらに泥臭く、いっぱい失敗しながら、それでも生きていこうとする2人の姿を見ていただければと思います。
細かい感情の機微や移り変わりや人の繊細なところを描いた作品なので、劇場の大きいスクリーンでその世界にどっぷり浸っていただくような形で映画を観ていただいたほうがより感じるものがあると思います。ぜひ劇場で体感していただければと思います。
(オフィシャル素材提供)