2022-04-12 更新
嵐 莉菜、奥平大兼、川和⽥恵真監督
是枝裕和監督が率いる「分福」気鋭の新⼈監督・川和⽥恵真監督による商業映画デビュー作であり『万引き家族』×『ドライブ・マイ・カー』スタッフが⼿がけたことでも注⽬を浴びる作品『マイスモールランド』(5/6公開)。在留資格を失い、普通の⾼校⽣としての⽇常が奪われてしまった17歳の在⽇クルド⼈の主⼈公サーリャ(嵐 莉菜)が理不尽な社会と向き合いながら、⾃分の居場所を探し、成⻑していく物語を描いた本作の完成披露試写会に主演の嵐 莉菜、奥平⼤兼、川和⽥恵真監督らが登壇! 嵐 莉菜【初】主演であり、川和⽥恵真【初】監督、そして、世界三⼤映画祭の⼀つであるベルリン国際映画祭において⽇本【初】のアムネスティ国際映画賞からの《特別表彰》栄誉など<初>だらけ!のフレッシュなイベントとなった。
ViVi専属モデルとして活躍中の現役⾼校⽣でありながら、映画初出演にして⾒事初主演を務め上げた嵐 莉菜。⾃⾝も5ヵ国のルーツを持ち、ほぼ演技未経験ながら本作にはオーディションで選ばれた嵐は、最初「演技の先輩が多い現場で、⾜を引っ張ってしまうんじゃないかという不安は常にあった」と⾔う。しかし「この役を絶対演じたいという気持ち」でやり切ったと、撮影を振りかえり、続いて映画『MOTHER マザー』で新⼈賞を総なめ!続々と話題のドラマにも出演し⼤活躍、本作が映画出演2作⽬となる18歳の奥平⼤兼も「やっぱり⾃分は映画で始まった⾝というのはすごく⾃分の中で意識があったので、2年ぶりに映画に戻ってきたなというのはすごく感じていて」と感慨深く語り「だからこそすごく意気込んじゃったりとかもあったんですけど、でもやっぱりクランクイン前はすごく楽しみでしたね」と明かした。そんな2⼈の話を受けて、キャスティングの理由を明かした川和⽥監督。
嵐に関しては「莉菜さんは華やかなイメージでしたが、実際に会って『⾃分は何⼈だと思いますか?』というデリケートな質問をした時、すごく複雑な⼼境を話してくれたんです。それが、サーリャが<抱えるもの>につながっていくのを感じて、彼⼥であればこの作品を⼀緒に作っていける」そして「そのあとお芝居を観させていただいて本当に驚きというか、本当に最初から彼⼥は堂々としていましたし、全然違った表情を⾒せてくれたりしたので、彼⼥とであればこの作品をやっていける」と確信したと⾔う。
奥平に関しては「オーディションに来てくれた時に、今は結構⼤⼈になったなと思うんですけど、あの時はすごく⻑い袖の服を引っ張っているような、もうちょっと幼かった印象で。まだ⻘年になり切っていない⻘年というか、そこがいいなと思って」「このサーリャの複雑さを受け⽌める演技、聞いていく役割として、奥平さんが持っている素朴さだったり、フラットさがすごく⼤事になるな」と、それぞれのキャスティングの決め⼿を語った。
現場での嵐についても語った川和⽥監督。「すべてサーリャのシーンですし、出ずっぱりで、初めてで⼤変だったと思います、でもそれを感じさせない天真爛漫な姿でいつも堂々とカメラの前に⽴ってくれて。シリアスなシーンも多かったり、精神的につらい時もあったと思いますけど、⾃分の感じたことを伝えてくれたので、私も⾃分の思いを伝えながら2⼈でサーリャを作り上げていった感覚でした」と思い返した。
最後、嵐 莉菜【初】主演であり、川和⽥恵真【初】監督、そして、世界三⼤映画祭の⼀つであるベルリン国際映画祭において⽇本【初】のアムネスティ国際映画賞からの《特別表彰》栄誉など<初>だらけのフレッシュなキーワードが揃ったことにちなみ「初めての体験に関して教えてください」と質問された3⼈。
嵐は「私が涙を流すシーンで<カット>がかかって、監督の所へ⾏ったたら監督も号泣していたんです! ⾃分の演技を⼈が⾒て感情を動かせたというか、感動してくださったのが嬉しくて、その瞬間を⾒て、これまでやってきてよかったなと思いましたし、残りも、もっと努⼒し続けようと思いました」泣きながらお互いハグしあう、という感動の経験とともに、⼀⽣忘れない⼈⽣初体験でしたと告⽩。続いて川和⽥監督も「あの時のことは私も忘れられないですね、この⽇もためにやってきた、と思うような瞬間だった」と述べた。そして奥平は⾃⾝が出演した映画「⼀作⽬(マザー)の舞台挨拶がFS汐留なんですね。そのことを思い出してたんですけど、なぜか今⽇のほう⽅が緊張しているんですよ(笑)。2年前ですけどすごく懐かしいです」と告⽩した。
キャスティングが決まった後「サーリャのキャラクター性は嵐さんに少し寄せたり、嵐さんから出てきた⾔葉からインスピレーションをもらった台詞などもあった」とも明かした川和⽥監督。「奥平さんと話していて、奥平さんの物事を⾒るフラットさから思いついたセリフもありますし、聡太の趣味は奥平さんの趣味でもあったり、こういうことをやってみてほしいなということを想像しながら作り上げていった」と⾔う。
嵐もそれに応えるように「ふと話したワールドカップの話も『私は⽇本を応援しちゃダメなのかな』と感じたことがあった部分とかも、本編で使ってくれたので、そういうシーンは⾃分の感情を乗せながら演じられたと思う」と⾔い、奥平も「僕の好きなことを反映してくれて、あまり好きな表現ではないのですが、お芝居って⾔ってしまえば嘘になるんですけど、今回は嘘じゃなくなるというか、本当の⾃分として演じることができたので、それをさせてくれたのが監督で、すごくありがたかったですね」と述べた。
最後、これから映画を観る観客の⽅に向けて、嵐は「わたしの⼀⽣の宝物のような作品です。本当に1⼈でも多くの⽅々に観ていただきたいという気持ちでいっぱいです」と感謝を述べ、奥平は「今作のテーマに関しては僕⾃⾝初めて触れたものだったので、まずは知ることが⼤事だと思いました。だからこそこの映画はたくさんの⼈に観てもらいたい作品ですし、僕もこの映画に携われてよかったと思います」と語り、川和⽥監督は「この映画で描いていることは私たちのすぐそばで起きていることです。知らないことばかりだと思うのですが、奥平さんが⾔っていた通り、まずは知っていくこと、知っていくことが積み重なっていくことで少しずつ世界が変わっていくことを信じてこの映画を作りました。少しずつ無関⼼を関⼼に変えていきたいと思っています」と締め括った。
ベルリン国際映画祭ジェネレーション部⾨のヘッドプログラマーのセバスチャン・マルクト⽒が「世界共通のテーマである現代社会の⽭盾を、とても美しく、映画らしい構成で物語に練りこんでいる」と称え、海外メデイア「VERDICT」に掲載されたレビューには、「川和⽥監督の『マイスモールランド』はあくまでフィクションとして、彼⼥⾃⾝がダブルとして⽣きる経験から、クルド⼈全体を描くのではなく、⼀⼈の⾼校⽣であるクルド⼈に焦点をあてる。彼⼥が⽣きる⽇本社会の中で、希望や夢を持ち、⽬の前の困難に⽴ち向かう状況を描いた特別な映画である。⽇本当局の⾮⼈道的な難⺠政策を厳しく批判する⼀⽅で、17歳の少⼥が⾃分の感情や、複数のアイデンティティによってもたらされる責任と対峙する姿を感動的に描いており、注⽬されるべき作品」と既に海外からも⾼く評価されている。
(オフィシャル素材提供)
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