2022-02-19 更新
ドイツ・ベルリンで、2/10から開催されている世界三大映画祭のひとつ、第72回ベルリン国際映画祭。本映画祭の全ての部門の作品から選出される《アムネスティ国際映画賞》から『マイスモールランド』がスペシャル・メンション(特別表彰)を授与されたことが発表された。2005年から17年間続くこの映画賞から、日本作品が栄誉を受けるのは今回が初となる。
本作は、是枝裕和監督が率いる映像制作者集団「分福」の気鋭の新人監督・川和田恵真監督の商業映画デビュー作。在日クルド人の少女が、在留資格を失ったことをきっかけに“自分の居場所”に葛藤し、成長していく姿を描く。5ヵ国のマルチルーツを持ち、viviの専属モデルとしても活躍する主演の嵐 莉菜が、在日クルド人の高校生・サーリャを演じ、サーリャが心を開く少年・聡太を注目の若手俳優・奥平大兼が演じている。
2005年以降、国際人権NGO「アムネスティー・インターナショナル」は、ベルリン国際映画祭で上映された作品の中から人権問題をテーマにした作品に対して《アムネスティ国際映画賞(Amnesty International Film Award)》を授与している。2022年度は、ベルリン国際映画祭に正式招待された全部門の中から15作品が事前にノミネートされており、ベルリン現地2月17日に、本年度の《アムネスティ国際映画賞スペシャル・メンション(特別表彰)》として『マイスモールランド』を選出したことを発表。同映画賞の公式発表では、「私たちは今回の栄誉ある授与について『マイスモールランド』は、世界中で起こりうる出来事を、力強く語った映画作品だと思いました。難民への非人道的な扱いを批判しながら普遍的テーマを描いています。作品から学ぶことが多く、ぜひ多くの方に観ていただきたいと思います」と審査員らのコメントを掲載。
今回の受賞を受けて、川和田恵真監督は「世界中の人々の人権のために活動されているアムネスティーインターナショナルより『マイスモールランド』の普遍性や力強さを評価いただけたこと、大変嬉しく思います。国籍を問わずより多くの人々に、この作品が届くきっかけになることを願っています」とコメント。そして主人公・サーリャを演じた嵐 莉菜は「初めて主演を務めさせていただいた作品で、この大好きなチームで作り上げた作品を評価いただけたこと、本当に本当に光栄です! 人種や民族に関する問題は、形を変え、世界中どこでも起こっていると思います。この映画を観て何か関心を持つきっかけになってもらえたら嬉しいです」とコメント。聡太を演じた奥平大兼は「日本に住むクルド人の方々について、僕は演者としてこの映画に関わらせていただいて、初めてしっかりと考えることができました。そして映画として作品にするのはとても難しいことだと感じていました。それがこのようにベルリン映画祭の舞台で評価していただけてとても嬉しいですし、これが、より多くの方々に観ていただけるときっかけになれば良いなと思います」とコメントし、今回の表彰を喜んだ。
ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門のヘッドプログラマーのセバスチャン・マルクト氏が「世界共通のテーマである現代社会の矛盾を、とても美しく、映画らしい構成で物語に練りこんでいる」と称え、海外メデイア「VERDICT」に掲載されたレビューには、「川和田監督の『マイスモールランド』はあくまでフィクションとして、彼女自身がダブルとして生きる経験から、クルド人全体を描くのではなく、一人の高校生であるクルド人に焦点をあてる。彼女が生きる日本社会の中で、希望や夢を持ち、目の前の困難に立ち向かう状況を描いた特別な映画である。日本当局の非人道的な難民政策を厳しく批判する一方で、17歳の少女が自分の感情や、複数のアイデンティティによってもたらされる責任と対峙する姿を感動的に描いており、注目されるべき作品」と高く評価されるなど、ベルリン国際映画祭で大きな反響を得ている。
受賞ニュースと合わせて、場面写真8点が解禁となった。
映画『マイスモールランド』は、5月6日全国公開。
(オフィシャル素材提供)