2021-11-23 更新
山本一賢、キム・チャンバ、小島央大監督
普段、我々が気軽に登録している個⼈情報が知らないうちに特殊詐欺のための名簿として売買されている実態をリアルに描いたクライム・ムービー『JOINT』。名簿売買、暴力団、特殊詐欺、ベンチャー投資、外国人犯罪組織など、現在進行形の“裏社会”をドキュメント・タッチで描く新たなジャパニーズ・ノワールで、大阪アジアン映画祭、ニューヨーク・アジアン映画祭ほかで注目を集めた。この度、11月20日(土)、渋谷ユーロスペースにて初日舞台挨拶が行われ、監督・小島央大、主演・山本一賢、出演・プロデューサーのキム・チャンバが登壇した。また、本作は現役プロデューサーの観点から将来性のある新人監督を発掘する新藤兼人賞において、みごと【銀賞】を受賞した。
小島監督は、初日を迎えた心境について「3年前にこの映画を企画して、ようやくこの日を迎えられて感無量です。一緒に走り抜けたキャスト、スタッフの皆さん、特にこの山本さんとチャンバさんとは奇跡的な出会いだった。山本さんとは毎日この映画について話して、時に悩みながら一緒に突っ走ってきました。チャンバさんはずっと僕のことも映画のこともサポートしてくださった。本当にありがとうございました」と感慨深げに挨拶。
事前にざっくりとした脚本はあったものの、それぞれのキャラクターの台詞や行動などは、当日現場でみんなで話し合っていったという独特の現場。主演の山本は「自分は演技が初めてだったので、脚本がなくても『映画ってこんなものなのかな』と思っていました。そのあと、他の仕事に行った時に『あ、脚本って普通はあるんだな』と気付きましたね」と苦笑い。山本を含むキャストのほとんどが演技未経験者だったが、キムは「純粋にすごいなと思いましたね。レッスンも何も受けていない方が5、6割ぐらいいたんですけど、皆さんの演技がとてもナチュラルで。それを見て、もはや演技にレッスンはいらないのかなと思いました。小島監督は『台詞を変えるのはどうか?』という僕らの提案にも、柔軟に対応してくれてありがたかったです」と述懐。それを聞いていた小島監督は「キャストにはリハーサルでそれぞれのキャラクターになりきってもらって、僕がインタビューをしました。それに自然に答えられるようになったら、やっとキャラクターが見えてくる。そうして役を作り上げていきました」と舞台裏を明かす。
最後に、山本が「この作品は“縁”と“情熱”でできた映画。よく『映画は監督のもの』と言われますが、『JOINT』に関しては、スタッフとキャスト、チームで完成した作品だと思う」と振り返ると、一方の小島監督も「みんな勢いがあって、常にギラギラしていたためか、しょっちゅう職質に遭ってしまうんです(笑)。チーム一丸となってようやく完成した作品です」と締め括った。
そして、本作『JOINT』が、現役プロデューサーの観点から将来性のある新人監督を発掘する新藤兼人賞において、【銀賞】を受賞した。受賞結果を受けての小島監督のコメントは以下の通り。
「この度は、新藤兼人賞銀賞に選んでいただき、とても光栄です。映画『JOINT』の題名はいろいろな意味を持っており、“大麻”や“レストラン”、“刑務所”や“映画”自体までも意味します。また今回の映画で一番重要な“つながり”という意味を持っています。人と人とのつながり、人生の不思議な巡り合わせでできた映画だと改めて感じます。長い製作期間を一緒に走り抜けたスタッフとキャスト、その唯一無二のチームとの出会いに感謝しかないです。本当にありがとうございます。」(小島央大)
新藤兼人賞授賞式は12月3日(金)となる。映画『JOINT』は、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。
(オフィシャル素材提供)
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