2021-10-28 更新
普段、我々が気軽に登録している個人情報が知らないうちに特殊詐欺のための名簿として売買されている実態をリアルに描いたクライム・ムービー『JOINT』。名簿売買、暴力団、特殊詐欺、ベンチャー投資、外国人犯罪組織など、現在進行形の“裏社会”をドキュメント・タッチで描く新たなジャパニーズ・ノワールで、大阪アジアン映画祭、ニューヨーク・アジアン映画祭ほかで注目を集めた。
監督は、本作が長編監督デビューとなる新鋭・小島央大。そして主人公・石神を演じるのは、本作が俳優デビューとなる山本一賢。小島監督は、現代の東京で身近に起きている詐欺犯罪の闇を描くにあたり、徹底したリサーチを実施。また、ドキュメンタリーに近い生っぽさにこだわり、役者陣には演技経験よりも“個性”や“ルック”を重視したキャスティングを敢行。圧倒的なリアリティと、アートフィルムとしての作家性が融合した新感覚のジャパニーズ・ノワールを生み出した。
刑務所から出所して東京に戻ってきた半グレの石神武司は、以前から得意だった個人情報の「名簿」を元手に、詐欺用の名簿ビジネスを再開する。広告代理店から引き出した顧客情報や韓国人の友人・ジュンギからもらった中古スマホの個人情報を合わせて精密な名簿を作り上げ、後輩の暴力団構成員の広野に売ってビジネスを成功させた。
その後、カタギの親友・ヤスから投資を勧められ、真っ当に生きたいと望む石神はベンチャービジネスに介入し投資家へと転身を図る。資金不足の若手クリエイターに出資し、やがて事業は軌道に乗り出す。いよいよ裏社会から足を洗おうとする石神だったが、その矢先に、大手取引先から彼の過去が問題視され「石神を外すように」と条件が出されてしまう。
一方、石神の後輩・広野が所属する関東最大の暴力団・大島会は、組を破門された武闘派たちが決起した壱川組から一大抗争を仕掛けられる。かつて大島会とつながりのあった石神も壱川組から<警告>を受け、カタギかヤクザか、大島会か壱川組か、自分自身の行く先に苦悩を募らせる。
やがて抗争は激化し、国際社会で暗躍する外国人組織「リュード」もジュンギらを通して接近しはじめる。石神の周りで数多の思惑が大きく動き出す。そして、石神はとりかえしのつかない事件と対峙することになる――。曖昧で歪んだ現代社会の中、自分自身を模索する石神が辿り着く先とは?
(2020年、日本、上映時間:118分)
キャスト&スタッフ
監督:小島央大
脚本:HVMR
撮影監督:寺本慎太朗
エグゼクティブプロデューサー:キム・チャンバ
出演:山本一賢、キム・ジンチョル、キム・チャンバ、三井啓資、樋口想現、伊藤祐樹、櫻木 綾、鐘ヶ江佳太、林田隆志、宇田川かをり、平山久能、二神 光、伊藤慶徳、片岸佑太、南部映次、尚玄、渡辺万美ほか
配給
イーチタイム
11月20日(土)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
■ オフィシャル・サイト: joint-movie.com (外部サイト)
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