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『空白』初日舞台挨拶

2021-09-23 更新

古田新太、松坂桃李、田畑智子、藤原季節、伊東 蒼、寺島しのぶ、𠮷田恵輔

空白kuhaku ©2021『空白』製作委員会
配給:スターサンズ/KADOKAWA
全国絶賛公開中

 主演・古田新太、共演・松坂桃李の映画『空白』が9月23日(木・祝)より公開中。この度、映画の公開を記念し、初日舞台挨拶を実施。主人公の暴走する父・添田充を演じた古田新太と添田に追い詰められるスーパーの店長・青柳を演じた松坂桃李がイベントで初対峙! その他、添田の元妻・松本翔子役の田畑智子、添田の部下・野木龍馬役の藤原季節、本作のすべての発端となる添田の娘・花音役の伊東 蒼、ボランティア精神溢れるスーパーの店員・草加部麻子役の寺島しのぶら豪華俳優陣と先日東京国際映画祭での特集上映も決定した𠮷田恵輔監督が駆けつけた。満席の客席を前に、ひりひりするようなシーンが続く作品とは打って変わって、笑顔が耐えなかったという現場での撮影エピソードを和気あいあいと語った。


 上映終了後には拍手が沸き起こった満席の会場、その熱気のなか舞台挨拶がスタート。黒のTシャツに帽子といつものいでたちの古田新太、びしっとスーツ姿の松坂桃李、白のブラウスに黒のパンツとシックな寺島しのぶ、フリルが素敵な緑のワンピースの田畑智子、モスグリーンの上下の藤原季節、水玉のワンピースが初々しい伊東 蒼、そして黒のジャケットに白のTシャツの𠮷田恵輔監督が登壇すると、客席はさらに大きな拍手が。

 主演の添田 充を演じた古田は「本日はありがとうございます。今ご覧になったところで我々を見て皆さんがどう思われているかなと。あんまり楽しい気持ちの人はいないと思うんですけども」と挨拶、そして「面白かったですか?」の声にこたえるように、今までで一番大きな拍手が送られた。

 充に追いつめられるスーパーの店長を演じた松坂は「ありがとうございます。(観終わったばかりの観客を前に)今の我々との温度差というのがすごく出る作品だと改めて実感しています。それぞれ思うところがあると思いますが、今日は最後まで楽しんでいってください」と挨拶。

 続いてスーパーの店員草加部を演じた寺島は「ありがとうございます。映画ではキツイおばちゃんを演じていたので今日は綺麗にしてきました(笑)。心をこめてつくった作品です。たくさんの人にお勧めしていただければ幸いです」、充の元妻を演じた田畑は「朝からありがとうございます。1年半ぐらい前に撮影をして、まだかまだかとずっと思いつつ、今日この日を迎えられて、ここに立っているのがとても嬉しく感慨深いです。どうぞお友達やご家族にお薦めいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします」、充の弟子を演じた藤原は「おはようございます。朝から『空白』を観ていただきありがとうございます。短い時間ですがよろしくお願いします!」と挨拶をし、充の愛娘を演じた伊東は「来てくださりありがとうございます。演じながら、どれだけ身近な人であっても自分の言葉をきちんと伝えていくことの大切さを実感した映画だったので、皆さまにも何か届いている良いなと思います、今日はよろしくお願いいたします」、そして最後に𠮷田監督が「この回も満席ですが、挨拶のある回だけでなく地方でも満席がでているらしくて。僕の映画は“ガラガラで見やすかった”とか、“初めて貸し切りだった”とか、よくレビューで書かれていることが多くてよく傷ついているのですが、今回は違って嬉しいです(笑)」と挨拶。

 キャスティングについて聞かれた監督は「キャスティングってスケジュールが合わなくてということもありますが、今回はこういう人がイメージでと最初にお願いした方が全員集まって下さった」。撮影現場について古田は「映画をご覧になったあとの皆さんですよね。現場はすごくゲラゲラ笑ってる現場でした、ずっとへらへらしていました(笑)。監督もげらげら笑っているし誰よりも泣いているし」と語り、監督が「俺、涙もろいんだよね」とつぶやく横で、松坂も「本当に誰よりも楽しそうでした」と合いの手を。古田は「(緊急事態宣言前だったので)そしてそのあと速攻、飲みに行っちゃうんだよね。毎回飲んで楽しかったですよね」。

 主演でありとても重いシーンが多かった古田はさらに、「この前、監督とも話をしていたのですが、非常に楽で楽しい現場でした。皆さん早く帰りたい人が多くて、なるべくNGを出さないよう、滞りなく進むようにっていう。演じているシーンとか、特に桃李とのシーンとか、(田畑)智子とのシーンとか、いや全部そうか、季節とも花音とのシーンもそうなんだけど、ものすごい刺々しいシーンばっかりだったんで、その反動で終わったらすぐに飲みに行こうって感じでしたね。でも桃季は役作りする人なんであんまり仲良くしてくれなくてね(笑)」とぼやくと、松坂が「毎シーン毎シーン、古田さんとのシーンのカロリー消費量が半端なくて、とてもじゃないけど飲みに行く気力がないというか。毎回僕は“お疲れ様でした”と疲弊してしまってホテルに帰ってたのですが、なぜ監督含め皆さん、飲みに行けるのか不思議でしたよ」と苦笑しながら反論を。


kuhaku

 そんな松坂は印象的だったシーンを聞かれ「印象というか僕はずっと謝っていたという感じで」と答えると、すぐに古田から「一番辛かったのは、(寺島)しのぶちゃんとのシーンでしょう?」とつっこみが入り舞台上も客席も笑いが。松坂は「学生時代にスーパーのバイトをしていたことがあって、寺島さんは当時のパートの人と雰囲気がすごく似ていて。距離感というか間合いがとてもリアルで、バイト時代を鮮明に思い出しました、そのままのリアクションでいけるという……いや、すみません……(苦笑)」と答えると、寺島は「それは嬉しい。人間観察が好きで。今回草加部を演じるにあたり、こういうおばさんがいたら絶対嫌だろうなというのを集結させて演じました。でもスクリーンの中で生きている草加部さんはとっても必死なんです。桃李君を助けてあげたいというためにちょっと触ってみたり。すみませんね(笑)。でもホントに距離はとられていました。これがだらだらした撮影だと私も疲弊してきちゃって、本当に桃李君に嫌われちゃったんじゃないかと思うぐらい。でも𠮷田組はぱっと撮ってすぐ終ってすごく気持ちよいから、すぐに切り替えられましたね」。松坂に迫る古田と寺島の迫力について聞かれた古田は、「めちゃくちゃ楽しかったよね。ゴジラVSコングだから、その間に人間が入ってくるわけだから、そりゃ大変だよ」と。松坂は「そうですね、その日は終わったらすぐに帰りたかったですね(笑)」と答えると皆大笑い。


kuhaku

 そんな中、思い出を聞かれた田畑は「撮影の思い出……。古田さんは安心感があって居心地がよくて。何回も飲みにご一緒しました。監督とも何年かぶりでしたがこんなに飲んだことはなかったので。監督は本当に早く撮影終わるなと」と言うと、監督は「俺が飲みたいだけなんだよね」と笑いながら答えた。『さんかく』以来の田畑について「30代の時の田畑さんと、今回40代の田畑さん。昔俺が撮った時とは違う魅力があるので、その引き出しを開けたいなと思っていたので。10年後にまた会いましょう」と言うと、田畑は「10年後なんですね(笑)」と返した。

 古田とがっつり同じシーンが多かった藤原は「こんなに楽しくて良いのかと。酒を飲んでいた記憶しかない(笑)。初の撮影で現場にいったら5時間巻いてて夕日が落ちるのをまっていて。そして古田さんは花音の部屋で爆睡されていて(笑)。緊張していたけれど、田畑さんと古田さんと僕と定食屋でご版を食べているシーンで、古田さんが目の前で泣いてらして僕も心がうわっとなったんですが、カットの瞬間には、僕が残したエビフライをぱくぱく食べちゃうんですよ(笑)。“もったいないじゃん”と泣きながら食べてて。混乱してました、とても(笑)」と語り、場内から笑いが。スイッチの切り替えを聞かれた古田は「それが役者の仕事です!」ときっぱり。そして「季節はよく氷を買いに行ってくれました」と話すと藤原も「はい、氷と炭酸をよく買っていました。真面目な話をした記憶がなくて下ネタばかりというか。古田さんはおおらかな方で、帰りの新幹線でも“あのおじちゃん、本当に面白かったな”と思って(笑)。でも完成した映画を観た時にこんなにすごい人だったんだと思ってびっくりしました」。

 一番の若手の伊東について監督は「オーディション会場に入ってきた瞬間に、物語に書いている人が来た、別にこのルックスをイメージしていたわけではないんですよ、ただその説得力というか、俺はこの人を待っていたんだと思う、何か魅力を感じて。お芝居ももちろん上手いし、何か特別なものがあった」。それに対して伊東は「最初は自分に似ているところもあるかなと思って。古田さんや松坂さんと演じる時も、自分も花音と同じ状況になったらこうなるなと思えたので、現場で感じたことをそのままできたらいいなと思って演じました。古田さんとの初めてお会いしたのは食卓のシーンでドキッとしたんですが、カットがかかった瞬間、食卓に並んだお刺身を……」と語ったとたんに場内から笑いが起き、古田が「捨てるのはもったいない、食品ロスですよ!」とつっこみ、続けて伊東が「どうやって本番中にお刺身にいこうかと悩んでいらっしゃいました」と初々しく語ると、古田は「伊東さんはすごいなと思いましたよ、最初が食卓の罵倒するシーンだったけど、びくつきかたがすごくリアルで。演じた充は粗野な人なので、それもあってビール飲んだり飯食ったり、どのタイミングで飯をほおぼったら口から飛び出さないかとか思いながらやっていたんだけど、花音はすごくおどおどしている女の子だったから。この娘はすごいな、絶対に売れるんだろうなと、ゆくゆくはついていかなきゃな、と思って」とべた褒め。

 松坂も「僕も共演したシーンで腕をつかんだときのリアクションが、本当に万引きをしている子が捕まった時のようなリアクションで。僕は『警察24時』がすごく好きでよく見てるんですけど、万引きGメンとかで捕まる人と寸分たがわぬリアクションなんですよ、すごいなと」。そして古田が「ゆくゆくはついていかねば」、松坂も「ついていかねば」と掛け合いが。

 忘れられない演技について監督は、「古田さんは台本にある重要だろというセリフに限ってさらっと言う。“折り合いをつける”というセリフ、他の人ならもっとこう今重要なことをいってるよという感じになる思うけど、すごくさらっと言っていて。古田さんを信じたいなと思ってカットをかけて、後で編集してみるとこれはすごく観客に届くものがあって。自分が考えていたものはオーバーというか、あざとかったなと思ったので。そのあたりの匙加減がするどいなと思って、すごい勉強になりました」と。それを受けて古田は「僕はお芝居をする役者は嫌いなんで。なんでそんなことするんだろうって(笑)。なるべくあっさりと。くどいって思われがちですが、よくよく観てください、僕あっさりしてますんで(笑)」と笑いを誘った。

 また松坂について監督は「桃李も突然古田さんが現れたりとサプライズの多いシーンばかりで。テストで何回もやっていて、普通は回を重ねるごとに段々温度が下がっていくけど、毎回新鮮なまま芝居をしてくれて。技術力がすごいのか、単に忘れているのか分からないけど、毎回新鮮な芝居をしているのがすごいですよね」。松坂は「忘れてるんだと思います(笑)。古田さんとここまでがっつりやるのは今回が初めてで。前回はクマとお父さんの関係で声の仕事だったので、今回は嬉しかったです。実際にお芝居をしていると本当につらい気持ちになってくるんですよね、今回の関係性的に言うと。そういう芝居を共有するのは本当に楽しかった。今度は違う関係性で、もっと仲の良い関係性で次はご一緒したいなと思います」と語った。

 寺島について監督は「寺島さんは大女優と思っていて。委縮してしまっていたけどお会いしたら“もっと気さくに話しかけて”と言っていただいたんですけど、なんとういうか勝手に圧を感じていまして。この圧が、これで俺の草加部麻子は完成すると思えて。もしかすると役作りで圧をかけてくれていたのかなと思います」と語ると、寺島は「そんなそんな、風評被害なんですよね(笑)。人がやりたがらない役をやりたくて、知らず知らずにイメージがついちゃって。圧がかかっていてもいいなと思うようになりました。でも違うんだということを監督がぜひ広めて下さい」と語ると監督も「頑張ります」と笑いながら答えていた。

 口コミがよいと聞いた古田は「ありがたいです。みんなで話してるときも、どうやって宣伝したらいいか分からんと。こんなもやもやする気持ちになる映画をぜひ観にきて下さいって言いにくいよなと、でも先ほど映画が終わった時に皆さんが拍手してくれて。観終わった後に、あんな人いるよなとか、しのぶちゃんの役いやだったよねとか、みんなで話せる映画だと思うんで。こういうご時世なので難しいけれど、気持ちが揺らぐ映画なのでマスクをしておしゃべりしてほしいです」と語った。

 最後の挨拶では、監督は「たくさんの人が観て下さると僕の映画監督としての寿命が延びます。口コミでぜひ広めてもらえると嬉しいです、皆さんのお力よろしくお願いします」、松坂は「古田さんも話をされていましたが、“ああ、いるいる”と思える人ばかりだと思います。世代や性別によってそれぞれ共感するポイントは違うと思います、僕自身は奥の方まで刺さって、観終わった後にずんと重くなるなというのがあったんですけど、皆さんにもそういったひっかかりやもやみたいなものがあったら、まだ観ていない方やご覧になったかと話をしてそれを昇華してほしいなと思っています。一人でも多くの方にご覧いただきたいです。ここから先は皆さんのお力をお借りしたいです、よろしくお願いいたします!」、そして、古田が「今日ご覧いただいた皆様の感想も聞きたいです。ぜひSNSとかで広めてもらえると嬉しいです。ありがとうございました」と最後に締めて、映画の雰囲気とは真逆に仲の良さが伝わる舞台挨拶となった。



(オフィシャル素材提供)



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