2021-07-09 更新
遠藤雄弥、津田寛治、アルチュール・アラリ監督ほか
実在の人物である小野田寛郎(おのだ ひろお)旧陸軍少尉が、太平洋戦争の終わりを迎えた後も任務解除の命令を受けられないまま、フィリピン・ルバング島にて約30年間の孤独な日々を過ごした実話を元に描かれた長編映画『ONODA(原題)』が第74回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニング作品に選ばれ、現地時間7/8(木)に公式記者会見が行われた。今回、新型コロナウイルスの感染症対策のため、スケジュールが調整できずにカンヌ入り叶わなかった遠藤雄弥と津田寛治は、カンヌ国際映画祭での特例として(2018年のジャン=リュック・ゴダール以来、カンヌ国際映画祭としては2度目)、日本人としては初めてのリモートでの記者会見への参加となった。
日本人キャストは全てオーディションによる選考、カンボジアのジャングルで2018年12月から翌年2019年3月まで約4ヵ月の過酷な撮影状況を強いたアルチュール・アラリ監督が制作当時を回想すると、日本からどうしてもお伝えしたいことがある、と言って、日仏の映画の撮影現場の違いを津田は熱く語った。「日本の映画界では、撮影が始まる前に資金が調達できずに撮影までいかない企画もあり、撮影が始まったとしても途中でお金がなくなって完成できないというような映画がたくさんあります。私がこの映画に参加した時に驚いたことは、フランスの映画の制作の現場が日本と大きく違うところは撮影の環境です。この作品の現場ではケータリングが出て、スタッフもキャストも同じ暖かい食事を一緒に食べるんです。なんと、彼らは撮影中も週休2日制なんです! そして、撮影現場に自分たちの子どもや家族も連れてくるんです。最後には、彼らは2週間ごとに家族を交えて撮影現場でパーティ(みたいなもの)をしているんですよ。楽しいじゃないですか(笑)。日本もそういう映画の制作現場が増えたらいいなと思います」と津田のユーモアを交えた意見には、会場のメディアからは思わず拍手も起こった。
今回のリモートでの記者会見参加について、津田は「カンヌに来られたんだなと思えて、幸せな気持ち」と述べ、「画面越しですがスタッフに会えてうれしい」と遠藤は大喜び。1人の記者からは「特に津田さんは、自在した小野田さんに容姿がそっくり」と賞賛され、各人の役創りについて質問されると、遠藤は「11キロ痩せて現場に行ったら、監督に痩せ過ぎと言われて。ピーナツバターや食パンを毎日食べて体型を調整した」ことを振り返り、津田は実際に小野田さんの帰還を5歳の時に見ていたようで、「母から、戦争が終わったことを知らずにジャングルにいた人と言われた。本当にビックリした。でも、今作で資料などを読み、あの高度経済成長期時代に大和魂を持って帰ってきたと知って感動した。だから誇りをなくさないように小野田さんを演じました」と熱弁、約1年かけて13キロの減量をして撮影に挑んでいたことを回顧した。
アラリ監督はフランス出身であり、なぜフランス人が小野田さんをテーマに日本人キャストで本作を手がけるようになったか、という製作理由を「彼(小野田さん)の揺るぎない信念に私は引き寄せられた」と述べた。
(オフィシャル素材提供)
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