2022-05-10 更新
阿部 寛、瀬々敬久監督
大ヒット公開中の映画『とんび』の公開御礼ティーチイン舞台挨拶が都内で行われ、主演の阿部 寛と瀬々敬久監督が登壇した。
イオンシネマ シアタス調布で行われたイベントでは、上映後に阿部 寛と瀬々敬久監督が登場すると会場から暖かい拍手が沸き起こった。冒頭の挨拶では、阿部「皆さん今日はよくおいで下さいました。この映画は本当に出演できてよかったと思える素晴らしい映画です。普段あまりティーチインイベントをやることはないのですが、今日はよろしくお願いします」、瀬々監督は「調布と言えば映画の街で、撮影所もたくさんあるのでよく仕事でも来ています。今日はそんな調布で皆さんとお会いできて嬉しく思っております」と会場の観客へ感謝を述べた。阿部も調布には撮影でよく訪れるといい、映画と深い繋がりのある場所でのイベントに感慨深い様子であった。まず公開から約1ヵ月が経った今でも感動の声が多く寄せられていることについて、阿部は「非常にいい反響を頂いています。本当に観て感動したという声が多く、僕自身もそれを聞いて心から嬉しく思っています」、監督は「公開後に日比谷の映画館に観に行ったんですが、男性がよく泣いています(笑)。先日知り合いが観に行ったら、女子高生が隣のおじさんが泣きすぎてうるさかったと言っていたという話を聞きました(笑)。ありがとうございます!」と父と子の物語だけに多くの男性客に刺さっていることを実感していた。また本日が母の日であることにちなみ、母の日の思い出について聞かれると、阿部は「カーネーションくらいしかあげた記憶がないんですけど(笑)。父は寡黙な人だったのですが、母は教育熱心で何かあると相談していたなという思い出があります」と自身の母親とのエピソードを明かした。
ここで会場の観客とのティーチインを実施。最初に女性客から「映画の中で歌ってた曲で気に入ってるものや監督からの演出などはありましたか?」という質問に、阿部は「フィンガー5さんの『恋のダイヤル6700』は時代を代表する曲で印象的でしたが、本番で歌う・歌わないの2テイク撮ったんですけどちゃんと使われていて嬉しかったです。あとは酒場で『十九の春』を歌うシーンも好きでした。人を励ますシーンで歌うのに、歌詞の内容が合っているのか撮影中は全員疑問に思っていたんですけど、皆で合唱したときに皆で励まし合う輪ができたのは、監督の狙いだったのか映画の中でも一番感動しました」と現場でのエピソードを明かした。また選曲の意図を聞かれた監督も「フィンガー5は阿部さんが勝手に歌ったんですけど(笑)、フィンガー5は沖縄県出身で、『十九の春』も沖縄民謡で、本作が沖縄返還された辺りの時代設定ゆえに、時代を表している2つの歌を使用することにこだわりました。『ダイナマイトが百十五屯』は昔東京に上京した時に先輩がよく歌っていたんです(笑)」と選曲に隠された裏話を明かした。
続いて女の子から「撮影するときは緊張しますか?」と聞かれると、阿部「初日は緊張することが多いです。でも緊張はするけどいい緊張感を常に持ちながら楽しくやっています」と役者としての緊張との向き合い方を明かし、瀬々は「僕はあまり緊張しないですけど、役者がいい芝居ができますようにと祈ってます」と監督ならではの撮影時の心持を語った。
続いて「夕なぎ(小料理屋)での安田 顕さんのテンション高いシーンや、阿部さんがお酒を吹いちゃうシーンでの心境や監督の演出を教えてください」という質問には、阿部は「現場に入らないと分からないことが多いんですが、安田君の最初の殴りがものすごく痛くて、目が覚めるようないい本気を感じて最後までテンションを持って行けたので感謝しています。お酒を吹いたシーンはコロナもあったので、強いお酒なら吹いても何とかなるかなと思って自分で強いお酒を持ち込んでやってました」と驚きの舞台裏を明かすと、これには監督も「阿部さんの吹いたシーンは凄かったです(笑)」と阿部の役者魂に感服していた。
さらに男の子からの「一番心に残っている場面はどこですか?」という質問には、阿部は「息子のアキラとお風呂に入るシーンで、一回潜るんでテルマエ・ロマエと同じにならないようにと思って望んでいました(笑)」と語り会場を沸かせた。さらに劇中でアキラが風邪を引いた時にヤスが桃の缶詰を買ってきて食べさせるシーンが好きだったという男の子に、阿部から「風邪をひいた時にお母さんは何か出してくれる?」と逆質問する場面も。劇中と同じようにフルーツだという回答に阿部は「やっぱりそうですよね」と時代が経っても変わらない親子間のやり取りに納得している様子だった。
続いて「映画の中でお酒飲むシーンがありましたが、阿部さんは普段はお酒飲んでますか?」という質問に、阿部は「家で自分がCMに出ているお酒飲んでます。昨日も飲んでました(笑)」と茶目っ気たっぷりに語り会場は温かい笑いに包まれた。
最後に「撮影中に一番大変だったできごとは何ですか?」と聞かれると、瀬々「ラストの淡路島での海のシーンで、撮影時はものすごく海が荒れて風も強く大変でした。でも結果として風で海が光って、とてもいい画が撮れたと思っています」というラスト・シーンの撮影秘話を明かし、阿部は「基本的に全部楽しかったんですけど、広島弁のニュアンスを間違わないように意識してやっていました。また子ども時代のアキラを演じる子役の子の緊張をほぐしてあげられるようにいろいろ意識しましたけど、そこも含めて楽しくできました。瀬戸内海は穏やかで気候も良かったので、自然と街の人の温かさに包まれながら本当に楽しく撮影できました」と撮影時の思い出を振り返った。
最後の挨拶では、瀬々監督は涙ぐみながら「この映画は人と人の繋がりを描いていますが、今日も映画を観た皆さんと時間を共有できて非常に嬉しいです」と感謝を述べ、阿部は「この映画をやれて良かったなと思っています。この映画に出演を決める時に瀬々監督ならと言わせていただいて、瀬々さんはこういう作品を撮られたことってあまりないと思うので監督にとっても特別な作品になったのであれば幸せに思います。現場は瀬々さんを親父のようにキャスト、スタッフ一丸となって作っていました。今日は小さいお子さんもいらっしゃって、こうやって僕みたいな人間が前でしゃべっていることが一生の思い出になってくれたら嬉しいなとも思います。今日は皆さんに映画を観ていただけたこと嬉しく思っています。まだまだこの映画には力がありますので、応援してくれたら嬉しいです」と感謝を述べイベントを締めくくった。
(オフィシャル素材提供)
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