2021-05-14 更新
柳楽優弥、田中 泯、紫舟
映画『HOKUSAI』の公開記念!<大波トークイベント>が葛飾北斎生誕の地・東京・墨田区にある江戸東京博物館で行われ、葛飾北斎の青年期役演じた柳楽優弥と葛飾北斎の老年期役を演じた田中 泯が出席して作品について語った。当日は、ゲストとして書家の紫舟が登壇しパフォーマンスを披露した。
本作は、幕府によって表現者たちが自由を奪われていた江戸時代に、90年の生涯で3万点以上の作品を描いた浮世絵師・葛飾北斎の信念と謎多き人生が描かれる。歴史的資料から残された事実を繋ぎ合わせて生まれたオリジナル・ストーリー。柳楽優弥と田中泯がW主演で若き日と老年期の北斎を体現する。
柳楽は「『HOKSUAI』という映画が持つ力強さだったり、葛飾北斎の生き方だったり、北斎自身のエネルギーが伝わったらいいなと思います」と作品をアピール。
田中は撮影時を振り返り、「2年前の撮影の日々を思い出します。全力以上の時間を過ごしてきました」と語った。
イベント前に江戸東京博物館所蔵の「あの波」(冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏)を含む貴重な北斎作品を鑑賞したという2人。
柳楽は「圧倒されました。本物を見てパワーをもらいました」と興奮気味に話す。田中も「本物が見られて、ラッキーだな……。いろいろな人物が描かれているのですが、克明に描かれていて、感動した」と語った。
北斎という人物について、柳楽は「70歳になっても満足していないというモチベーションで絵に向き合っていた姿がかっこいいと絵を見て感じました」と話す。
田中は「僕は踊りにしがみついていますが、北斎の果てしないものに立ち向かっていく姿は想像を絶します……。本当にすごい力だと思います。驚異的ですね」と北斎の生き様を称賛した。
イベントには書家の紫舟も登壇。作品を観賞した感想を聞かれると、「観た後に製作意欲が湧いてきて、大きな書を70枚くらい書き上げました。普段より質も良いものが書けました。生きる力をたくさん貰えました」とコメント。また、柳楽の北斎ぶりについて「筆の所作がものすごく美しいんです。プロになると、呼吸と筆が合ってくるのですが、呼吸をしながら手にしっかりと目がついているような美しい筆の所作だと思い、見とれてしまいました」と絶賛。また、田中についても「視覚でとらえることができない“風”をとらえた時の北斎の狂気に満ちたような笑顔が、ずっと夜中に出てきます。熟練された表情だと思いました」と大絶賛した。
紫舟は北斎をイメージした作品のライブ・パフォーマンスを披露し、圧巻の仕上がりで会場を魅了した。
最後に柳楽は「北斎からは強い生命力だったり、生き抜くという気持ちを感じました。それは、今という時代に必要だと思います。多くの方の背中を押すような作品になっていますので、ぜひご覧になってください」。
田中は「生き抜く強さは人によって差があるとは思いません。みんな同じように力をもっていると思います。うまく発揮できるか出来ないか、私たちは考えて行かなくては……。北斎にすごい力があるとすれば、キャッチし、感じ、心の中で叫ぶ。それが全身に及んでいた。この強さは、間違いなく誰にでもあると僕は思います」とメッセージを送った。
他の共演者として、北斎を見出す版元の蔦屋重三郎役に阿部 寛、晩年の北斎に最も影響を与える戯作者の柳亭種彦役に永山瑛太、美人画の大家・喜多川歌麿役を玉木 宏が演じている。
(取材・文・写真:福住佐知子)
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