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2019-01-26 更新
西原孝至監督
西原孝至監督
1983年9月3日、富山県生まれ。早稲田大学で映像制作を学ぶ。
14年に発表した『Starting Over』は東京国際映画祭をはじめ、国内外10ヵ所以上の映画祭に正式招待され高い評価を得る。
近年はドキュメンタリー作品を続けて制作。16年に学生団体「SEALDs」の活動を追った『わたしの自由について』がカナダ・HotDocsに正式出品、毎日映画コンクール ドキュメンタリー部門にノミネート。
17年に、目と耳の両方に障害のある「盲ろう者」の日常を追った『もうろうをいきる』を発表。
ドキュメンタリー映画では、2016年に学生団体「SEALDs」の活動を追った『わたしの自由について』が北米最大のドキュメンタリー映画祭・HotDocsに正式出品、毎日映画コンクール ドキュメンタリー部門にノミネートされ、2017年に、目と耳の両方に障害のある「盲ろう者」の日常を追った『もうろうをいきる』を発表し、実写映画では、『Starting Over』(14)が東京国際映画祭をはじめ、国内外10以上の映画祭に正式招待され高い評価を得た西原孝至監督が、初めてドキュメンタリーと劇映画が混在した実験的なモノクロ映画『シスターフッド』を制作。この度、西原監督のオフィシャル・インタビューが到着した。
元々は、東京という都市に興味があり、2015年に自主制作で撮影を始めました。世界でも有数の大都市である一方、いま、特に若い人たちにとって非常に生きづらい街なのではないかという思いが漠然とあり、様々な境遇の下、東京で暮らす女性たちの生活をポートレートのように記録することを始めました。同時に、撮影を重ねる中で2017年に起きた#MeToo運動を日本でも目の当たりにし、出演者とディスカッションを重ねながら、劇映画の設定を演じてもらっています。最終的には、4年間かけて撮りためた「ドキュメンタリー」と2018年に撮影した「劇映画」が混在している映画となりました。
兎丸愛美さんとBOMIさんは、本作の構想を考えていた時に、SNSで見つけました。とても、それぞれの活動に興味が湧いたからです。BOMIさんのライブに足を運んだり、兎丸さんとは企画書を送った上で喫茶店でお話をする中で、私のやりたいことやお二人の興味のあることなどを率直に話し合いました。その中で、とても人間としても信頼の出来る方だと感じたので、ぜひ撮影をお願いしたいと改めてご相談し、了承を頂きました。お二人は、変わった撮影の依頼が来たなと思ったのではないでしょうか。
普段カメラを向けられていることもあるのかもしれませんが、とても堂々としている印象を受けました。映画の中では、兎丸さんに脚本をお渡しして台詞を言ってもらっている場面と、シチュエーションだけを決めて、自由に話してもらっている場面があります。私自身が普段はドキュメンタリーの制作を中心にしているので、そこで培った手法を試したい気持ちもありご相談しました。
お二人には、前作でご一緒させてもらった関係性がすでにあったので、再びお願いをしました。韓国のホン・サンス監督の作品では、同じ俳優が別の映画でも役を変えてよく登場します。「ホン・サンス劇団」と言われたりもしています。日本でも、是枝裕和監督が樹木希林さんと近作でタッグを組み続けてこられたように、信頼関係から生まれるものがあることは、私がこれまでのドキュメンタリーの制作体験から学んだことです。私もそのような俳優との関係性に憧れますし、秋月さんと遠藤さんとは、これからも別の作品でもぜひご一緒できればと思っています。
近年携わってきたドキュメンタリー作品で、その2つの被写体を撮らせてもらうことが多くありました。それぞれ別の作品として既に完成しているのですが、その作品内には収まりきらなかった、しかし胸に残る「言葉」が、ドキュメンタリーを制作していると私の中にどんどん蓄積されていきます。その「言葉」たちを今回の映画の中で描くことが出来ないかと思い、学生とモデルを登場させました。具体的には、プロットや台詞の端々に反映をさせています。
戸塚さんにも、前作の『Starting Over』に出演を頂いています。まだ20代なのですが、独特の力の抜けた存在感があり、とても好きな俳優のひとりです。個人的な話になりますが、彼の出身がどこで、住んでいる家も知っている(いまはもう引越しをされたみたいですが)、そういう関係性を持った俳優と仕事を共にすることで生まれてくる何かがあると信じているので、今回も出演をご相談しました。
遠藤さんがカフェで友人と話すシーンで出演してもらったのですが、設定だけを決めて自由に話してもらいたかったので、実際のご友人を紹介してもらえないかとご相談したところ、SUMIREさんの名前が挙がりました。普段からプライベートで良く遊んでいる親友だそうで、その関係性を映画の中でも使わせてもらった形です。
ドキュメンタリーと劇映画が混在している映画なので、ともすればストーリーが破綻しかねないと考えていました。ひとり、映画を貫く存在として登場させたいと思い、池田の存在を思いつきました。岩瀬さんの『ひと夏のファンタジア』という主演作が大好きで、以前からぜひご一緒してみたいと思っていたので、今回はこのような小さな制作体制でしたが、本当にラッキーでした。
すべての映画監督は、自分の経験を投影する部分と、創作の部分を交錯させて映画をつくっているのではないかと想像しています。ご指摘の部分はまさにそうで、私自身の経験を反映されている部分もあれば、そうではない部分もあります。池田に同調するところもあれば、全く違う考えのところもありますし、そういう人間の複雑さを描ければと思っていました。
社会から「こうしなければいけない」という圧力を感じることは、誰しもあるのではと思います。でも、いろんな生き方があっていいと思うし、この映画ではそのことをまず肯定したかったです。自分の幸せに悩んでいる人に、届けばいいなと思っています。ぜひ劇場でご覧ください。
(オフィシャル素材提供)
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