2018-11-27 更新
2017年文學界新人賞を受賞、同年第157回芥川賞を受賞した沼田真佑「影裏」(文藝春秋)。高い技巧と繊細で美しい文章の交差で文壇を驚愕させ、人間の心の裏側や、現代社会における繊細なテーマを描いた純文学の傑作である本作の映画化が決定、2020年に公開される運びとなった。
監督は、NHK時代に「ハゲタカ」(2007)、「白洲次郎」(2009)、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(2010)と、数多くの人間ドラマを手掛け、フリー転身後は『るろうに剣心』シリーズ、『ミュージアム』(2016)、『3月のライオン』(2017)など、エンターテイメント作品で日本映画界を牽引する大友啓史監督。多様な作品を次々に送り出し続けている監督が、再び濃密な人間ドラマという自らの原点へと回帰し、自身が生まれ育った岩手県を舞台にしたヒューマンミステリーに挑む。
主演は、映画やドラマ、舞台と幅広く活躍する人気俳優でありながら、第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞・第15回ニューヨーク・アジア映画祭ライジングスター賞受賞など実力を兼ね備える綾野 剛。そして、共演には『御法度』(1999)での鮮烈なデビュー以降、映画やドラマで唯一無二の存在感を残し続け、映画『舟を編む』にて、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞他、同年映画祭の最優秀主演男優賞を総なめにし、また、近年はドラマ「カルテット」「眩」、現在放送中の「獣になれない私たち」等、テレビドラマでも数々の話題作への出演が立て続く松田龍平。綾野と松田は、本作が初共演!その化学反応が期待される。
今野(綾野)は、会社の転勤で移り住んだ岩手で同僚の日浅(松田)と出会う。慣れない地でただ一人、日浅に心を許していく今野。二人で酒を酌み交わし、二人で釣りをする、まるで遅れてやってきたかのような成熟した青春の日々に、今野は言いようのない心地よさを感じていた。しかし、日浅は突然、今野に一言も告げずに会社を辞めてしまう。しばらくして再会をするものの、一度生まれた距離は埋まらず、ふたりは会わないまま時が過ぎていく。そんな中、実は日浅が行方不明になっていることを耳にする今野。日浅を探そうとその足跡を辿るうちに、彼の周囲の人々の話から、今野は日浅の数々の影の顔、裏の顔を知ってしまう……。日の光の下、ともに時を過ごしたあの男の〝本当“はどこにあるのか――。
撮影は今年7月・8月に原作の舞台でもある岩手県にてオールロケで行われた。猛暑の中、綾野・松田と監督、そしてスタッフが一丸となり、繊細かつドラマティックな数々のシーンを撮影。撮影が進む中、台本にも日々改良が加えられ、「監督とスタッフと心の壁を探す日々だった」と綾野が語るような厳しくも充実した撮影を経て、日本映画界を牽引する監督と俳優たちが熱き志を持ち、純文学の最高峰である芥川賞小説に真っ向から挑んだ本作の完成が今から期待される。
○ 綾野 剛 コメント
これほど愛おしく苦しく刹那な人を生きたことがありません。私の中で静かに生きていた感情を、今野秋一は呼び覚ましてくれました。そして日浅は、今野の中で生きる微かな影裏を見つけてくれた。そして照らしてくれた。私はあなたを忘れません。
影裏で生きる全ての人々に出会えたこと、大友監督の眼差し、各部署の愛、松田龍平さんが日浅であったからこそ、私は私で居られた。心から感謝します。
○ 松田龍平 コメント
大友組のもと、『影裏』で日浅を演じました。表があればもちろん裏もあって。大抵の人は裏は見せないもので。人によっては裏表なんてものは大して差がないのかもしれませんが。
まだワンシーンだけ撮影が残っていて、終わってないのですが、どんな映画になるのか、とても楽しみです。
○ 大友啓史監督 コメント
原作を読んだ時、静かな文章と行間に宿る巨大なエモーションを感じ、すぐに映像化したいと思いました。震災以前、震災以降。変わらないものと変わりゆくもの。東京オリンピックの熱狂と喧騒に追いやられる前に、寡黙な東北人の身体の奥底に潜む感情に、真正面から触れておきたい。熱烈に「撮りたかった」二人の俳優、綾野 剛、松田龍平両氏との地元・盛岡での濃密な撮影は、まるで東北の短い夏のお祭りのように、強烈に脳裏に沁みついています。良い作品に仕上げたいと思います。
(オフィシャル素材提供)
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