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2017-07-02 更新
藤 竜也、神野三鈴
配給:キノフィルムズ/木下グループ
新宿バルト9、梅田ブルク7ほか 全国公開中
© 2017“RADIANCE” FILM PARTNERS/KINOSHITA、COMME DES CINEMAS、KUMIE
6/30(金)に、第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品、河瀨直美監督作『光』の映画内映画『その砂の行方』の公開記念トークイベントがシアター・イメージフォーラムにて行われ、主演&監督役の藤 竜也と女優の神野三鈴が登壇、この短編作を見るために再び来場した観客もいる中、映画『光』のメッセージと撮影秘話について語り、客席は新しい解釈に関した様子だった。
本作は視力を失いゆくカメラマン・雅哉(まさや)と、単調な日々を送っていた美佐子(みさこ)が、ある仕事をきっかけに出会い、最初は反発するものの次第に惹かれ合う、河瀨(かわせ)監督が挑む珠玉のラブストーリー。美佐子は、雅哉の目がやがて見えなくなる事を知りながらも、彼の心を見つめようとする切なくも希望を感じさせてくれる物語。
MC: 本作は『光』の映画内映画で重要な役割を担っています。そのことから、上映を心待ちにする人々が続出し、ついに公開が実現した記念すべき作品です。皆さんに初めてご覧いただいたことになりますが、率直な感想をお聞かせください。
藤 竜也: 今日はありがとうございました。僕もこの映画内映画がこういう形で、上映されることは全然知りませんで、カンヌ映画祭の時に初めて監督から聞いて大変嬉しく、びっくりしました。そして下手なことができないと緊張しました。
神野三鈴: ようこそお越しくださいました。16分の短編のためにもう一度劇場に来てくれた人もいると思います。心からお礼申し上げます。
MC: 河瀨監督が公開を発表され、びっくりされたと伺いましたが、この短編を観たいという声は多く上がっていました。お二人の周りの方からも反応があったのでは?
藤 竜也: いいえ、全然(笑)。
神野三鈴: 届いていました(笑)! 気になると言われてました。
藤 竜也: 壮大なシノプシスがあって、この男と女の若い時から今に至るまでの長いヒストリーが書かれていた。だから本当は長編で撮りたかった(笑)。
神野三鈴: でもシノプシスだけだったので、全編アドリブでお話を進めていた。ここにはないシーンもあって、もっと2人の過去や藤さん演じる重三の背負ってるものが描かれてはないけど演じなくてはならなかった。全部アドリブだったので、タンゴを踊るように藤さんにリードを任せて、何をやっても藤さんが応えてくださるので、すごく幸せな時間でした。
藤 竜也: シノプシスも本当によくできていて。すごく重い過去を背負ってる2人で、そのシノプシスを核にして自由に演じられた。それしかないので、そういった緊張感がありました。
MC: そんなバックグラウンドがあったんですね。
神野三鈴: でも観てる方に自分の経験と重ね合わせたり、自由に想像してほしいと思います。
藤 竜也: 10日くらいの重量感でした。
神野三鈴: リハーサルもなく、監督のストップがかかるまでひたすら踊り続けた2人という感じで、実際その中で生きていたので、記憶にはあまり残っていないのよ(笑)。
MC: 2人の砂丘でのもつれ合いが印象的でしたが……。
藤 竜也: 浜松に砂丘があって、2人で砂丘に座らせられて、河瀨監督に「さあ、どうぞ」と言われただけ。台本には「2人が求め合う」と書いてあっただけ。河瀨監督は全然カットかけない。他のシーンでも家から出て、駅に行って、電車を見送って、佇むまでワンカット。だから、どこまで行っていいのか?と心配になった。僕は『愛のコリーダ』の経験があるので、黙ってればどこまででも行ってしまうので、ストップかけてもらわないと困ると言った(笑)。そしたら、監督が「砂があるので……」と言うので、あんまり行っちゃいけないんだな、と悟りました。
神野三鈴: くるな。と思って、まずはキスか、と思ったらもう一つアクションがあって、それで頭が吹っ飛んだんです(笑)。役者の感が全然通じないアクションで、びっくりしました。
MC: そのアクションって聞かせていただけるものですか?
神野三鈴: 秘密(笑)。でもそれを永瀬さんに話したら、「俺はまだまだだなー」っておっしゃってました(笑)。
藤 竜也: 河瀬さんは独特の演出をするので、この世界から抜け出せなくなった。永瀬くんはもっと大変だったと思う。他の仕事なんてしばらく出来ないだろうと思うよ。
神野三鈴: :初めて撮影場の家に連れてってもらった時に、監督の小宇宙に連れてかれたみたい。2日が幸せすぎて、クランクアップの日に「嫌だー!」と叫んでしまった。そしたら、撮影が終わって帰る途中の新幹線で監督から連絡があって、本編にも出てって言われて、飛び上がっちゃいました。
MC: 『光』と『その砂の行方』の共通点は?
藤 竜也: 河瀨監督の作品は感じるしかない。妙に魂を揺すぶられるような力が作品にある。『光』はそういう映画です。『その砂の行方』も、この2人は逃れ難い過去の事柄に、暗闇の中で魂が何十年もいたような先に光が見えているような作品だから、どちらも「光ってなんだろう」って思わせる作品だと思う。映画は100人いたら、100通りの解釈があるから、好きに感じてほしい。
神野三鈴: :誰かの人生を分かち合えるのが映画だとしたら、その映画の魔法を十分に感じてくれる作品だと思います。観終わった後に何かを感じてくれたら嬉しいなと思います。その光が種になっていたら本当に幸せです。
(オフィシャル素材提供)
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