2020-09-12 更新
イタリア・リド島にて9月2日(水)から開催されていた第77回ヴェネチア国際映画祭が、本日9月12日(土)に閉幕し、コンペティション部門およびオリゾンティ部門の各賞が発表された。
コンペティション部門にエントリーしていた黒沢 清監督の『スパイの妻』は、最優秀監督賞(銀獅子賞)を受賞した。
コンペティション部門
NOMADLAND
■アメリカ、108分
■監督:クロエ・ジャオ
■出演:フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン、リンダ・メイ、スワンキーほか
© La Biennale di Venezia – Foto ASAC
NUEVO ORDEN
■メキシコ=フランス、88分
■監督:ミシェル・フランコ
■出演:ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド、ディエゴ・ボニータ、モニカ・デル・カルメン、フェルナンド・クアウトゥレほか
© La Biennale di Venezia – Foto ASAC
スパイの妻
■日本、115分
■監督:黒沢 清
■出演:蒼井 優、高橋一生、坂東龍汰、東出昌大ほか
© 2020 NHK, NEP, Incline, C&I 配給:ビターズ・エンド
ヴァネッサ・カービー(PIECES OF A WOMAN)
© La Biennale di Venezia – Foto ASAC
ピエールフランチェスコ・ファヴィーノ(PADRENOSTRO)
© La Biennale di Venezia – Foto ASAC
チャイタニヤ・タームハネー(THE DISCIPLE)
© La Biennale di Venezia – Foto ASAC
DOROGIE TOVARISCHI! (DEAR COMRADES!)
■ロシア、116分
■監督:アンドレイ・コンチャロフスキー
■出演:ユリア・ヴィゾツカヤ、ヴラディスラヴ・コマロフ、アンドレイ・グセフ、ユリア・ブロヴァほか
© La Biennale di Venezia – Foto ASAC
Rouhollah Zamani(KHORSHID - SUN CHILDREN)
© La Biennale di Venezia – Foto ASAC
オリゾンティ部門
DASHTE KHAMOUSH (THE WASTELAND)
■イラン
■監督:アフマッド・バーラミ
LAHI, HAYOP (GENUS PAN)
■フィリピン
■監督:ラヴ・ディアス
LISTEN
■イギリス=ポルトガル
■監督:アナ・ロシェ・デ・ソウザ
カンサ・バトマ(ZANKA CONTACT、フランス=モロッコ=ベルギー)
Yahya Mahayni(THE MAN WHO SOLD HIS SKIN、チュニジア=フランス=ドイツ=ベルギー=スウェーデン)
I PREDATORI
■イタリア
■脚本:ピエトロ・カステリット
ENTRE TÚ Y MILAGROS
■コロンビア=アメリカ
■監督:マリアンナ・サフォン
THE SHIFT
■イギリス=ポルトガル
■監督:ラウラ・カレイラ
LISTEN
■イギリス=ポルトガル
■監督:アナ・ロシェ・デ・ソウザ
ヴェニス・ヴァーチャル・リアリティ部門
THE HANGMAN AT HOME – AN IMMERSIVE SINGLE USER EXPERIENCE
■デンマーク=フランス=カナダ
■監督:ミシェル&ウリ・クラノー
FINDING PANDORA X
■アメリカ
■監督:キーラ・ベンジング
SHA SI DA MING XING (KILLING A SUPERSTAR)
■中国
■監督:ファン・ファン
後述私記
ヴェネチア国際映画祭が本日、何事もなく無事に閉幕した。未だに収束しないコロナ禍で、本当に見事な運営だった。
・まず、チケット販売、プレス試写は全て74時間前のオンライン予約なので、オンタイムに席を押さえれば希望の作品を全て観られるのが例年と劇的に違う。30分以上前に炎天下で列に並んでも、手前で満席になり一本分の時間を無駄にする、さて、どうやって時間をつぶそうか……などということもおきない。時間ギリギリまでゆったりと過ごし、行列もない。思いがけぬコロナ禍だからこそ実施され、しかもみんなが幸せになる方法はこうして見出されたわけで。このシステムは今後も続けてほしい。
・入場する前、例年も持ち物検査はあったけれど、今年はその前に検温で通過できなくてはいけない。つまり、今年は関門が2ヵ所あったため、その分の時間が取られた。おまけに、時々列が全く進まなくなったり、持ち物検査が形だけじゃなく執拗だったり、行列ができているのに警官一人しか働いてなかったり……と、イタリア郵便局状態。
・席は両隣が空いているので、ゆったり座れた。使ってはいけない席は紐で括ってある。衛生上の理由か、空いているからといって、自由自在に変わってはいけない。
・至る所に手消毒ジェル。
・マスク着用の徹底。映画鑑賞中も、エリア屋外を歩いている時も、マスクを着用するよう注意され、皆それに従っていた。マスクに慣れている日本人でさえ、さすがに映画鑑賞中、つまり10〜12時間もずっとマスクをしているのは苦しかった。酸素不足になるせいか、いつも以上に、鑑賞中に気を失った。でも、必要なことだったんだ。
このヴェネチアの英断と念入りな対策、そして成功はきっと、これからの映画祭に大きな希望を与えるだろう。閉会式のホスト、アンナ・フォリエッタが声を震わせながら、無事にこの日を迎えられた喜びを語っていたけれど、誰もが同じ想いだったはずだ。
ディリー紙Ciakに掲載されていたエマ・ダンテ監督のコメントが皆のその想いを集約していた。
「マスクをしているのは苦しく、私達は病気ではないけれど、決して健康的な状況にはないのだと意識させられる。こんにち世界で起きていることを忘れて、お祭り騒ぎをしてはいけない。でも、ヴェネチア国際映画祭は私達に、再び夢を見始める可能性と特権を贈ってくれた」。
(リポート・編集:Maori Matsuura、写真:オフィシャル素材提供)
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