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2018-12-14 更新
本日12月14日(金)にパルコ吉祥寺の地下2階にオープンする映画館、アップリンク吉祥寺の内覧会が12日実施され、この映画館作りに関わったアビエルタ建築・都市の北嶋祥浩氏、LOOP Lightingの中村亮子氏、田口音響研究所の田口和典氏、クラフトコーラ「伊良コーラ」代表コーラ小林氏が登壇した。「アップリンクらしい多彩なメンバー」というアップリンク代表・浅井 隆氏からの紹介のあと、アップリンク吉祥寺に関わっての苦労した点やこだわりについてエピソードを披露した。
設計担当の北嶋氏は、実家が吉祥寺で学生の頃にパルコ吉祥寺でアルバイトをしたこともあり、かつて地下2階にあったパルコブックセンターに負けない映画館を作りたかった、と吉祥寺への並々ならぬ思いをあらわに。物販中心の商業施設に映画館を入れる法律的な困難があったものの、既存の施設をリニューアルすることで都市のなかに映画館を新しく入れることができることを実感できた、と4年に及ぶ準備期間から完成までを回想した。
スピーカー・システムを担当する田口氏は、実際に映画館で使用されている平面スピーカーのウーファーを持ちながら、ここ数年の技術の進歩により生まれた軽いアルミハニカムを材料に使用することで、きれいな波面を作り良い音響を出すことができると説明。アーティストにも「これこそ自分の出したかった音だ」と好まれる理想的な平面スピーカーだが、今回のアップリンク吉祥寺は、「音楽だけでなく砂を踏みしめている音や川のせせらぎといった効果音がきちんと聞こえることで感動が倍増するし、英語のセリフでさえも心に入ってくる」と、鳥肌が立つほどの感動を得られる世界一の映画館になると自信たっぷり。
ニューヨークをベースに活動を続け、今年の12月に京都に日本支社を立ち上げたLOOP Lightingの中村氏。これまで商業施設や女優のナオミ・ワッツ邸など個人の邸宅の照明デザインを手がけてきたが、映画館の照明デザインは初ということで、ニューヨーク・東京間をSkypeで入念な打ち合わせを繰り返しながらこのプロジェクトに参加。「スクリーンごとにコンセプトが異なる回遊型の映画館は、ニューヨークでも見たことがない」とデザイン的なチャレンジだったと告白。「今回様々な方とのコラボレーションができて感動しています」と喜びを語った。
そしてコンセッションで提供される「伊良コーラ」代表コーラ小林氏は、コーラの原料であるコーラの実のほか、漢方職人だったお祖父様の遺志を受け継ぎ様々なスパイスを調合して手作りのコーラをこれまでフードトラックでひとりで販売してきた。今回アップリンク吉祥寺で映画館で初めて提供することになり、「クラフトコーラとはなにかということを映画館のお客様に説明できるように」と映画館スタッフにレクチャーを実施。この日は試飲も実施され「普段コーラを飲まないのに美味しく飲めた」という意見には、「漢方の考え方として、自分に足りない要素を食べると美味しいと感じる。そういう意味では伊良コーラを美味しいと感じてくださった今日のご来場の方は、疲れているから本能的に美味しいと感じてくださったのかもしれません」と場内の笑いを誘った。
最後に、場内から今回の映画館に使用されているスクリーンについての質問に浅井氏が回答。地下2階で天井高さが限定されているため、少しでも高い位置にスクリーンを配置するために、通常のサウンドホール(スクリーン裏のスピーカーからの音を通すための穴)のあるタイプではなく、織物のようなサウンドホールのない音を通すスクリーンを使い、シネスコのスクリーンを上下左右をカットマスクで作品の画角ごとに変えたりせず設置。「20年以上前にベルリン国際映画祭に出席したときに、会場でカットマスクを作らずむき出しのままいろいろな画角の作品を上映していたのを観て、今回のようなスクリーンの形式にした。映画が始まればカットマスクがなくても映画の中に没入できる」と説明した。
◆ 北嶋祥浩氏 プロフィール
廊下やコンセッション等の大きな共有スペースの中にシアタールームがある。「ハウス イン ハウス」の設計思想です。回遊する廊下の中に活動の中心がある。今までの映画館のように奥にシアターがあるのではなく、シアターの周りの空間も大切な映画のための空間です。
建築家、一級建築士、滋賀県立大学非常勤講師、東京都立大学非常勤講師歴任。
1961年、北海道生まれ。北海道人寮において建築科生であった隣室の先輩の影響を受け建築家を志す。東京都立大学建築工学科に進学。在学中にスペインカタロニア州立大学ガウディ研究室で、田中裕也氏に師事しガウディの研究を行う。
卒業後、内井昭蔵建築設計事務所勤務し、個人住宅、集合住宅の設計・監理に携わる。
首里城書院・鎖之間復元設計で主任技術者を務め、古建築の伝統技法を修める。
2005年、株式会社アビエルタ建築・都市を設立。
ウェブサイト
http://www.habierta.com/ (外部サイト)
◆ 田口和典氏 プロフィール
今回のアップリンク吉祥寺のスピーカーは世界一のもの。衣擦れの音だけでも、ぞっとするような、鳥肌が立つくらいの音を作る。目の見えない方が映画館で音だけで感動できるようなシステムにしたい。
1947年、神奈川県鎌倉市生まれ。
1981年に田口製作所を設立し、コンサート用・建築設備用スピーカーシステムの開発製造を始める。2006年からはON-COO(音響空間研究会)を主宰し、64ch-64スピーカーによるシンフォキャンバス音の森など気配や佇まいを大切にしたコンサートや特殊用途のスピーカーを開発し実用化。
2010年、東京都江東区新木場に製作拠点を移し、製造・開発活動を行う。これまでに築地本願寺、京都西本願寺、東京初台オペラシティコンサートホール、国会議事堂衆議院本会議場、沖縄国立劇場、羽田空港ANAラウンジ、ブルーノート東京など多数の会場・施設・ショップに設置。2016年8月には表参道のクラブ「VENT」に導入。
最近ではブルーノート・ジャパンが9月に大手町にオープンさせたレストラン「Lady Blue」にスピーカーを導入。
ウェブサイト
http://taguchi-onken.com/ (外部サイト)
◆ 中村亮子氏 プロフィール
アップリンクの浅井さんのコンセプトがユニークで、通常の商業施設のような同じスクリーンルームではなくて、回遊型で、ひとつひとつのスペースに強い思いが込められているのが、楽しくて、やりがいがあります。
建築照明デザイナー、LOOP Lighting NYC パートナー。
1998年(公財)AFS(American Field Service)日本協会の交換留学にて渡仏。リセ ジャンヌダルク卒業。2003年、武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科卒業。
卒業後、内井昭蔵建築設計事務所勤務し、個人住宅、集合住宅の設計・監理に携わる。
同年、独企業“ERCO”東京オフィスに照明デザイナーとして入社。主に美術館/ギャラリー照明設計に携わる。2006年、“ERCO”東京オフィス退社。
翌年春先、単身ニューヨークへ渡米。2007年、NY拠点である“Kugler Ning Lighting Design”に照明デザイナーとして入社。イエール大学スターリング記念図書館など歴史的建築照明に携わる。2013年に同社退社、独立。2015年、LOOP Lightingをパートナー二人とNYに設立。
現在は Aesop、Convene Officeなど多様な商業施設、また歴史的建築照明プロジェクトに関わる。2019年には京都支社を新たに立ち上げ予定。
ウェブサイト
www.looplighting.nyc (外部サイト)
◆ コーラ小林氏 プロフィール
こだわりの映画をこだわりの音響やこだわりの椅子で、こだわりのコーラとともに楽しんでもらえるんじゃないかと思います。
1989年、東京生まれ。
北海道大学農学部卒業後、広告会社に就職しながら好きなコーラ作りの探求を進め、2018年8月にクラフトコーラ専門メーカー・伊良コーラ(いよしコーラ)を立ち上げ。
12月14日には東京都高田馬場で、漢方職人だった小林さんの祖父の工房であった場所を改装してクラフトコーラ・ファクトリーをオープン。
ウェブサイト
http://iyoshicola.com/ (外部サイト)
◆ 浅井 隆氏 プロフィール
アップリンク代表/未来の映画館プロデューサー。
1987年、有限会社アップリンクを設立。デレク・ジャーマン監督作品をはじめ、国内外の多様な価値観を持った映画を多数配給。
2005年には渋谷区宇田川町に映画館、ギャラリー、カフェレストランを一か所に集めた総合施設「アップリンク渋谷」をオープン。
2011年にデジタルカルチャーマガジン「webDICE」、2016年には動画配信サービス「アップリンク・クラウド」をスタートし、映画を中心とした様々なインディペンデント・カルチャーを発信し続けている。
映画を観る体験を特別なものにする映画館「アップリンク吉祥寺」
「アップリンク吉祥寺」は、映画を観る体験を特別なものにする“ミニシアター”のシネコンです。
5つのスクリーンでは、世界の映画祭で話題の作品をはじめ、アート系作品、インディーズ作品など、現在「アップリンク渋谷」で映画ファンの皆さまにお楽しみいただいている作品のほか、地域の方々にも楽しんでいただけるファミリー向け作品も上映いたします。
「アップリンク吉祥寺」は、多種多様な映画を通して観客の皆様と世界とを繋げる窓となる映画館を目指します。
【音】鳥肌が立つ音響体験を──世界一の平面スピーカーを導入
国内屈指の音響メーカー、田口音響研究所がアップリンク吉祥寺のために開発した究極の平面スピーカーを全スクリーンに導入。イタリアのパワーソフト社製パワーアンプとの組み合わせで、くもりのないDCPハイレゾ音源の可能性を最大限に引き出します。
また、館内のBGMは、デレク・ジャーマン監督作品の音楽を多く手掛けたサイモン・フィッシャー・ターナーによるオリジナル音源「MUSIC FOR CINEMA LOBBY」。
【デザイン】異なるデザインコンセプトの5スクリーンを備えた映画館
5つのスクリーンは「ポップ」「レインボー」「レッド」「ウッド」「ストライプ」というコンセプトで、それぞれ個性的な壁紙、椅子、照明デザインになっています。
バラエティに富んだ劇場で、映画ファン向け作品からファミリー向け作品まで多種多様な映画を上映します。
【食】映画館でも美味しいものを!こだわりのドリンク&フードメニュー
スパイスの風味が効いたクラフトコーラや、ナチュラルワイン、武蔵野生まれのビール、添加物の少ないソーセージを使ったホットドッグ、ヘルシーなナッツ&ドライフルーツなど、こだわりのドリンク&フード・セレクションをご用意しています。
◆ 所在地: 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-5-1 吉祥寺パルコ地下2階
◆ 共同事業者: 株式会社パルコ、有限会社アップリンク
◆ 運営: 有限会社アップリンク
◆ スクリーン数: 5スクリーン
◆ 座席数: 計300席(最大スクリーン98席、最小スクリーン29席)
◆ 設計: アビエルタ建築・都市 北嶋祥浩
公式サイト
http://joji.uplink.co.jp (外部サイト)
(オフィシャル素材提供)