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2013-08-09 更新
菊地凛子
菊地凛子
2006年のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督のドラマ『バベル』で米アカデミー賞®にノミネートされ、国際舞台に躍り出て、日本でスターの座を獲得した。聾唖のティーンエイジャー役で奥行きのある演技を披露した同作では、さらにゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合(SAG)賞®、および放送映画批評家協会賞の助演女優賞にノミネートされ、全米映画批評会議賞ブレイクスルー演技賞を受賞した。加えて、アンサンブルキャストとして放送映画批評家協会賞およびSAG賞®のキャスト賞にノミネートされた。
『バベル』の成功に続いて、『ブラザーズ・ブルーム』(08・未)、『ナイト・トーキョー・デイ』(09)、村上春樹のベストセラー小説を映画化した『ノルウェイの森』(10)などの作品で、注目を浴びる数多くの役柄を演じてきた。待機作に、13年12月公開予定の日本の侍伝説をハリウッドで映画化した『47 Ronin』(キアヌ・リーブス共演)がある。
1999年、日本映画『生きたい』で映画デビュー。そのほか主役を演じた日本映画に、『空の穴』(02)があり、『茶の味』(04)などにも出演している。
日本のアニメや特撮文化を愛してやまないギレルモ・デル・トロ監督が贈る、この夏一番の超大作『パシフィック・リム』。人型巨大兵器“イェーガー”のパイロットとなるヒロインの日本人研究者・森マコ役に抜擢された国際派女優・菊地凛子が、大役を果たした喜びを語った。
撮影に入る約2ヵ月前にウエイト・リフティングやビーチでのブート・キャンプ、マーシャル・アーツなどパイロットになるためにやらなければならないトレーニングはぜんぶやらせてもらいました。そのなかでも一番大変だったのはブート・キャンプですね。軍隊の人がやるようなプログラムだったんですが、季節は夏のLAのビーチ! 砂浜を走るだけで「死ぬ……」って思うような状況でした(苦笑)。たとえば、ビーチで「あのポールまで走ってこい」って言われるんですけど、そのポールがどこにあるのか全然見えない(苦笑)。蜃気楼なんじゃないかって思うほど遠かったり。いままで経験したことのないことをたくさん経験させてもらいました。あんなに大変なトレーニングは生まれて初めての経験でした。また、トレーナーの先生が厳しくて、毎日体重をはかるだけでなく、筋肉がどれだけ増えたか、何を食べたのかもチェックされるんです。
(この役を演じるにあたって)撮影自体よりも撮影に入る前の準備、トレーニングの方が大変だと思っていたので、実際に撮影に入ったら楽になれると思っていたんですね。でも、大きな間違いでした……。撮影の方が全然大変だったという(笑)。ロボットの操縦席はリアル・サイズのロボットの頭を作っていて、建物の5階ぐらいの高さから1階に突き落とされるようなこと(衝撃)もありました。そんな大変な撮影が待っているので「準備をしっかりして下さいね」という2ヵ月だったんです。でも、いま思えばあれほどの達成感はなくて。嬉しかったのは、(マコがローリー・ベケットと操縦する)ジプシー・デンジャーの頭の操縦席での撮影が終わったとき、ギレルモ監督がロボットの型をしたゴールドの像をプレゼントしてくれて。その像には「(あなたは)生き残りました」的なメッセージが入っていて。嬉しかったですね。
操縦席での撮影のときはヘルメットをかぶっていて、その内側にマイクがセットされているんです。で、撮影が続いて集中力が切れてくるとマイク越しに監督がトトロの歌をうたってくれたりとか(笑)。あと、トレーナーからは食べちゃいけないって言われているのに「チョコレート食べるか?」って言ってきたり。とてもいたずら好きでとてもチャーミングな監督です。
ロボットを操縦するのは2人以上で、しかもその2人が信じ合わないと動かない。世界を救う、戦いに挑むためにはまずお互いを信用しあわないとならないんです。そういうコンセプトって人生にも置き換えられるなって思うんですよね。この映画はロボットを動かすというのがテーマだけれど、人が誰かと関わり合おうと覚悟して、その人に良いところや悪いところ受け止めて前に進んでいこうという人生にも言えると思う。そこが魅力でもありますね。
そうですね。あとは、ギレルモ監督がキャストを信用してくれる方というのも大きいです。監督が絶対的な信頼をしてくれるからこそ、2ヵ月の準備期間中、相手役のチャーリー・ハナムとのスティック・ファイティングのシーンであるとかブート・キャンプであるとか、2人で一緒に乗り越えることができた。そして、その期間を経てはじめてあの操縦席に立って、お互いをシンクロさせることができたんです。2人のうちのどちらかの集中力が切れたら「大丈夫だよ、頑張ろう!」って励まし合いました。それが、この映画の核になっていると思うんです。互いを信じ合うことによって大事なものを守ることができる、そこには深い愛、広い愛があると思いました。
ギレルモ監督は、演技や役作りは心配していなかったようで、とにかく(キャストの)体力を心配していました。けれど、ハリウッドの長い制作期間(今回は2ヵ月間の準備期間)は役作りを助けてくれます。ある程度の時間を与えてもらうことで監督やキャストとの間に信用も生まれますし、何よりも体作りは時間が必要。今回は有難い準備期間をいただきました。
どのセットにも驚かされたんですが、やっぱりさっきの話しにも出てきたロボットの頭部、操縦席のセットですね。本当にリアル・サイズのロボットの頭がスタジオにあるんです。それがすごく大きくて、ウィーンウィーン、ガンガンッて動いているのを見て「わあ、すごいな?」って思っていたら、ギレルモ監督が「凜子はあそこに乗るんだよ!」って。「えっ!? あんな高いところに?」って驚きましたね(笑)。あとはスタジオのなかに大雨を降らせたりヘリコプターがあったり、規模が大きすぎました。
全然、想像していなかったです。グリーン・スクリーンで撮影するのかなって思っていましたから。でも、ギレルモ監督はできるかぎりリアル・サイズのセットを作って撮影していました。さすがにKAIJUが動いたのは見たことがなかったですけどね。
すごく感じます。監督のためにみんなが頑張ろうって思っていたというか。そういう想いが映画にも表れていて。監督の日本に対する愛、オマージュ、尊敬もこの映画の端々から伝わってきます。
子供の頃から怪獣やロボット映画を見て育ったんですが、この映画はただの怪獣映画じゃない、ただのロボット映画じゃないというか──自分が出演しているのを忘れて見入ってしまうほど夢中になれたんですね。そういう意味では、いままで見たことのない作品でした。SF映画ではあるけれどそれだけじゃない、家族の絆や愛、友情、国を問わず人々が信じ合って戦う姿があって、それを多くの人に見てほしいと思いました。
たくさんあるんですけど……やっぱり、ジプシー・デンジャーの動きがふつうのロボットの動きじゃないことですね。ハートもあるし、何よりも刀を持っているというロボットは初めてだったので、刀を出してきたときは「すてき!」って思いました。あと、マコが初めて登場するシーンに関して、監督がすごくこだわりを持っていてくれていたこともあって、その登場シーンも好きです。
マコは「凜子に近いキャラクターなんだよ」と言われていたので、頭で考えずに自分らしく演じたほうがキャラクターに寄り添えるのかなと思って演じていました。マコはものすごく芯が強くてタフかと思えば繊細な一面も持っている女性。男性に対して奥手だというのも可愛らしくて(笑)。育ててくれた父に対する尊敬や愛も彼女の言動からにじみ出ている、とても大好きなキャラクターです。
(オフィシャル素材提供)
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