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2013-07-07 更新
宮崎 駿監督、庵野秀明、松任谷由実、中山秀征
配給:東宝
7月20日より全国東宝系ロードショー
© 2013 二馬力・GNDHDDTK
映画『風立ちぬ』の完成報告会見が東京・小金井のスタジオジブリで行われた。この日はMCをタレントの中山秀征が務め、座談会形式ですすめられた。宮崎監督は、本作が『崖の上のポニョ』以来、5年ぶりの新作となる。宮崎監督のほかに、主人公・堀越二郎を演じる庵野秀明、主題歌を歌う松任谷由実が出席した。
本作は、ゼロ戦の設計者・堀越二郎と作家の堀辰雄をモデルに、1930年代の日本で飛行機作りに情熱を傾けた青年の姿を描いている。幼い頃からの夢を実現させ、飛行機の設計技師になった主人公が、戦争へと突入する激動の時代に、「美しいヒコウキを作りたい」という純粋な思いから、世界屈指の戦闘機であるゼロ戦を生み出した“矛盾”と向き合う姿を描く。
本作をすでに鑑賞したという宮崎監督は、泣いたことを明かし、「自分の作品で涙が出たのは、初めて。監督としては情けない……、みっともないです」と照れて見せた。また、「長年の積み重ねと不思議な縁、そして幸運にも恵まれ、1本の映画が完成した。だから不覚にも涙したのかなあ」と感無量の面持ちで語った。
そんな宮崎監督について庵野は「号泣でしたよ。人前で泣く人じゃないですからね。あ、宮さん泣くんだと。(その姿を見られて)僕は幸せです」と述懐。主人公の声に抜擢された庵野は、『エヴァンゲリオン』シリーズなどを手掛けた監督で、『風の谷のナウシカ』(84)のクライマックスの巨神兵の原画を担当して以来、宮崎監督とはずっと親交があったという。自身の演技について庵野は「役者じゃないので役を作るのは無理なんですよ。いろいろ経験していて良かった」と話した。
庵野を主人公に抜擢した理由を宮崎監督は「庵野は傷つきながら生きている。それをそのまま出してきてくれたから、ちゃんと堀越二郎になっている」と話し、絶賛した。それを聞いていた庵野は、「当たらずとも遠からず。しんどい生き方ですよ。最終的にはそれが作品に出てくるんで、そのままやっていましたよ」と振り返っていた。
一方、松任谷は、荒井由実名義で1973年に発表したファースト・アルバムのタイトル・トラック「ひこうき雲」を提供。松任谷のジブリ作品への楽曲提供は『魔女の宅急便』(89)以来、24年ぶり。主題歌について、宮崎監督は、鈴木敏夫プロデューサーから曲を聴かされ、「こっちは相当追いつめられていたから、歌を聴いたらすごく響いて、泣いてしまった。そういう力のある歌。身にしみる歌」と称賛した。
松任谷は、同楽曲を作ったのが高校時代だったことを明かし、「きっとこの映画も、今の中高生に響くんじゃないかしら。シンクロニシティですね」とコメント。映画の感想については「我慢しても我慢しても、嗚咽が出てしまいました。素晴らしい作品に参加させていただき、本当に嬉しいです」と感動を口にした。
最後に宮崎監督は「この5年間、スタッフはかつてない群衆シーンなど、手がかかるシーンを丁寧に、丁寧にやってくれた。若いスタッフたちはかなり痛んだはずだが、この痛みは必ず癒える。本当にやって良かった」と語っていた。
(取材 文・写真:Sachiko Fukuzumi)
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