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2013-04-13 更新
ダスティン・ホフマン
配給:ギャガ
4月19日(金)より TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ 他 全国順次公開
© Headline Pictures (Quartet) Limited and the British Broadcasting Corporation 2012
オスカー俳優ダスティン・ホフマンが、自身の監督デビュー作となった『カルテット!人生のオペラハウス』を携えて来日し、都内ホテルにて記者会見を行った。ホフマンの来日は『フック』以来で、21年ぶりとなる。
『クレイマー、クレイマー』(79)や『レインマン』(88)で2度のアカデミー主演男優賞に輝く名優ダスティン・ホフマンが、『戦場のピアニスト』などの脚本家ロナルド・ハーウッドによる戯曲を映画化。英国の美しい田園風景の中に建つ引退した音楽家たちのための老人ホームを舞台に、再集合した昔の仲間が、自分たちの住むホームの存続をかけて、コンサートへ向け奮闘する姿を描く。
柔和な笑みを浮かべながら登場したホフマン監督は、「映画を観てくださった方、楽しんでいただけたかな。もし観てない方がいたら、今すぐ、退室してください」とジョークを飛ばしながら挨拶した。
本作について「長年、監督業をしたいと思って準備はしていたんだ。なかなか飛び込む勇気がなかった。今回は脚本を気に入った。老齢の、ピークを過ぎてしまったアーティストたちという、僕が共感できる題材だったんだ。36年間連れ添った妻から『いつやるの、もう75歳じゃない。これを監督しなかったら別れるわ』って言われてしまったんだ(笑)。だから僕も、この映画を監督してヒットしなかったら、僕のほうから別れるぞと言い返したよ」と監督に取り組んだ理由をユーモアたっぷりに説明した。
本作には往年の俳優やミュージシャンたちが多数出演している。年齢を理由に仕事がなくなる現実があるが「そんなことを言われる筋合いはない、という精神で挑んだ。老齢のミュージシャンたちを起用したけれど、彼らにはここ20~30年仕事の電話がなかったそうだ。低予算の現場にも関わらず彼らは感謝と熱意を見せてくれた。そんな彼らの若返りを見られただけでも、価値のある作品だと思う」と、熱弁をふるった。
この日は特別ゲストとしてホフマンの長年のファンということもあって女優の樹木希林が出席し、ホフマン監督と共にヒット祈願の鏡開きを行った。ホフマン監督に数々の女優賞を受賞した女優と紹介され、樹木は「ケタが違う。レベルが違いますよ」と謙遜しながらも、「この映画の絵画的な美しさ。役者たちの技術もさることながら、年を重ねる能力、魅力的に生きる能力。これらを集めて監督が指揮者になった。もうとにかくチャーミングな、年を取るのがステキだなと感じるいい機会をいただきました」と作品を絶賛した。
オペラ「椿姫」で有名な音楽家ベルディがイタリア・ミラノに建てた実在するホーム「ベルディの憩いの家」をモデルにしている。マギー・スミス、トム・コートネイら英国を代表するオスカー俳優に加え、世界的に有名なソプラノ歌手ギネス・ジョーンズをはじめ、名だたるオペラ歌手やピアニスト、トランペット奏者らがキャストとして参加、ジュゼッペ・ヴェルディ、ヨハン・セバスチャン・バッハなどの名曲に乗せてつづられる笑いと涙の人生賛歌に心温まる作品だ。
映画『卒業』で世界的に有名な俳優となったダスティン・ホフマン。その後は順調に俳優としてのキャリアを重ね、名優中の名優となった。そんなホフマンを生で見ることができるなんて……。感無量です。目の前に現れたのは、温かい人柄がにじみ出た素敵に歳を重ねたダンディな紳士だった。チャーミングな笑顔が心にしみた。
(文・写真:Sachiko Fukuzumi)