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2012-12-29 更新
空港へ向かう車の中で、何気ない日常の会話のように彼女が切り出す別れの言葉。「私、出ていく」。彼は黙ってうなずき、運転を続ける……。『愛してる、愛してない』は、5年間を共に暮らしたカップルの別れの風景を切り取った大人のラブ・ストーリー。第61回ベルリン国際映画祭コンペティション部門への出品を始め、世界各国の映画祭で絶賛された愛の傑作だ。そこには男と女の様々な感情が映し出され、私達の誰もが持つ“恋愛の記憶”が呼び起こされていく。
主演は、ドラマ「私の名前はキム・サムスン」(05)、「シークレット・ガーデン」(10)で、日本でも人気の高いトップスターのヒョンビン。近年は、精神を病んだ男を演じた映画『私は幸せです』(09)や、中国の女優タン・ウェイと共演した『レイトオータム』(11)など、アート性の高い作品に出演し、映画の世界でも地位を築いている。本作では、「別れ」への感情をほとんど見せない中に、かすかないらだちやとまどいを感じさせる演技で、観るものを深い孤独の中へと引き込んでいく。本作撮影直後の2011年2月に兵役に就いたため、本作がヒョンビンの最新主演映画となっている。
一方、ヒロインを演じているのは、韓国の映画監督達から一番に名前の上がる女優として人気を得ているイム・スジョン。日本でもヒットしたドラマ「ごめん、愛してる」(04)で一躍注目された彼女は、その後、映画界に活躍の場を移した。第57回ベルリン国際映画祭でアルフレッド・バウアー賞を受賞した『サイボーグでも大丈夫』(06)や、コン・ユと共演した『あなたの初恋探します』(10)に出演し、国際的にも注目されている実力派だ。本作では、別れを前にして揺れる女性の姿をナチュラルに演じている。
監督は、長編デビュー作『チャーミング・ガール』(05)でベルリン国際映画祭やサンダンス映画祭他で高い評価を得たイ・ユンギ。その後、平安寿子の小説をもとに『アドリブ・ナイト』(06)、『素晴らしい一日』(08)を発表し、独特の映像世界が絶賛されている。本作では、直木賞作家・井上荒野の短編小説「帰れない猫」を原作に、わずか2~3時間の彼と彼女のやりとりを、ほぼリアルタイムで描くという実験的な手法に挑戦。登場人物は彼と彼女、迷い猫、飼い主の夫婦だけという中で、最後の時間を過ごす男女の心の変化をロングショットや長回しを使いながら丁寧に追い、文学的な香りのする作品に仕上げている。
ストーリー空港へと走る車の中。それぞれ建築家と編集者として成功した、結婚5年目の夫婦。出張で空港に送ってもらう車の中、妻は夫に突然の別れ話を切り出す。「私、出ていく」。夫は「分かった」とそれを受け入れる。
数日後、二人で暮らした家から妻が出て行く日。彼は無言で妻の荷造りを手伝い、思い出のレストランに予約を入れ、コーヒーを淹れる。荷造りの進まない妻は、これまでの二人の暮らしに想いを巡らせる。
そんな中、二人が暮らしてきた家にずぶ濡れになった仔猫が迷い込み、どこかへ隠れてしまう。雨がひどいから、仔猫が出てくるのを待っているから、そんな言い訳を胸に家から出ることができない二人。彼女の旅立ちを遮るように、彼らを世間から切り離すように、雨は降り続けていた――。
(2011年、韓国、上映時間:105分)
キャスト&スタッフ
監督・脚本:イ・ユンギ
原作:井上荒野
出演:ヒョンビン、イム・スジョン、キム・ジス、キム・ジュンギ、ハ・ジョンウ(声の出演)ほか
配給
ポニーキャニオン
2013年3月16日(土)、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
オフィシャルサイト
http://aisiteru-aisitenai.com/
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