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2008-04-15 更新
ジェイ・チョウ、チャン・イーモウ監督、ビル・コン、リア・ディゾン(ゲスト)
配給:ワーナー・ブラザーズ映画
4月12日(土)、東劇ほか全国ロードショー
(C)Film Partner International Inc.
『HERO』『LOVERS』に続くチャン・イーモウ監督の時代劇最新作『王妃の紋章』の公開が決まり、監督と若き王子を演じたジェイ・チョウ、そしてプロデューサーのビル・コンが記者会見を行った。会場にはジェイのファンであるリア・ディゾンもお祝いに駆けつけ、華やかなひとときとなった。
チャン・イーモウ:こんにちは、この映画を日本で公開することができ、とてもうれしく思っています。また、皆さんとお会いできましたね。本当にありがとうございます。この映画を気に入っていただけると、本当にうれしく思います。
ジェイ・チョウ:日本の皆さん、私がジェイ・チョウです。ぜひ、この映画をご覧になって下さい。
ビル・コン:今日は休日を返上してこの記者会見に来ていただき、ありがとうございました。ぜひ、この映画を気に入っていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いします。
チャン・イーモウ:この物語は、中国では大変有名な舞台劇を映画化しました。その舞台劇は中国では誰でも知っていますが、特に演技を学ぶ学生は、この劇の一部が必修科目になっているほどです。物語のバックグラウンドは930年代の後唐の時代です。映画化する際にはどの時代でも良かったのかもしれませんが、個人的には唐の時代にとても興味がありました。とても絢爛な時代でしたが、登場人物の孤独さや悲しさと大きな落差があるので、見事に表現できるのではないかと思いました。もちろん、準備には大変時間がかかりました。少なくとも8ヵ月間は必要だということになり、いろいろなリサーチを行いました。
ビル・コン:この作品には、これまでの中国映画で最高の製作費がつぎ込まれました。セットにも衣装にも、一番お金をかけた作品だとお思います。最もレベルの高い人たちに参加していただきましたが、その成果のほどは映画をご覧になれば確認できると思います。
ジェイ・チョウ:いろいろな形でチャン・イーモウ監督の影響を受けました。自分の撮影がない時にも、現場に行って監督の演出を観察していましたが、チャン・イーモウ監督は、何も隠さずにいろいろなことを教えてくれました。特に、色の使い方についても多くのことを学び、僕が映画を撮った時にも、綺麗なものや美しい景色が好きなので多く取り入れました。生まれ育った台湾にも多くの美しい景色がありますが、例えばラブ・ストーリーはこういった色合いで、親子の葛藤にはこういった色合いで撮る。そういった部分では、非常に影響を受けました。
チャン・イーモウ:今のジェイ・チョウの話を聞き、彼は誠実だなと思いながら、いろいろなことを考えました。『王妃の紋章』の撮影中にジェイが監督・主演をした『不能説的・秘密』を観させていただきましたが、とてもユニークなアイデアに溢れた作品でした。俳優としてのジェイをどのように評価するのかというご質問ですが、この映画ではジェイが素晴らしい演技を見せています。私の想像を遙かに超えた演技を披露してくれました。この映画が中国で公開された時にも、メディアや観客の皆さんはジェイの演技に大変高い評価を与えました。この映画には多くの人物が登場しますが、その中でも、正しい心と明るい未来に対する気持ちを持っているのは、ジェイの演じた傑(ジエ)王子だけでした。傑王子の、母親を愛し、母親のためならどんなことでもやるという気持ちが、観る人の感動を呼びました。また、この映画のエンディング・テーマ曲もジェイが手がけて歌っていますが、初めて聞いた時にはとても感動しました。このように、ジェイはこの映画に対する理解が深く、演じるだけではなく、歌までも歌ったわけです。本当に素晴らしい仕事をしてくれたと思います。まさに、彼の参加は、この映画に感動を呼ぶ彩りを添えてくれたと思います。
ジェイ・チョウ:撮影中からエンディング・テーマの歌詞のことを考えていましたが、撮影終了後には作曲にも着手しました。最初のアルバムから今までの僕の曲は中国的な色彩が強かったのですが、今回は違う作風を、皆が口ずさんでくれるような作風を目指しました。実際に、これほど時間をかけて曲を作ったのは初めてです。
チャン・イーモウ:当然のことですが、脚本の段階から出演者の候補を考え、まずコン・リーとチョウ・ユンファが最適の人選だということになり、彼らに連絡をすると、非常に喜んで快諾してくれました。次に、若者については純粋で清らかな心を持つ役者にしようと考えましたが、すぐにジェイ・チョウの名前が頭に浮かびました。ビル・コンも「ジェイなら最適の人選だよ」と言ってくれたので、すぐに連絡し快諾してもらいました。今回、この3人に出ていただくことになりましたが、まさに黄金のコンビネーションだと思います。中国で公開された時には、興行成績が『HERO』を抜き歴代1位となっています。ジェイの歌ったエンディングテーマも中国でトップのヒットを記録し、着メロやカラオケでも多くの人が親しんでいるそうですが、その話を聞き、とてもうれしく感じました。
ジェイ・チョウ:もちろん、この映画に出演することには大きなプレッシャーを感じました。以前に出演した『頭文字[イニシャル]D THE MOVIE』とは、全く作品が違います。今回の映画では大変有名なスーパースターの方と共演することになり、まさに夢のような世界でした。この映画には1000人以上の人が出演しているので、もし自分が1回でもNGを出せば、全員がもう1回やり直さないといけなくなります。とても辛かったですが、出演することにはとても価値があり、この仕事を通じて大変愉快な経験をしました。また、現場での監督は本当にいい人です。僕が何回もNGを出しても、絶対に怒りませんでした。
ジェイ・チョウ:チョウ・ユンファさんは、大変親しみやすい方です。以前から、テレビを通してその姿を拝見していました。実は、撮影の時、僕の不注意でユンファさんの手を切ってしまったことがあります。とても緊張してしまいましたが、ユンファさんは、「大丈夫、もっと力を出してやりましょう!」と、つまりそれぐらい力を入れないと迫真の演技は出来ないと言ってくれました。このような経験を通じて、ますますチョウ・ユンファさんを尊敬するようになりました。本当に素晴らしい人です。
ジェイ・チョウ:ユンファさん同様に大きな距離を感じる大スターですが、一緒にいると暮らしの一部分のような空間が生まれ、とても親しくなりました。共演する際には、僕を芝居の世界に引き込んでくれました。この映画では僕は新人なので緊張しましたが、皆さんと読み合わせをしたら、すぐに自分の役に入り込むことができました。これは、相手役のスーパースターの皆さんの素晴らしいところです。つまり、自分たちがしっかりと演技をしているだけではなく、相手役も一生懸命に導いてくれるような、そのような部分まできちっとやってくれるのがスターの素晴らしいところだと思います。現場では、彼らからいろいろな指導を受けましたが、お二人とまた共演する機会を期待しています。
ジェイ・チョウ:映画と音楽は、全く違う芸術だと思います。音楽を使って物語を伝えるためには、メロディさえあれば後は何もいりません。聞いている人が頭の中でいろいろ想像し、それぞれ自分の物語を作るからです。一方、現実の映像を使って物語を作る際、僕もミュージック・ビデオを作ったことがありますが、非常に難しくなります。例えば、わずか2、3秒の時間である物語を語る。しかも、カット割りがある。実際にやってみて、映像の監督は大変だなと思いました。ですから、同じ時間を使うのなら音楽を使った方が収穫が大きいかなと思うので、今年は映像の演出の仕事は止めよう、そして良い役者の仕事をやろうと考えています。役者の仕事は、監督の要求を聞き、それに応えれば出来るので、そういう意味では気が楽です。
ビル・コン:その理由をひとことで言えば、監督が素晴らしいからです。素晴らしい監督が仕上げてくれたので作品が成功したのだと思います。私はプロデューサーなのであくまで裏方、映画が成功する鍵は監督の手腕にかかっているのです。
チャン・イーモウ:その前に、ビル・コンさんの成功の秘訣を、ひとつご紹介します。ビル・コンさんは非常に良い人で、監督さんとの関係も良好です。多くの良い監督さんは皆ビル・コンさんと仕事をしたがる、これが秘訣だと思います。私の場合は、最初からビル・コンさんとご一緒しようとは思っていませんでした。ちょうど『グリーン・ディスティニー』と撮られている時、アクション監督を紹介してもらおうとビル・コンさんに連絡を取りました。その時が初対面でしたが、その場で映画や脚本の話となり、ぜひ一緒にやりましょうということに発展したわけです。このような偶然の出会いから、『HERO』以来、全ての仕事をビル・コンさんとご一緒しています。なぜこのようになったのかといえば、ビル・コンさんとご一緒すると非常に快適な環境で仕事をすることができるからです。彼は監督に快適な環境を与え、決して困らせるようなことはしません。一方、映画配給については、世界中に素晴らしい人脈とネットワークを持っています。ですから、誰もがビル・コンさんとご一緒したいと思うのです。
ジェイ・チョウ:僕は、ビル・コンさんを「ボス・コン」と呼んでいます。『王妃の紋章』で始めてお会いしましたが、その時はとてもお金持ちなのだろうなという印象でした。これは冗談ですが(笑)。ビル・コンさんは、相手を信頼してくれます。初対面でありながら、彼は「じゃ、撮りましょう」のひと言だけでした。新人である僕に賭けてみようという勇気を持っていたビル・コンさんに、今でも感謝しています。
残念ながらチョウ・ユンファとコン・リーは来日しなかったが、若武者を演じたジェイ・チョウの凛々しい姿は特筆もの。ミュージシャンとしての人気も盛り上がりを見せ、日本での人気もようやくブレイクしそうだ。
(文・写真:Kei Hirai)
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